O.P.2 静かなる夜明け 第6章 …邪魔…
医者は負けず嫌いだ
けれど
どんなに考え尽くしても
患者に適した医療が見つからないとき
それは医者の負け?
負けじゃない
医者が患者に提供するのは
医療だけじゃないから
誰かを勇気付けたいと思ったときには
笑ってあげればいい
医者が不意に見せる笑顔は
案外
手術や薬よりも
患者の心を癒すのかもしれない
by藤内光輝(麻酔科医)
O.P.2 静かなる夜明け
第5章 …邪魔…
「もう、殺せよ」
今度はやや高い声が聞こえてきた。
修は聞き覚えがなかったので、
声がした方を見た。
低身長の黒いジャージをきた男が立っている。
医者、、、なのだろうか?
「渡海先生!」
麻酔科の先生が叫んだ。
「こいつまだ今日が初なんですよ。
今そんなこと言ったら、、、、」
麻酔科の先生は必死に制止する。
「邪魔」
しかし、渡海先生は止まることなく、
修の方へ近づいてきた。
「邪魔」
修は恐る恐るどいた。
「はぁ?
なんで開頭してないんだ?
血腫取らないと死ぬぞ。
早く血管クランプしろ。
…あぁ、…もっともお前にできればだな。」
「あの、あなたは?」
修は呆気に取られている。
「俺か?
心臓外科の渡海だ。」
恐ろしい空気が流れる。
何なのだろうか。
西条先生も黙り込んでいる。
この人は一体何者だ?
修は続けて質問した。
「渡海先生なら救えるんですか?」
「あぁ、そりゃな。」
「じゃぁ、お願いします。」
修は任そうとした。
しかし、渡海先生は動かない。
「金なら1銭も払わんぞ。」
西条先生は重々しい口を開く。
「ふん。
邪魔したな。」
渡海先生は帰ろうとする。
このままこの患者は死ぬ。
渡海先生しか救える人はいない。
修はそう思った。
「渡海先生!
お金ならお支払いします。
お願いですから助けてください。」
「じゃぁ、やれよ自分で!
誰にも頼らず全てできる医者になれよ。」
呆れた様子で再び近づいてきた。
「オペ室そのままも運んで
あぁ、執刀医はこいつで。」
渡海先生は修を指差してる。
場が凍りつく。
研修医1日目の修にできるはずがない。
「早く動けよ」
渡海先生が叫ぶ。
ナース達は渡海先生の恐怖に怯えて、
オペ室に運ぶ準備を光の速度で始めた。
西条先生は眺めているだけだ。
「西条先生、行ってきます。」
修はそう言って、心マしながらオペ室へ向かった。
「西条先生!」
麻酔科の先生が問う。
「いや構わん。
遺体と林がいなくなっただけだ。
なんの問題もない。」




