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表彰台に四番を  作者: アマツ
3/3

空気

 入学式から4日が過ぎ、ほとんどの生徒が高校生活に慣れを感じ始める。そして、各クラスでおよその空気が造られ始める。

 特にお昼休みの時間には、その空気の形が良く分かる。

 明らかな陽キャラグループ、仲のいい人だけを集めた女子グループ、同じ部活のグループ、陰キャラグループ、そして孤独のボッチグループ(ボッチなのでグループとは呼ばない)など様々だ。

 その中で、海人はとあるグループに入ってお昼ごはんのお弁当を食べていた。メンバーは佐藤純一、永瀬由衣、神谷杏奈、そして山田信介だ。

 ちなみに山田信介は入学式の翌日に純一からの紹介で友達になった。

「ねえねぇカイ、ちょっと紹介したい奴がいて。」

「ん?」

 そう言って純一は隣に指を差した。そこには坊主頭の一人の男がいた。

「俺、山田信介、よろしく。」

 そう言って信介は突然握手を求めてきた。

「スゲー、本物だ〜。」

「おい、純ちゃん、これって、どんなドッキリだ。」

「ゴメン、ゴメン、コイツ俺の中学校からの友達で一緒に水泳やってたんだ。突然握手をするような奴だけど悪い奴じゃないから。」

 こんな形で信介と友達になった。あだ名はシンシンだ。

 ところで、なぜ高校生活4日目にして、男女が同じグループにいるのか。それには由衣の巧妙な策略があった。

 入学式が終わり自宅に帰ってから、一日の疲れを癒していると、突然由衣からのラインが来た。

「カイくん、あのイケメン君と仲良くなったの!?」

「イケメン君って、佐藤純一のことか?」

「そうそう」

「ああ、友達になったよ。」

「じゃあさ、その子をライングループに入れて。」

「お前、狙ってるの?」

「私じゃなくて、杏奈が狙ってるの。」

 思わず、タップする指が止まった。

「杏奈って?」

「神谷杏奈、あのチョーかわいい子。学校であの男の子と付き合いた〜いって言ってて。」

 「かわいい女子」という生き物は恐ろしい事に数時間前に会った人物に、自分の好きな人を教えて、友達にその手助けをさせるのだ。

 あ〜女子って怖い。

「カイくんグループに招待するから、後でカイくんが佐藤君を招待して。」

「分かった…。」

 グループ名は「村人たち」という物だった。どちらかと言えば「一人の姫と一人の王子とその他の村人たち」が正しいと思うのだが。

 はぁ〜。結局、美少女と俺は結ばれないのか。神様も空気を読む時代になってしまったのか。

 俺の人生終わった。



 イケメンなんて死んでしまえ。





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