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表彰台に四番を  作者: アマツ
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友達

 クラス全員の自己紹介が終わった。

「この後、教科書を配って、高校探検に行くぞ。その時に、職員室とか、保健室とかの場所覚えておけ。じゃあ、チャイム鳴ったら休み時間。」

 担任からの連絡を聞き、休み時間になった。数人の生徒が廊下に出て行き、中学校の同級生と話し合っている。その他の生徒は、自分の席で座ったまま手をじっと見つめていたり、腕を組んで寝ていたり、ボーッと目の前を眺めていたりしている。

 この空気、なんか…気まず。

 それもそのはず、クラスメートとは51分36秒前に出会ったばかりなのだ。そんな相手に話しかけるのは、なかなかレベルが高い。

 すると、後ろから肩を叩かれた。ゆっくり振り返ると、そこには永瀬がいた。

「ねぇねぇ、あの子、チョーかわいいよね。」

 そう言いながら、彼女は神谷杏奈を指差していた。

「お前、人のこと指差すなよ。」

「あっ、そっか。」

 そう言いながら彼女は指を下ろし、ニコニコした顔を見せた。

「私、あの子に話しかけてみる。」

「お前マジか、この空気の中チャレンジするのか。凄いなお前。」

「凄いでしょ〜。」

 そう言って、彼女は神谷の方に歩いて行った。

 アイツ凄いな〜。まぁ、別に俺には関係ないけど。さてと、また気まずい空気に逆戻りか。

 すると、再び後ろから肩を叩かれた。これには驚きを隠せない。

 俺と同じ中学校のヤツって、由衣以外いないよな。でも、ついさっきアイツは神谷の方に歩いて行ったし、つまり今、俺の肩を叩いたのは、一体誰なんだ。

 頭をフル回転させ答えを出そうとする。しかし、いくら頭を使っても分かりそうもないので、ゆっくりと振り返る事にした。

 そこには、イケメン男がいた。

「ねぇ、君って、山崎海人君で合ってるよね?」

「うん、そうだけど、え〜っと?」

「あっ、ごめん。俺の名前は佐藤純一。あのさ、君の名前聞いて、気づいたんだけど、君って水泳の市大会で一位だった子だよね?」

 水泳というワードがいきなり出てきてとても驚いた。

「えっ、なんで知ってるの?」

「だって君、有名人だもん。毎年大会優勝してるし、県大会でも、4位に入ってるし。」

 そうか、俺はいつの間にか有名人になっていたのか、よし、サイン考えておこう。

「あっ、チャイム鳴りそうだから、また後話そう。じゃあね。」

 そう言って、彼は席に戻って行った。

 その後は、佐藤と一緒に高校探検に行った。その時に、彼と沢山の話しをした。どうやら彼は中学校で水泳をしていたらしく、市大会で何回か俺を見たらしい。そして、俺を目標に水泳わ努力していたらしい。

 しかし話してみると、彼は決して、イケメンクソ野郎では無かった。むしろ良いヤツだった。教科書配布の時には、率先して、配りを手伝い、話している時も、俺の話をしっかりと聞いてくれて、当たり前のように頷いていた。

 数分前の自分を叱りたい。やっぱり人は見た目で判断してはいけないな。

 その後、今日の活動はひと通り終わり、放課後になった。

「とりあえず、ライン交換しておこうぜ。」

「おう。」

「じゃあ、海人君またね。」

「おいっ、海人君って呼ばなくて良いよ。カイって呼んでくれ。」

「分かった。じゃあ俺のことは純ちゃんって呼んでくれ。」

「お前、自分の名前にちゃん付けるのかよ。」

「いいだろ、中学校の時ずっと呼ばれてたんだから。」

「分かったよ。じゃあな、純ちゃん。」

「またね、カイ。」

そう言って、自転車を漕いで、佐藤は行ってしまった。

 よし、ボッチ回避成功。

すると後ろから、明るい声が聞こえてきた。

「カイ君一緒に帰ろ〜。」

 そこには永瀬がいた。

「なんだ、由衣か。」

「なんだとはなんだ。女子と一緒に帰れるんだから喜んでよ。」

「入学式で寝ているヤツが女子な訳ないだろ。」

「ひど〜。」

 そう言って彼女は頬を膨らませていた。

「ところでお前、友達作れたのか?ちなみに俺は作れたぞ。」

「私全然駄目だった。たった5人しか友達になれなかった。」

 一瞬幻聴が聞こえてきた。

「ゴメン、何人って言った?」

「だから5人だよ。」



 今日はボッチにならなかっただけ、良しとしておこう。



 

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