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魔力の溢れるこの世界で  作者: 軌跡リンク
4/12

検証と博士との時間

第四話です!

それでは、本編をどうぞ!

 「それで、何から始めますか?博士」

 準備運動を終え、博士にそう尋ねる。

 「そうだな…まずは魔力を纏ってくれ。そしたら、これを君にぶつける」

 そう言いながら、ピンポン玉くらいの大きさの球体を見せてくる。

 博士の持つ球体は黒色で、他にもいくつもの色のバリエーションがあった。

 これは博士の趣味だろうか?まぁ、いろんな色があっても問題ないだろうけどさ。

 「わかりました。魔力を纏います」

 そうして、魔力を体に纏う。

 「よし、魔力を纏ったな…それじゃあぶつけるぞ…そりゃあ!」

 なんとも気の抜ける可愛い声で投げられた球体は俺の体に当たると共に砕ける。

 なるほど、敵に当たると共に砕ける感じなのか…っと、急に体が重く…!

 体が重くなるのを感じながら俺は膝をつく…これは、思ったよりも効果がすごいな…!

 「うぉっ…魔力が流せない…何か体も重いし…博士、これ成功じゃないですか?」

 「そのようだな…うん?待てよ?今なら君に色々と出来るのでは?」

 「博士、そういうのはやめましょうね?博士がそんなことをするなら、俺はもう手伝いもしませんし、一生軽蔑します」

 「じょ、冗談に決まってるじゃないか!君が手伝ってくれないのは困るし、君に軽蔑されるのは正直、辛い…」

 急にしおらしくなってしまった博士を見て、言い過ぎだったと思い、言葉を発する。

 「すみません、言い過ぎました…安心してください、冗談ですよ」

 「本当かい?」

 「本当ですよ。博士がそんなことするわけないし」

 「まったく、君というやつは…割りと傷ついたんだぞ」

 「本当にすみません、反省してます。…にしても、実際そういうことする奴は居そうですよね…魔力を持っていない人達の中には魔力持ちを妬んでいる奴も居ますし…情報の開示は慎重にやらないといけませんね」

 俺がリンと帰る時に色々と言ってくる生徒達がわかりやすい例だ。

 まぁ、単純に魔力持ちだから嫉妬してるってだけじゃなく、リンと仲が良いからというのもあるんだろうけど。

 「確かに悪用される可能性は高いな…いっそのこと、私と君以外は知らないようにした方が良いかもしれないな」

 「情報って知ってる人が少ない方が漏れにくいですもんね」

 幸いと言って良いのかはわからないが、この研究所は俺と博士の二人しかいない。

 というのも、そもそも魔力を独自に研究しようという人が少なく、博士のような人物が珍しいというのがある。

 魔力というのがそもそも視認できるものではない。しかも、魔力持ちの数も限られている上に、協力してくれる魔力持ちがいないのだ。

 そのため、魔力について独自に研究しようと考える人はほとんどいないそうだ。

 そんなわけで、博士のような人物に協力しようという人もいなく、俺が来るまで博士は1人で研究をしていたようだ。

 一応、国が設立した研究機関もあるが、博士曰く、ほとんど魔力の研究をしていない名ばかりの研究機関らしい。

 魔力の発達という重要な研究を何故国が優先的に行わないのか?これはあくまで推測なのだが、魔力持ちの人がこれ以上力を持つのを恐れているのでは?と俺は考えている。

 まぁ、それはともかく、俺と博士しか知っている人がいない以上、ここで俺達が情報を隠してしまえば他の人がこの情報を知るのは難しいだろう。

 だが、それだと魔力犯罪に対処しやすくしようという目的が達成できない。

 「うーん…この道具があった方が便利なのは間違いないんですけどね…まぁ、しばらくは俺と博士しか知らない機密情報ってことにしましょう」

 「そうだな…そうしておこう」

 そんな風に博士と会話していると、徐々に体が軽くなり、魔力が再び体中に巡り始める。

 そうして、そのまま立ち上がり、体が動くか確かめるために軽くジャンプをしたり、手足をプラプラしたが、特に動きに異常はなかった。

 「動けるようになりました。時間は測ってくれてましたか?」

 「もちろんだ。持続時間は約5分と言ったところかな」

 そう言って、博士が見せてくれたストップウォッチは5分11秒を示していた。

 そして、それを見せながら、博士は嬉しそうに笑った。

 「約5分か…まぁ、敵を無力化するには充分な時間ですかね?流石に複数人を相手取るのは難しいかもしれませんけど」

 「そうだな!もちろんまだまだ改良は必要だが、初の試みにしては上出来だ!ありがとう、怜斗君!君のおかげだ!」

 そう言って、博士は俺に抱きついてくる。

 柑橘系の良い香りがふわっと広がり、女性の柔らかな感触が俺を襲う。

 俺より5歳ぐらい年上なのに今の博士は子供っみたいに喜んでいる。

 そんな博士が可愛くて、思わず抱きしめ返した。

 「はい、まだまだ改良していきましょう!俺達なら出来ますよ、きっと」

 「あ、あぁ!そうだな!と、ところで…抱きしめられたままだと少々恥ずかしいのだが…いやまぁ、抱きついたのは私からなんだけども…」

 「おっと、すみません…」

 そう言いながら、俺は博士から離れた。

 「むぅ…君だけ冷静だな」

 「いやいや、こう見えて心臓がドキドキしっぱなしですよ」

 「本当か?」

 「確かめてみます?」

 「…いや、大丈夫だ…君の言うことを信じるよ」

 少し、照れたように頬を赤く染めながら博士はそう口にした。

 「こほん…それでは引き続き検証を進めよう。まだ1回しか上手くいってないからね。ちゃんと他のも検証しないと」

 「そうですね!じゃあ続きをしましょう!」

 そう言いながら俺は再び魔力を纏うのだった。

______

____

__

 「ぜぇ…ぜぇ…さ、流石に…連続は…キツイですね」

 「わ、私も…腕が…疲れてきたよ」

 度重なる検証により俺と博士はお互いに疲労困憊になり、近くのソファに腰掛けながら会話をする。

 何度も検証した結果、博士の用意した試作品はすべて効力を発揮した。

 持続時間は多少前後するが、約5分。何かで斬ったり、銃で撃っても効果を発揮し、どんな形であれ衝撃を受ければ効果が発揮されると判明した。

 俺達の研究は大成功と言って良い。

 「流石ですね…博士。大成功ですよ、大成功…ただ、破魔弾を発射するやつが欲しいですね…投げるのって結構大変そうですし」

 「破魔弾?なんだいそれは?」

 「その球体の名前です。今考えました…流石に名前がないとわかりづらいですし」

 「なるほど…魔力を破る、破壊する弾丸ということか…良いじゃないか!気に入ったよ!今日からこれは破魔弾と呼ぼう」

 「気に入ってもらえたみたいで良かったです。そういえば、破魔弾をいれる銃みたいなものを作れたりしますか?あったらかなり便利だと思うんですが」

 「私もあった方がありがたいよ…さっきから腕が疲れて仕方なくてね…うん、破魔弾を放てる道具を作ろう」

 そう言いながら、博士は腕を回す。

 「マッサージでもしましょうか?」

 「そうしてもらおうかな?怜斗君、よろしく」

 「了解です」

 そう答えて、博士の腕をマッサージする。

 「んっ…!っう…!」

 なんでだろう…ただマッサージしてるだけなのに何かいけないことをやってる気分になるな。

 「あっ…!ふぅっ…!怜斗、くん…!」

 やめて、博士!ちょっと変な気分になっちゃいそうなんですけど!

 そんな風に思いながら、なんとか博士の腕のマッサージを続けた。

 途中で、博士の妙に艶っぽい声を何度も聞くことになり、理性を保つのに必死だったが、なんとかマッサージを終えることが出来た。

 「ふぅ…ありがとう。おかげで楽になったよ」

 「そ、それは良かったです」

 「どうしたの?随分と疲れているようだけど…やっぱり、連続で検証するのは堪えたかい?」

 「まぁ、確かに色々と疲れてはいますね…ちょっとシャワーを浴びてきます…時間も遅いですし」

 そんなふうに誤魔化しながら時間を確認すると、時刻は夜10時を回っていた。

 一応、今日の検証は時間が掛かるとは思っていたから、昨日の打ち上げの後、博士に俺の着替えを持っていってもらったし、そこらへんはなんとかなるだろう。

 そういえば、まだご飯を食べてなかったな…シャワーを浴びた後にでも食べるか。

 「うん、そうした方が良い。私がご飯を用意しよう」

 「えっ!?博士って料理出来たんですか?」

 「失礼だな!…まぁ、作れるのは簡単なものだけだが」

 「あはは、すみません……作ってもらえるのはありがたいです!楽しみにしてます!」

 「あぁ!楽しみにしてもらえると、私も嬉しい」

 博士の言葉を聞きながら俺はシャワーを浴びにいくのだった。


 ちなみに、シャワーを浴びた後に食べた、博士のオムライスはめちゃくちゃおいしかった。

といった感じの第四話でした!

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!

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