9話:芋やるから襲わないでくれ
中学生の頃書いた作品の在庫セールです。
好評ならリメイクします
あれから更に何週間かが経過した。
その間は至って平和だった。
土と芋を改良したスペースにあるムベーノポトトはかなり健康に育っている。
誰もこれが元「食べられるゴミ」だとは思わないだろう。
凄いことにこの苗、7日に1回美味しい芋を収穫できる。
しかも芋を切り取っても枯れる事が無いのだ。
この芋が苗から採れていると言っても、誰も信じないだろう。
アレナが言うに、ノイランポトトが美味しいという時点であり得ない事なのだそうだ。
3日に1回収穫だなんて、考えられる訳がない。
又、収穫した芋はこっそり食糧庫の食べられるゴミたちと交換しておく。
食べられるゴミは今の所上限が見えない魔導袋に詰め込んでおいた。
すると朝食や夕食の味が明らかに上がっていった。
どうやら食べられるゴミなんかを使わなければ、普通に美味しい料理だったようだ。
後、1週間ぐらい前に食糧庫の芋達が無くなっているという事件があった。
〜1週間前〜
食糧庫の箱が、一つだけ空になっていた。
何故か俺が食糧庫の管理を任されていた為、確認して来いと言われた。
一応俺5歳なのに。
まず俺は食糧庫に残されていた何かが動いた痕跡を辿ってみた。
痕跡は食糧庫を出た後、村を囲う気休め態度の柵の隙間から外に出ていた。
俺も外に出てみる。
そのまま痕跡は森に続いていたので森に入ると…。
「〜〜〜〜」
はい。
ポテチがいらっしゃいました。
こいつの事完全に忘れてたな。
多分食料が尽きたので適当な食糧庫を漁っていたら、たまたまそこが俺がいるところだったのだろう。
多分だけどね。ポテチ喋れないし。
ポテチはこっそり俺の部屋に連れて行き、サナさんには適当にでっち上げた話を伝えておいたのだった。
◇
まあそんなとこかな。最初事件と言ってしまったが、別に事件というほどのことでもなかったな。
そんな事で今日も俺は畑を見て回っております。
端の方から少しずつ畑のノイランポトトをムベーノポトトに変えていっている。
毎日植え替えを行っているが、毎日【品種改良】等のスキル持ちの武器が使えるわけではないので、作業効率はものすごく悪い。
別に【品種改良】等のスキルを使わなくてもムベーノポトトに変える事は出来るのだが、それだと1日に1株くらいしか品種改良する事ができないので、今ムベーノポトトに変えられた株は34株くらいだ。
この畑には30列×20株くらい植えられるので、品種改良ができたのは全体の5%くらいだけだ。
ちなみに今日使っている武器は【備中鍬】だ。
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【備中鍬】ランクC
分類:斧
攻撃力増加値21
武器スキル
【植物高速成長LV2】【良き土かなLV7】【植物操作LV4】
一般的な農具。
備中鍬は硬い土を砕くのに使う。
刃部分が3~4本に分かれている
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そんなに平鍬と違った所は無い。
微妙にスキルのレベルが違うのと、攻撃力が平鍬よりちょっとだけ高いくらいかな。
でも【Life extension】をつけているので「攻撃力増加値21」は全く意味がなくなっている。
それに品種改良系のスキルが無いんだよな。残念ながら。
周りでは何人かが芋達に水をやっている。
事情を知っているアレナ以外は、なんで突然芋の感じが変わったのかわからないようだ。
サナさんも首を傾げてノイランポトトとムベーノポトトの葉を見比べている。
…と思っていたら突然建物内目掛けて駆け出した。
他の人たちも後を追うようにかけていく。
あ、アレナもどっか行った。
突然どうしたのだろう。
なんだか逃げているみたいな感じなんだよな。
こういう時って魔物が襲撃しにきていたりして…あ。
突然後ろに何かの気配を感じた。
嫌な予感がするが、振り返る。
とっさに俺は【鑑定】を使っっていた。
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【牙猪】
分類:魔獣
LV7/30
年齢21
状態:速度上昇
HP20/20
MP8/8
TP現在13
攻撃21
防御9
速度17+6
魔力3
IQ42
自己スキル
【超突進LV9】【速度上昇LV7】
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【牙猪】C−ランクモンスター
大きな牙を持つ猪。
とにかく突進することだけを考えている。
2枚重ねの石の城壁まで突き破れる。
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【飛猪】
分類:魔獣
LV3/15
年齢8
状態:通常
HP10/10
MP6/6
TP現在16
攻撃12
防御8
速度11
魔力1
IQ31
自己スキル
【超突進LV8】【尖石飛ばしLV3】
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【飛猪】Dランクモンスター
普通の猪サイズの魔獣。
遠距離攻撃が可能で、尖った石を飛ばす。
飛猪の飛は、飛び道具の飛。
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〜鑑定結果省略〜
うおおい!
直前で察したけれど魔獣に襲撃されてるじゃねえか!
猪みたいな魔獣が3体、畑の真ん中にいる。
2体は普通の猪くらいの大きさで、真ん中の一体はそれらの3倍くらいの大きさがあった。
芋が不味くなくなったから、こういう魔獣とかも来るようになったのかな?
て何冷静に考察とかしてるんだ俺!
さっさと逃げるしか無いじゃん!
別に戦う気は全くないし、戦って怪我するのも嫌だし!
俺は建物目掛けて駆け出した。
キッチンと繋がっている裏口を目指す。
と、突然裏口を塞ぐようにして何かが現れた。
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【飛猪】
〜鑑定結果省略〜
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何でだ!
タイミング良すぎるだろ!
別に芋食べたいなら食べて良いから!(そんなに良くないけど)
退路を断つとかしなくて良いんだよ!
数歩後ろに下がる。
そしてそっと横を見る。
…反対側の通路も塞がれてる…。
まあ予想通りっちゃあ予想通りだけど。
さて、という事でまたもや戦うこととなりました。
…。
同じ作者が今になって本気で書いた別作品、「商人さんが異世界壊して何が悪い!」もぜひ
https://ncode.syosetu.com/n3338ik/