前へ目次 次へ 64/71 ラングゥは酔う そして、現在―― ラングゥが船酔いである。晴れているとはいえ、快晴ではない。東風が冷たく強い。そんな日は、暦上春になっているとはいえ、結構船は揺れる。その結果ラングゥが被害である。 「動ける?」 「ああ、平気だ」 「そう急ぐことはない。一階の喫茶で一息をついてからにしよう」 エクリの心配を否定しても、波を知っている島の人は対処法に慣れている、それに従った方がいい。シブヤ氏について、エクリはハーブティを、ラングゥはかんきつ類の炭酸水で体を癒した。