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歓迎会
一同の歓迎会が宿泊施設の宴会場で行われた。何人かのご挨拶があった後、乾杯となった。立食形式なので、食事をしつつ、会話を交わした。当地の人たちも使節団にいた人、そうでない人も集っており、エクリは先日のように通訳を求められる場面があり、
「異国というわけではないので、分からなくはないでしょう?」
情報文化庁の役人の一人に小声で訴えるものの、
「そうだが、細かいニュアンスが把握できなくて。頼むよ」
酒の入ったグラスを空にして一蹴されてしまった。
「官僚なら自分で交話くらいできるでしょうに」
思わず愚痴も出る。
ラングゥは役人の中でも真面目な方と何やらまじめな顔で話し合っている。飲みの席なら飲めばいいのに、段取りの確認辺りをしているのだろう。
すっかり元に戻ったハロルは動作を言語にして会話していたくらいだ。ボディ・ラングエッジとはよく言ったものである。ここに実践している女学生がいるのだ。
フィアンとフィエは隅っこの方で、しかしお招きの御馳走を頬張っていた。