O.P.2 静かなる夜明け 第2章 …契約…
親の心子知らず
確かにそうだ
でも親だって子供の心はわからない
優しくすればいいのか
厳しくすればいいのか
実際良く分からないし
勝手な決断に振り回されたりする
でも
それでいいのだと思う
彼らの成功も失敗も
一緒に背負ってやる
その覚悟さえあれば
by佐伯
O.P.2 静かなる夜明け
第2章 …契約…
「もちろん、やめたりはしません。ただ、スーパーローテートについてなんですが…」
佐伯教授は嫌な予感がした。
おそらく、自分が研修時代にしたことを言ってくるのだろう。
そう直感した。
そんなことを考えてる教授を差し置いて、修は話を続ける。
「全ての科を回らずに、すべ」
「すべての期間をERにしてくれ。
というところか?
私が研修医時代にしたことだ。
拒否することはできまい。許可しよう。」
佐伯教授は全てを悟り、修が言い終わるまでに許可した。
修はほっとした。
教授が研修医時代に1つの科に留まっていたことは知っていた。
「ただし!」
修が礼を言う間も無く佐伯教授は続けた。
「一生ここで働け。」
修にとっては好都合だった。
自分が救われた東條大学病院が嫌いなわけはなく、
むしろずっといたかったのだ。
これで生涯職に困ることはない。(はずだ。)
修は満面の笑みを浮かべ、答えた。
「ありがとうございます。
一生働かせていただきます。
明日から、ER所属でよろしいでしょうか?」
「あぁ、構わない。
医局員へは私が紹介に行こう。
身の回りの整理は今日中にやっておきなさい。
明日から休みはないぞ。」
修は一瞬ゾッとした。
「承知ました。明日から必要なものはありますか?」
教授は真面目な顔になり、
「忍耐力、体力、判断力、集中力」
と答えた。
修の医局生活の幕開けだ。