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青春

作者: 千紗

すみません、全てほっぽり出してこっち書いてました

初の2万字超えです

暇つぶしになれば幸いです



初めて彼女を見た時は何とも思わなかった


今思えば1年から同じクラスだったはずなのに


1年の時は俺は別のやつと付き合った


彼女も野球部のやつと付き合ってた


2年の時は俺はまだそいつと付き合ってた


彼女はもう別れてて俺の友達が彼女のこと好きやった


俺は手放しで応援した


彼女にもバレバレで傍から見てもOKの雰囲気だった


修学旅行も同じ班で絶好のロケーション


でも、友達はひよって告白しなかった


結局1ヶ月後に告ってた


結果振られた


理由は私より素敵な人いるはずだからごめんね、らしい


まぁ、時期が悪かった


同時期に彼女と同じ部活の子が告られていた


その部活の子は想いを寄せられていて


その想われている人に誘われて


二人っきりでイルミネーションも見に行ったのに


告ってくれなかったらしい


雰囲気も良かったのにとかあれならOKするのになぁとか


そんな状況を捨ててまで彼はクリスマスを記念日にしたかったらしい


彼女的にはロマンチストはノーらしいので玉砕されていた


ちなみにクラスメイトも大体は察していて


彼は女子からは針のむしろに


男子からは格好のおちょくり相手になってしまった


その頃俺は彼女と別れた


そろそろ受験だから、恋愛にかまけられないからって口実で


結局…何が言いたいかと言うと


過去は変えられない、今言って後悔しないかどうか


今は3年の秋…受験期真っ只中


彼女を前にして俺は葛藤していた



7月25日



きっかけは些細なことだった


3年の夏そろそろ部活も終わり本腰入れて勉強しなきゃと焦る時期だ


明日から夏休みに入る


みんなは予備校やら夏期講習やらでてんてこ舞いになっていた


俺も正直どうしようか迷っていた


結局、朝は学校の自習室に行き夕方から予備校


そう計画し、自習室の紙を出しに職員室に向かった


「失礼しまーす、3年D組の染井 藤磨です。相生先生いらっしゃいますか?」


「はい、相生です、って藤磨かどうした?」


「自習室の出席だけ出しに来ました」


「お、偉いやんか今年は希望者が少ないため教室1つでいいからエアコンつくらしいぞ」


「え、まじっすか!天国ですね!」


「まぁ、受け取ったわ…うん書類にミスないし預かる」


「あざっす!失礼しました!」


「おう!勉強頑張れよ!」


よし、帰ろ…ってあ


「はるちゃん一緒に帰ろや!」


「はるちゃん言うなしばくぞ」


「1番呼びやすいししゃあないやん」


「俺には高宮 晴人って立派な名前があるんですー」


「だから、はるちゃんやん何がおかしいねん」


「女っぽいから?」


「質問を質問で返すなや文句言いたいだけやろ?」


「Exactly!」


「しばく」


いつも通り、こつきあいながら帰ってると後ろから声が聞こえてきた


「あ、そめちゃんに晴人やんなにしてるん?」


「お、桜音やん」


「志帆も帰り?」


「うん、でもその前に自習のやつ出しに行かな」


「え、桜音も自習するん?じゃあ毎日会うな」


「へぇ、そめちゃん自習するんやイメージないわぁ」


「余計なお世話や、そういや晴人はどうするん?」


「俺はずっと予備校に引きこもるよ」


「来たらええのに」


「学校より絶対涼しいからな」


「うちは学校が丁度ええわ予備校寒すぎる」


「じゃあ桜音俺とふたりで晴人見返そうぜ」


「そうやね!見とけよ見とけよ~晴人かくごっ!」


「お前らは何と戦ってんねん…」


「あははっ、じゃ、職員室行くね!ばいばーい!」


「おう」


「気ぃつけてなぁ」


こうして俺ら2人も帰路につくことにした


「1つ気になってんけどさぁ」


「ん?」


「晴人と桜音って仲良かったっけ?」


「あぁ、選択授業が同じで出席番号の関係で席隣やったからなぁ」


「それで下の名前呼びあってんのか青春やなぁ」


「そんな余裕あるかよ、てか別に好きな人俺いるし」


「え!初耳!誰?吐け!」


「誰が教えるか!てか、それこそお前の方が意外だな」


「話をすり替えるな!って何が?」


「いや、桜音と3年間クラス一緒やろ?別に名前呼びくまらいしてもいいんじゃない?」


「そこまで仲良くないし、てかあんまり喋ったことない」


「あいつ女子にしてはノリよくていいやつ」


「へぇ、興味あるからLINEでも飛ばそかな」


「おい、受験生勉強しろ」


「でーじょーぶ、でーじょーぶ、あ、俺こっちやからじゃあな」


「相手の邪魔にならん程度にな、またな」


「おう!」


早速LINE飛ばしてみるかな、しっかし話題無いなぁどうしよか

と悩んでいるとピコンッとLINEが来たようだ

誰からと思っていると件の桜音さんだった


「割と運命すぎて感動、いやひょっとしてどっかで聞いてたか見てたってレベルで怖いな」


まぁそんなことは置いといてっと内容は…あぁ予定してたクラスのエアコンが使えなくなったのかで教室は違うところとなるほどとりあえずこう送るか


「かしこまりっ(๑>؂•̀๑)」


「うざ」


秒で返信返ってきたつらい



7月26日



そんなこんなで夏休み初日、空を見ると雲ひとつない空

正直夏って雲がある方がジメジメして鬱陶しいよななんていうか湿度が高いというか…あ、俺だけ?

気がつくと教室前、さて何人いるかな?


「あ、おはよ~そめちゃ~ん~」


「おう、おはよ!って桜音だけ?他は?」


「うーん、話に聞くところうちとそめちゃんだけらしいよ」


「え、まじ?そんなことある?」


「まぁ、補習の間に来る人はいると思うけど」


ほら、これ一応の名簿表と桜音が渡してきたものを見ると確かに桜音と俺の名前しか無かった


受験前の夏休みに二人しかいないって大丈夫か?この学校…

俺の予想では教室2つ分ぐらい埋まってると思ったんだけどな


「じゃあ、気軽にやれるな」


「うちの邪魔しないでね?」


「それはさすがに…まぁ勉強飽きたら相手してもらうけど」


「ダメじゃんそれ笑」


それから時間はすぎて昼、自習を朝9時からやってたから割と集中出来ていたと思う

そういえば、桜音は飯持ってきてるんかな俺は買いに行くけど

一応声かけてみるか…


「なぁ、さくだ、痛っ」


「え、いきなりどうしたの?なに?」


「いや、噛んだだけだから大丈夫、お前の名前呼びにくい」


「そんな事言われても…」


え、さくらねって意外に言いにくくない?俺だけ?


「じゃあ志帆って呼べば良くない?」


「いや、俺的に恥ずい」


思春期の男子にしてはハードル高すぎませんかね


「じゃあ、うちもとーまって呼ぶから」


「…それなら、気が向いた時に呼ぶわ」


「お前、君、あんた禁止ね」


「姫君殿、私はコンビニに行きますがご同伴願えるかな?」


「適当に詰め合わせた感すごいね…うちは弁当持ってるけど、別に付き合ってもいいよ」


「流石は姫君!我感激の至りでございます」


「さすがにうざい」


「ごめん、じゃあ行こうぜ志帆」


少し驚いた様子でその後少しはにかみ


「うん!」


と言ってくれた



7月28日



「勉強あーきーたー」


「志帆さんや昼飯食ってまだ1時間経ってませんぜ」


「飽きたものはしゃあないじゃん」


「誰だったっけ?邪魔しないでとか言ってたの」


「前・言・撤・回!あ、恋バナしようよ恋バナ」


「自由か!まぁいいけど…」


正直、この話題には触れたくない、理由は俺の友達が振られてるから

さらっとそれ関連で口を滑らしたら根掘り葉掘り聞かれるかもしれないから…いや、待てよ逆にチャンスでは?

何故あの時振ったのかわかるじゃん、こっちからは最低限…てかぶっちゃけ俺の詳しい話知らないだろうしよしこの方向性で行くか


「ちなみに誰の恋バナするんっすか?」


「長谷さん?」


「却下、あれは羨ましすぎる」


「とーまって長谷さんがタイプなの?」


「いや、雰囲気がさ、もう学生が出していい雰囲気じゃないやん」


「確かにね…じゃあ誰の恋バナする?」


「発案者がそれかよ…じゃあ、俺のでいいなら話すで」


「条件はうちの恋バナか…」


「察しがいいな」


「友達がなんで振られたか気になるでしょ」


俺はぞっとした、いつから気づいていたのだろうか

おくびにもだしてないつもりだったのに


「晴人から聞いたの、とーまが恋バナ好きじゃないの」


「あ、まじ?」


「だから、うちのことについて聞きたいのかなって」


「ごめん」


「いや、うちも逆の立場なら聞きたいしおあいこだよ」


「あざます!せめての詫びに俺のから話すか」


「初恋から欠かさずにね」


「え」







「へぇ、ベタに初恋の人幼稚園の先生だったんだ意外


「その次に幼なじみ


「その後に先輩


「そして最後にうちも知ってるあれね、1年持ったんだったけ?」


「持ったとか言い方やめろ」


「ごめんごめん」


俺の恋愛の歴史を洗いざらい吐かされた

本人曰く別に恋バナするのはなんの抵抗もないけどはめようとしたのが気に食わないらしい


「あれって告ったのどっちだったの?」


「あっち、と言ってもほとんど友達の延長線ぽかったけどな」


そう、付き合う気はなかったが他の奴らも付き合い始めてたので正直俺は経験してみたかったんだ


だけど…


「俺が誘っても連絡してもなんか#付き合ってる感__・__#が感じられなかったんだよ、ほとんど断られるし」


「うわぁ、まじか」


「だから、受験を口実に振った」


「うん、それがいいと思うよ」


「これで俺の話は終わり、次は更新をお待ちください」


「そんな、投稿風に言われても…」


「じゃあ、洗いざらい吐いてもらおうか」


「うち?んーー、まずとーまの友達振った理由から話すね」


「お、おう」


俺は身構えた、実は俺の友達はまだ志帆のことを狙っているのだもう一回勇気がないだけで

だから、ひょっとしたらがある、自分勝手な責任重大だ


「それより先に言っとくね…うち、好きな人出来たことないんだ」


「は?」


「いや、正確には心から好きになった人居ないんだ」


「これまでに?」


「これまで何回か付き合ってみたけどどれもしっくり来ないんだ


「もちろん付き合った人皆好きになろうとしたよ


「でもね、やっぱりなんだかなぁって思って振っちゃうの


「あ、でも野球部の時は違うよ、男バスのある子がちょっとめんどくさっかったから丁度体良く使っただけだし


「で、とーまくんの友達がダメだったのはうじうじしすぎ


「うちは多分さっぱりした人が好きやと思う


「だから、彼の想いには答えなかった、意味が無いから


「これでいいかな?」


ニッコリ間違いなくこの表現出会っている表情なのに俺の心の中では


オンナノココワイ


この一言に尽きる


でも、本心なのも分かった


そして憐れ友人よお前に春は来ない…あれ、目から汗が…


うん、これは言えねぇわ


「うん、ありがと」


「なんか、うちが悪女みたいに思われてそうだね」


「正直思ってる」


「ひどっ!まぁ普通はだよねーって感じだね」


「でも、なんで俺にここまで話してくれたの?」


「じゃあ逆に聞くけどなんでうちにこれまでの恋愛歴史話してくれたの?」


「それは、聞かれても別に困らないから?」


「あ、そっちなんだ、うちはとーまなら別に聞かれてもいいと思ったからかな」


「お!結構な高評価で嬉しい」


「だってその事友達に言わないんじゃなくて言えないに思考するでしょ?」


「志帆が俺の性格分かりすぎてる件について」


「そんな某作品をオマージュしてもダサいだけだからね」


「へぇ、結構そっちもいける口?」


「人並みには」


「奇遇だな」


すると、一日の終わりを告げるチャイムが鳴った


6時が最終下校だから…あれから3時間も喋ってたのか


「じゃあ、明日はそれ関連かな」


「勉強いいの?」


「別に、やりたいことあるわけじゃないし、まぁ最低限はやるけど」


「浪人したくないもんな」


他愛のない会話をしながら戸締りをしていく、と言っても鍵かかってるか確認するだけやけど


「よし、オールオッケー」


「おつかれ、俺が鍵返しに行くわ」


「え、一緒に帰らんの?」


「家別方向やろ?」


「定期切れたからそっちの最寄り駅で帰れるはず、晴人と同じら辺やろ」


「マジか、そうやで、じゃあ職員室行こか」


「うん!」






「あーつーいー」


「そりゃ夏真っ盛りですからね」


「ちょっとコンビニに涼みながらアイス奢ってよ」


「えー、自分の払えよ」


「今日うちをはめようとしたことあることないこと言いふらそうか?」ボソッ


「いやぁ!実はパピコ食べたかったけどお腹いっぱいだから1つでいいけど誰か食べてくれないかなぁ!」


「じゃあうちがもう一本貰ってあげる!」


「え、まじで!ありがとう桜音さん!」


「どういたしまして!染井くん!」


「白々し過ぎる」ボソッ


「なんか言った?」


「いや、志帆様は天使だなぁって」


「よろしい」


はにかんだ表情、暑さで上気した頬


少しかわいいと思ったのは秘密



8月6日



「ねえ、今年の花火大会行く?」


「なんだよ藪から棒に」


なんだかんだで8月に入った、この学校は土曜日も学校が開いていて自習室も空いていた。

相変わらず俺と志帆だけだが…


「藪から棒にじゃないよ!うちら今をときめく18歳だよ!アオハルしなきゃ!」


「おい、受験生…って言いたいところだが、たまの息抜きには良いかもな」


息抜きは大事だ、正直勉強から逃げたい口実かもしれないが…


でも、なんだかんだ勉強は家でやるより出来ているんじゃないか


志帆も集中する時はするしお互いの距離感がこの数日で分かってきた


そして、無意識に目で追ってしまう自分も


志帆は基本良い奴だし見た目もかわいい


…正直惹かれてると思う、でも好きな人出来ないとか言ってたし


でも、時期が時期だし…正直伝えなくてもいいかなって思う


第一、こんなに異性と一緒にいることがなかったから


勘違いしてる可能性も充分ある、思春期男子なら尚更だ


正確には自分のせいで1パーセントでも


他人の人生を悪い方に落としたくないだけだ


ってうじうじしても、仕方ないんだけどね


「やった!今誘えるのとーまぐらいでさ」


「確かに誘いにくいな今の時期は」


「でしょー、LINEとかも最近てんで触ってないし」


「だから、毎日会ってて比較的暇そうな俺を誘ったと」


「一応、花火大会だってお祭りだよ?1人で楽しむより誰かと楽しんだ方がいいじゃん!」


「確かにな」


「じゃあ、レッツラゴー!」


「今日日言わないなぁそのセリフ」


「え、まじ?」


と言って彼女は落ち込む振りをして、にこーと微笑む


正直、彼女は俺と花火見に行きたいじゃなくて


少し仲の良い友達なら誰でも良かったと思う


でも、俺も男ですから、誘われるかなとか考えてたし


実際誘われちゃって有頂天にならないようにしている


志帆は暇そうだから誘っただけ


でも…それでも


結構期待しちゃってる自分が居て辛い



「やっぱり人多いねー」


「そりゃこの辺の花火大会って毎年ここしかないしな」


花火自体は8時からだが現在は6時半


しかし、見渡す限りの人、人、人


1歩間違えれば簡単にはぐれそうだ


「はぐれるなよ、はぐれたら合流するのがとてつもなくめんどくさい」


「その時はその時でドキドキ味わえるでしょ?」


「え?どんなドキドキっすか?」


「そりゃ、私と離れてどうしよーっみたいな?」


「そんなドキドキはこっちから願い下げだわ」


「え?そう?そういうやつってまた出会えた時吊り橋効果的になりそうやけどなー」


「お前は俺といてそういうのならねぇだろ…」


「え?」


彼女は驚いたようにそう言った


本当にそういう反応やめて欲しい


期待してしまうから


俺が何も答えないでいると


彼女はニコッとこっちを向いて


「冗談だよ」


って、言った直後


パァーンと花火が上がった


「うわぁ、綺麗やなぁ」


って呟いた彼女に目を向けた


その時に見た彼女の横顔が


花火の色で真赤に染まり


浴衣姿でもないのに


心が奪われたんだ



9月6日



「なぁ、晴人ー放課後勉強しねぇ?」


時は移ろい二学期勉強一色になるこの季節


俺は悩んでいた


「…別にいいけど、2人か?」


「いや、志帆も入れて」


「…りょーかい」



「じゃあ、晴人もとーまもばいばーい( ^_^)/~~~‬」


気をつけてなーって言葉を送り志帆に手を振る


そして、しばらく歩いて俺は少し緊張しながら話しかけた


「なぁ、晴人」


「うん?」


「お前の恋は叶ったのかよ」


晴人は豆鉄砲を喰らったかのような顔をした後


何か腑に落ちたような顔になり真剣な表情になった


「叶わねぇよ、そんなもの時期を考えろ」


「だよなぁ、そう…だよなぁ」


そう、今はそんなものにかまけている余裕はない


俺もこの夏休み中に別れた奴らはたくさん見た


でも、結ばれたやつは知らない


「志帆に伝えたいのか?」


続けてこう言った


「絶対幸せにならないぞ」


「お見通しだな…」


「何年友達やってると思ってるんだ」


「そうだな…」


「まぁ、俺は気持ちを伝えるのは悪くないと思う」


俺はびっくりした


いや、違うはっきり否定して欲しかったんだ


こいつが言うなら仕方ないって思いたかった


「…別に俺の一言で諦めるられるならそれでもいいとは思った」


「ばればれかよ」


「まぁ、聞けよ…


「俺もさ好きな人がいるんだ


「いや、いたんだ


「ずっと忘れられなくてさ


「あいつはすっげぇ元気な子で


「一緒にいるだけでポジティブになれる


「太陽みたいな子で心底惚れてた


「でも、その子は倒れた


「あれは一昨年ぐらいの夏か


「一緒に水族園に行ってたんだ


「ラッコ見てペンギン見てさ


「最前列でイルカ見てびっしょびしょになりながらさ


「嬉しそうに微笑むあいつを見て


「俺はその時この後の人生こいつといれたら


「どんなに幸せだろうか


「まだ、成人すらしてないクソガキがさ


「付き合ってもない子に


「そんな幻想を見たんだ


「家まで送って告白しよう


「柄にもなく愛を叫ぼう


「とか考えながら彼女と帰ってた時


「彼女は倒れた


「そこから初めて尽くしだった


「救急車を初めて呼んだ


「その子の親にも事情を説明した


「その後時間が遅いからって初めてタクシーにも乗った


「その次の日学校でさ心配やったけど部活もあるし忙しかった


「今でも後悔してる


「一生あの時の自分を許せないだろうな


「その次の日行ったらその子はその病院にはいなかった


「どこに行ったと思う?


「外国さ


「突拍子も無さすぎる話に考えるのを放棄したさ


「でもな、学校で話を聞くと現実なんだ


「もうこの日本のどこにもあいつはいない


「場所も個人情報がうんたらで分からない


「その時に生まれて初めて体験したよ


「自分の無力さやるせなさそして


「自分を初めて殴りたい衝動に駆られた


「そして、世界を呪ったさ


「あの頃から俺は荒んだ


「まぁ、俺の黒歴史はどうでもいいとして


「俺が言いたいのはさ藤真


「言って後悔するより言わない方が100万倍後悔するぞってことだな」


そうやって話してくれた


あいつの初めての表情を見て


ゴクリっと生唾を飲んだ


初めて同級生に圧倒された


そして、俺がどんなに残酷なことを相談してるのかが分かった


こいつがやりたくても出来なかったことを俺は手放そうとしてた


だから、俺は


「悪いなこんな辛気臭い話をして」


「いや、目が覚めたよ」


「正直、俺と状況も違うし志帆の人生も少しはお前のせいで悪い方に行くかもしれない」


「わかってる、それでも言うよ…伝えるよ


「俺の自己満かもしれない


「あいつとの縁が無くなるかもしれない


「それで、俺のせいで志帆が…って一生後悔するかもしれない


「でも、それでも


「せっかくお前がしてくれたことを


「無下にしたくない


「だからさ、伝えるよ


「俺の気持ち」


「そうか」


そう言ってあいつは堰が切れたように笑いだした


俺も笑った


初めて友達とこんなに、深い話したと思う


「なんか、初めて青春って感じがしてるな…」


「…カップラーメンでも食うか」


「せやな」


今日は今年1最高の日になった



「めっちゃ雰囲気に流されそうだけどどう告白しよう」


野郎2人ベタに公園でカップラーメンを啜る


うますぎる


「それは知らん自己責任だ」


「あんだけ焚きつけていおいて無責任過ぎないか?」


「それは知らん自己責任だ」


「あ?」


「それは知らん自己責任だ」


「駄目だ壊れてる」


「まぁ、当たって砕けろぐらいでいいんじゃないの?」


「せやなシンプルに好きだけでいいか」


「やめろ気持ち悪い」


「てめぇに言ったんじゃねぇよ!」


「まぁ、その意気だ、じゃあな」


「おう」



9月7日



「うっす!じゃあ今日も勉強を~って晴人は?」


「今日は予備校だとよ」


「むぅ」


「俺と2人は嫌なん?」


「多い方が楽しいじゃん!」


「あ、さいですか」


「そういえばとーまはどこ狙ってるの?」


「○○大学」


「近場過ぎて夢がないなぁ」


「そういうと志帆は?」


「○○大学」


「近すぎて夢がないなぁ」


「てか一緒なんやね」


「判定はA判だから大丈夫や思うけどな」


「うちもうちも」


「勉強会する意味とは…」


「それ誘ってる方が言ったらおしまいだと思うよ」


「もうそろ帰るか」


「え!もうそんな時間って、あぁ冬季のくそ短い完全下校時間か」


「嫌そうやな」


「この時間で現役どれだけ恨めしかったか」


「まぁ、規則は規則しゃあないな」


「じゃあ、帰ろっか!」


「うん、でも待って…」


すーーーー…はーーーー


俺は深呼吸する


正直、心臓バクバクしてるのが自分でもわかる


振られると思っていても緊張する


それでも言葉を紡ぐ


キザな言葉は必要ない


万一の不安も無くなった


だから、シンプルに


想いを届ける


「志帆、好きだ」



志帆side



え?まじ?今の時期に言う?


まぁ多分余裕やけどそれでもなぁ


てか、あの恋バナ遠回しに誰とも付き合う気はない


っていう宣言だったんだけどなぁ~


でも、とーまってそんな恋愛脳じゃないはず


と考えていると彼は続けてこう言った


「正直、今の時期迷惑かもしれない


「でも、聞いて欲しい


「俺は最初は諦めるつもりだった


「この時期なら志帆に迷惑かけるかもしれないし


「とりあえずA判じゃなかったらしばらく言ってなかった


「多分、卒業ぐらいに言ってたと思う


「でも、言わずにはいられなかった


「返事はなくてもいい


「俺のこの気持ちだけ知っといて欲しい


「自分勝手とか思うかもしれない


「でも、後悔だけはしたくないんだ」


なるほど、でも腑に落ちないことがあるね


「ひとつ聞いていい?」


「なに?」


「なんで言おうと思ったの?最初は言わないつもりだったんでしょ?」


これでワンチャン付き合えたらとかなら断る


とーまは友達としては最高レベルだけどね


恋愛対象としては見れないし今は


「これは、友達に言われたことなんだけどな


「言って後悔するより言わない方が100万倍後悔する


「って言われてさ、そいつのエピソードも聞かされてさ


「俺が悩んでることがすごくちっぽけに思えてさ


「無意識に保身に入ったって言うのかな?


「俺はそいつに告るのやめとけって言われたかったと思う


「それもそいつに見破られててさ


「まぁ、正直志帆と付き合いたい


「でも、今じゃなくていい


「卒業後ぐらいには返事欲しいけど


「これはただの自己満なんだ


「ごめん、でも、好きって気持ちは本物だから」


正直聞き入ってしまった


初めて見せる男らしい顔と真っ赤な顔


少しドキッとしなかったと言ったら嘘になる


結構真剣に私のことも考えてるみたいだし


それでも、今は付き合えない


でも、振るとは違う


こんなに自分のこと想ってくれているんだし


なんか、こんな言い方あれだけど


もったいない


だから、


「今はごめんやけど恋愛にかまけてる余裕ない


「…でも、とーまの気持ちは伝わった


「今は付き合えない…でも!


「とーまさえ良ければ


「約半年後まだ気持ちが変わってなかったら


「卒業後にもう1回告白して


「そこで返事…するから」


今の自分ではこういうので精一杯だった



晴人side



あいつちゃんと言えたかなぁ


確か志帆成績良かったはずだから大丈夫なはずなんだけど


確かにA判定じゃないと今言うのは厳しいよなぁ


とセンターの過去問を解いていたら1通のLINEが来た


藤真からだった


恐る恐る開けてみると


「告ったけど保留卒業後もう1回告るわ」


俺は心の中でガッツポーズをした


俺の最も恥ずかしいエピソードを言ったぐらいだからな


いや、悔しいが適切か


きちんと告白してくれて良かった


振られたら存分に慰めてカラオケオールだし


OKだったらとりあえずカラオケオールだった


だから、保留でカラオケ行く口実が無くなり残念に思う


まぁ、冗談だが


しかし、差し支えのない所に落ち着いたと思う


正直7:2:1で振られる保留付き合うだったからな


よくやった藤真


これで俺もスッキリして勉強に望めると鉛筆を持った時


志帆から電話が来た



「こんばんは!今電話大丈夫?」


「なんだ?魔性の女」


「それムカつくからやめて」


「冗談だ、大丈夫だぞ」


「それは良かった、もう藤真から報告あった?」


「焦らしプレイを受けてる報告だけは」


「…絶対晴人わざと言ってるでしょ?」


「俺的にはすぐに返事出して欲しかったからな」


「そういうものなの?」


「待たされるのは辛いからな」


「…」


「でも、卒業後って期限決めてくれたから良かった」


「ナイスでしょ?」


「あぁ、期限なしだったら今か今かと気にしてなくても心のどこかで気にするものだからな結果はともかく」


「あざます!でも、うちのナイス判断を自慢しに来たわけじゃないの」


「じゃあ、なんのためだ?藤真は良い奴だぞ?顔良いし運動できるし性格もいい完璧だ!」


「なんで晴人がべた褒めなのよ…そうじゃないの」


「そりゃ親友が俺の悪評で付き合えないってなったら可哀想だからな」


「もう…そうじゃなくて分からないの」


「何が?」


「うちに恋愛がきちんとこなせるか」


「と言うと?」


「うちの前の彼氏と付き合ってた理由知ってる?」


「知らねぇけど知らん間に終わってたぐらい短かったな」


「そうなの、あの時は違う子からもアプローチ受けててウザかったから丁度告白してくれた野球部の人と付き合ったんだけどさ」


「へぇ、そうなのか」女子コワイ


「今となったらめっちゃ失礼やったなぁって」


「確かにそうだな」


「そうはっきり言ってくれる所好き」


「やめてくれそういうのは藤真に言ってくれ」


「心の中で送っとく…はい、送った!」


「軽すぎてびびったわ」


「まぁ、ともかく藤真にも同じことしちゃうんじゃないかなって」


「大丈夫だよ」


「え?」


「そう思ってる時点で大丈夫」


「なんでそう思うの?ひょっとしたら付き合ってポイかもしれないのに」


「俺に相談してる時点でその彼氏よりは大切にしようと思ってると勝手に思ったからかな」


「そう、そっかーうち思ったよりとーまのこと考えてるんだね」


「いや、それは知らんけどな…それだけか?」


「あ、あともう1つあるんだ」


「なんだ?とーまの恥ずかしいエピソードか?それならたんまり…」


「いや、興味あるけどそうじゃない、…とーまの元カノの事なんだけど」


「あぁ、マネのあの子か気にしなくていいと思うぞ?」


「それについては本人から洗いざらい聞いたからいいんだけど」


「おい、俺も混ぜろよつれねぇ」


「晴人は予備校で涼んでたでしょーが!」


「それもそうだったな、俺から見ても完全にマネの一人相撲だったぞ?」


「え?とーま、そこまで興味なかったの?」


「あの頃のあいつは部活一筋って感じだったな勉強もそこそこ出来てたけど」


「じゃあ、うちが付き合ってもやっかみ受けない?」


「そもそも返事卒業後だろ?そんな心配要らないぞと思うぞ?」


「あ、ほんまや、まじか…」


やってもーたって小声で聞こえる


これじゃ志帆が藤真を意識してるみたいで面白い


てか、意識はしてるんじゃね?


「志帆さんかわいいなぁ、今すぐ藤真にLINE送るか」


「え、なんて?」


「このボイスレコーダー…」


「うっそ!?それはやめて!」


「うそだよっと可愛いやつやなお前は」


「うっさい!死ね!おやすみ!ありがと!」


ブツッと切られた


「おやすみ、どういたしまして…ってもう切れてるか」


「良かれと思ってキャラ変してまで乗ってやったのに連れないやつ」


まぁ、いいかとりあえず悪い方には進まなそうだからな


てか、ありがとうってそれでも言うのか…律儀だな


そうにやっと自分でも口角が上がるのに気づき


上機嫌で彼は眠りについた



12月19日



「うぅ…最近寒なって来たなぁ」


「もう12月やし明日で二学期終わるもんなー」


「はやいなー、後ひと月でセンターか」


「そういうことは言わない!」


「すんませ…ハクチュ」


「くしゃみ女子アピールのあざとさ透けて見えてかわいくみえん」


「そういうってことはかわいいって思ったんでしょ?」


「うん、そう思ったよ」


「……」


すると、志帆はマフラーで自分の顔を隠すように顔を埋めた


俺の最近の流行りは自爆させるのと照れさせること


こいつ喧嘩売るくせに弱すぎる


…正直言ってる自分も恥ずかしいけど


志帆は煽り耐性弱すぎるから損得で言うと得してる


だって照れ顔バカかわいいからしゃあない


最近…マフラーが邪魔で見れないけど


でも、こうなると志帆に会話降らないと喋ってくれないのが


唯一の難点かな?


「この辺雪振らんから憂鬱やわー、雪合戦してみたかったなぁ」


「…雪降ってまだテンション上がんの?」


「え?女子は上がらん感じ?ひょっとして男子だけ?」


「晴人もなんだかんだ雪だるま作りそうやね」


あれからもう3ヶ月経った


なんだかんだ文化祭と体育祭はあったが


2人で過ごすことが出来ず


そんな甘酸っぱいことは全くと言って無かった


いや、日常を過ごすだけで幸せなんだけどね?


まぁ高校最後だしどっちも同性同士でつるんでたからね


てか、2人で過ごすこと…ってなんだよ付き合ってねぇよ…


「はぁ…」


「え、テンション上げ下げ激しすぎやろ、幸せ逃げるよ」


「お前と居るのが幸せだから大丈夫、てか…ん?」


なんかとんでもないこと言ったんじゃね?俺


完全に無意識に爆版発言かました気がする


そーっと隣を見ると


こっちから顔を背けて表情を見せない志帆がいた


しかし、耳は真赤に染っていた


っ、完全に油断してた…


無意識に言った言葉はさすがに恥ずか死するレベル


こっちも鏡を見なくても真っ赤に顔が染まるのが自分でもわかる


そして、沈黙


すると、場の雰囲気に耐えきれなくなったのか


志帆がおもむろに鞄に手を突っ込み


「はい!これプレゼント!じゃあね!」


「あ、ありがと!…あれ?ってちょっと待って!って行っちゃった…」


ちょっとちょっかい出しすぎたかな


それでも、走って逃げることないのに


…いや、自分が100悪いんですけどね?


って中身なんだろ…というか最近なんかあったかなぁ?


ゴソゴソと包装してる布を外し中身が露わになった


赤いマフラーとメッセージカード


メッセージにはこう書かれてた


「とーまへ、Happy Xmas!


って時期早すぎるよね笑


きっと、これ渡すの恥ずかしくなって


私は逃げてると思います笑


それでもね、あげたかったの


告白保留にしたとはいえ、ずっと待ってる君に


少しでもありがとうを伝えたくて


自分でもわかんないけど


形として伝えたかったの


Xmasは友達と過ごすから君に誘われても


行けないからこの手段を取らせていただきました!笑


それだけ!受け取ってくれてありがと!



P.S 私の誕生日は12月28日だよ?(๑>؂•̀๑)


期待しとくね?笑 by志帆」



俺は飛び上がってバク転して全人類に愛を叫びたいほど嬉しかった



「…ってことあってさぁ、マジで今日無敵すぎて勉強に身が入らねぇ」


「お前、付き合ってもないのに惚気はマジでやめろ」


ちなみに、定期的にこの惚気我慢大会は開催されている


本人達は自覚ないが大概いちゃいちゃしてる


あと、絶対志帆、藤真のこと好きだろ


なんだよ、クリスマスにマフラーって彼女か!


重いわ!てか気づいてないこいつも殴りてぇ


これ、何が酷いって自分らは惚気けてるつもりがないという事だ


「なにが、惚気けてる!だよ、友達としてくれたんだろ!優しいなぁ志帆」


駄目だ…こいつら付き合いだしたらどうなるんだ?


いや、一周まわって緊張しまくるとみた


「…はぁ、嬉しいのはわかったからもう寝ろ」


「無理!今からプレゼントの相談あるのに、てか!そっちが本命!」


あぁ、今夜は寝れそうになさそうだ


ちなみにこれはLINE電話でしているためこの惚気の内容は


ほぼ全て志帆にリアタイで送られている


恥ずかしがってもらわないと割に合わない


ちなみにかなり恥ずかしいらしく誤字がとても酷い


わなきほゆなおとしてにゃい


↑分かるだろうか?これが常である


とてもテンパってらっしゃるのを見て溜飲が下がる


でも、たまに志帆も惚気ける


お前もう告られたらチョロイン化してんのかってぐらい


もう、おれはどうすればいいんだ


頭を抱えながらそれでと幸せそうな藤真を見て


協力してやろうって俺も手遅れかもしれない…


てか、受験この調子であいつら大丈夫か?


そんなこと思いながら藤真の話に耳を傾けた



1月1日



あけおめ!わたし!


そう、今日は元旦!テンション高め!


いやぁ、去年は楽しかったなぁ


…思い出したらまたあの日のことが蘇る


とーまに告白されたあの日


私はあの時から意識してる


柄にもなくプレゼントしてその上


メッセージカードを書いたのがその証拠


というか晴人からいい加減にしろって言われるぐらい


晴人風に言うといちゃついているらしい


私は全くそんな意識はない


とーまに茶化されてるのはわかってる


でも、不快に思わないから放置している


そういうのがいけないのかな?


ていうかマフラーは重いわ!って晴人に言われたけど…


手編みじゃなかったら重くなくない?


メッセージは…ちょっと…恥ずかしかったけど…


というか誕プレが当日になかったのは結構ショックだ


ショックだった自分に驚いたというのが正しいか


これは結構やられてるのが自覚できてる自分がいる


でも、これは勘違いかもしれないと思うと怖い


前の人も好きになろうとした


いや、自分では好きだったと思い込んでた


でも、いまなら自信を持って言えてしまう


とーまの方が意識してると


だから、今日で自分の気持ちを知る


今から初詣に行く


とーまとうちと晴人の3人で


とーまは誕プレについてLINEも送ってこない


そこにちょっと怒ってる


でも、うじうじ言ってられない


とりあえず!準備しなきゃ!


…振袖着るのってめっちゃ時間かかるよね


間に合うかなぁ



AM01:30




「人多いなぁ」


当たり前といえば当たり前なんだが


初詣は毎年三が日の昼間に行ってたから正直


夜の方が人少ないと思っていた


ガキ使やら紅白あるしね


しかし、思った以上に人、人、人


見渡す限りの人でうんざりする


さすがに二人とも浴衣で来ないと思ってるので


ラフな格好で来ていた


え、俺パーカーで来たけど大丈夫かなぁ


もちろんマフラーは巻いてる


暖かい…けど…


晴人も志帆も浴衣で来たらどうしよ…


「おーい、藤真ぁ!」


「あ、晴人!」


良かったぁ!普通のオシャンティーな格好で来てくれて


「あけおめ」


「ことよろ」


( *¯ 罒¯*)ニヒッと笑った後に晴人は切り出してきた


「で?志帆には伝えたんか?」


「それが…その…」


「おい」


そう、事の発端は12月28日


晴人と同じ予備校に通いだした俺は相談していた


「なぁ、誕プレどうしたらええやろ」


「うっそだろ…もう当日でまだ迷ってるの」


「しゃあないやん、マフラーだぜ?貰ったの尻込みもするだろ」


「そうならないために色々相談乗ってやったのに…」


「そうなんだけどさぁググって初めて気づくマフラーのやばさ」


マフラーを送る意味それはあなたに首ったけという意味である


首ったけ…つまりは相手にすっかり惚れ込んで夢中になるという意味だ


これは…どう捉えるべきなのか


知らずに送ったのかそれとももうOKという意味で送ったのか


これは究極の選択肢である


(とか思ってるだろうけど、どうせ意味知らずに送ったんだろうな)


まぁ言ってやらねぇけどと藤真に言わなかったのは記憶に新しい


そして、約1週間過ぎて今に至る


「だから、なんで!LINEしなかったんだよ!」


「お前どうするんだよ!それで「マフラー送った意味知ってる?」とか言われたら俺絶対落ちるぞ大学!」


「そっちじゃねぇよ!お前、手紙に書くほど楽しみに誕プレ楽しみにしてたんだろ!あっちは!」


「…は!ほんまや…」


「うっそやろお前…」


「いや、正直送った気になってたわ、その前から初詣行こうって話なってたからさ」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「長ぇわ!そんなにか?…いや、そんなにやな」


「やっと事の重大さがわかったか!このばか!」


「うん、分かったよ…とりあえず、誠心誠意謝るわ」


「当たり前だろ?ばーか!プレゼントちゃんと買えたのか?」


「バカバカ言うな凹むやろ、タオルケットと膝掛けと合格祈願鉛筆と手紙」


「よし、上出来や!俺が選んだから大丈夫やろ!さすが俺!」


「違うだろ…てか遅いなぁ志帆」


「ったく、あ、LINE来てる少し遅れるってさ」


「まぁ、いいや、ゆっくり待とう寒いけどな」


「人混みの唯一の利点だな割と風も来なくて暖かい」


「コーヒーいるか?少し冷えてるけど」


「貰うわ」



AM02:15



「ごめーん、遅れた!」


「もう!遅いぞ、し……ほ…?」


「うお、馬子にも衣装だな」


「晴人失礼すぎる、あ!とーま、ちゃんとマフラー着けてくれてる!ありがと!似合ってるよ」


「あ、ありがと…大事に使う」ボシュ


「いやぁ、志帆さん似合いすぎ、マジできれい」


「ありがと!それとあけおめ!とーま!晴人!」


「おう、ことよろだ!って藤真?」


「………っは、ごめん見惚れてた、綺麗だよ志帆」


「っ!当たり前じゃない!そんな…そんなぁ」ヘヘヘ(//Д//)


「ちっ!砂糖吐くってこういうこと言うんだろうな」(ボソッ)



「というか、なんでそんなガチめの格好で来たの?」


「ガチめっていうか毎年こういうので来てるから?かな」


「大変だろ?それ着るのわからんけど」


「結構たいへんなのよ、人混み多いし」


「おつかれ、でも綺麗だよ」


「…うん、ありがと」 ッケ


「なんか、食べようぜ腹減ったわ」


「その前にお参り行かない?なんか落ち着かなくて」


「うん、いいよ、そっち先行こうか」



「めっちゃ人並んでるねー」


「離れるなよ」


「…うん」


「うわぁ、もう彼氏面ぁ引くわァ」


「「付き合ってない!」」


「…すまん」


「いいよ、ところで何円投げる?」


「5円」


「ご縁」


「…イントネーション1人違った気がしたような」


「気の所為だろ」



そして、境内へたどり着いた


待ってる人も多いし早く済まさないとって思うけど


これ俺、作法知らないんだけど…どうしよ


とりあえず見様見真似でやってみる


そして願う


大学合格と恋愛成就


時間にして3秒にも満たないだろう


そして目を開けて隣を見ると


天使がいた


月明かりで照らされ


ほんのり化粧してるのも分かる


真剣に願うその姿は巫女そのもの


…格好は振袖だけど


そんなアホなこと考えてる間に


彼女の祈祷が終わり


俺が見てるのに気づくと


ヘヘッとはにかみこっちを向いた


正直、致命傷だった



AM06:00




「寒いなー振袖意外に寒そうやな」


「へへっそう思ってすっごい着込んでるんだよ?」


「なんだ、藤真?ひょっとして何も下着てないとか思ってたのか?」


「…そんな夢を見てた時期もあったなぁ」


「夢を見るだけなら自由だからいいと思うよ」


「ちなみにこれ脱いだら全身タイツやからね」


「「変態だ」」


「ちがーーーうわ!あほ!」


「あ、日の出登ってきたで」


「…綺麗だな」


「あぁ、綺麗だ」


「なんで初日の出だけこんなに綺麗なんだろうね」


「ありがたく思うからじゃないプラシーボ、プラシーボ」


「そうやな、あ、志帆」


「ん?なに?」


「ごめんなさい!」


「え?いきなりなに?」


「いや、誕プレ渡してなかったしLINEでも言わんかったやん」


「うん、結構楽しみにしててんけどな…」


「ほんっまにごめん!すっごい悩んでプレゼント決めてたから…」


「うん、こいつも曲りなりにすっげぇ大切に選んでた俺からも頼む許してやってくれ」


「…うん、許してあげる」


「え!ほんとか!よかったぁ」


「でも!次、くれなかったら忘れたってことで縁切るからね!」


「それは勘弁してーや~」


(志帆のやつ、来年も一緒にいる気満々じゃん、しかも、多分自分で気づいてないのがおもろいわ)


「じゃあ、改めて遅れたけど…志帆!誕生日おめでと!」


「あ、これ俺からもバームクーヘン小切りしたやつ」


「え?晴人も?」


「友達に送っちゃダメって言う決まりなんかないだろ?」


「それもそうだね…うん!ありがと!大事に食べよ」


「それ、2000円もしたからな、しっかり味わえよ」


「え、それはそれで気後れしちゃうなぁ」


「食べ物は食べてなんぼのものやから気にするなよ」


「これは俺から」


「え?めっちゃ多ない?」


「ちなみにタオルケットは俺select」


「趣味が出るね、てことは膝掛けっぽいのがとーまselectか」


「そうだよ、あと、合格鉛筆と手紙のお返し書いたからそれはまた家で読んでな」


「…うん、分かった」


「じゃあそろそろお開きにしようぜ俺眠いわ」ふゎぁぁ


「せやね、うちも眠いし帰るわ」


「じゃあ送っていく」


「…じゃあな二人共良いお年を」


「うん、ばいばい晴人」


「また明日な!」


「おう!」



「もう、半月後センターか…」


「こら!現実に戻さないの!」


「いや、だってそれが終わったらもう志帆学校来ないだろ?」


「え?いや、それはまだわかんないけど…」


「俺の勉強のモチベとかも消えそうで怖いんだよなぁ」


「でも、とーまA判貰ってるんでしょ?」


「何が起きるか分からないのが人生だからなぁ」


「え、いきなり深いこと言うのやめて」


「ごめんごめん」


「もう…じゃあ条件付きで学校いく」


「え?」


「とーまも毎日きちんと朝から来るなら…行ってあげる」


「え!ほんと!よっしゃあ!」


「喜びすぎでしょ」


「今なら東大合格も夢じゃない!」


「いや、それは遅すぎでしょ」


「あ、ここやんな、志帆ん家」


「うん、ありがと!ここまで送ってくれて」


「あー、後手紙やねんけど」


「うん?」


「すっげー読みにくいけど勘弁してな」


「え?なんで、まぁいいけど」


「後、あの時くれた手紙すっげぇ嬉しかった」


「うん、全部晴人から聞いた」


「え、うっそ…あんにゃろ」


「まぁ、いいんじゃない晴人からなら」


「…納得は行かないがそれもそうだな」


「じゃあ、ばいばいとーま」


「…後1つお願いしていい?」


「なに?」


「一緒に写真ダメ?」


「…いいよ」




PM11:00




はぁ、長かった一日が終わった


結局うち帰ってきた時に流れで挨拶回りになったのがキツかった


もう、ひさびさにオールなんかしたな


化粧落とさなあかんしとりあえず振袖脱ぐか


そういえば…とーますっごいうちにメロメロって言うんかな?


私を想ってくれてることがすっごい分かった


お祈りしてる時すっごいガン見されてた気がするし


でも…悪い気はしない


後、初めて撮ったツーショット


すっごい恥ずかしいけどそれ以上に


嬉しかった


実はとーまだけLINEの背景画像にしてる


待ち受けはまだ恥ずかしい


うん、わかってる


まだ、とか、だけ、とか、


特別視してるし


また、未来も描いてる自分がいる


まだはっきりわかんないけど


これは間違いなく


やられてる


自覚した


とりあえず、卒業後までに考えとこ


うちが告白するセリフ


告白するのは男って決まってるらしいけど


1回告白されたし


保留したのは自分なんだから


同じ土俵に立ってようやく


順風満帆に付き合える


そんな気がするんだ


とか考えてたらもう化粧も落とし終わったし


寝よかな


と、ふと目線を横にすると


今日の貰ったプレゼントが目に入った


タオルケットは無地のいいやつ


メーカーも見た事ある


多分、晴人は見た目より性能派なんだろうな


対してとーま


膝掛けは真赤な色でもふもふ


うちの送ったマフラーとお揃いにしてくれたのかな


なんか…照れくさい


正直どっちも嬉しいけど今の季節ならどうしても膝掛けかな


嬉しいのは


あとは、合格祈願鉛筆はセンターに持っていくとして


手紙


うちもあの時すっごいテンション高めで書いてたなー


じゃあ、バームクーヘン片手に読むかな


志帆へ


お誕生日おめでとう!

はめを外しすぎない大学生活を!って早すぎたか?笑

これで俺の誕生日も祝うやろ?

わすれとるやろうけどな笑

今年も会う日を楽しみにしてます

良い一年を!


すごく嬉しかったよ!

さきに誕プレ渡したかったのに…

それでも、間に合わなかった…

そうです!渡したかったんです!

ぜったい!良いもの渡すって考えてたのに


しょうもないものかもしれない

あほやなぁって言われるかもしれない

けど!真剣に選んだから


ありがたく使って欲しい

あいつも選ぶの手伝ってくれたんだ

そうしてるときも文句言われたけどな

こうしてやっと選んだプレゼント志帆の趣味に

当てはまるといいなぁ





P.Sちゃんとした手紙は裏に書いてます」



なんか、思ったより普通の文章やったな


てか、回りくどいというか


漢字をあんまり使ってないというか


とーまそういうのLINEでもきちんと直して送るけどなぁ


…ん?ちゃんとした手紙?


え?これちゃんとした手紙じゃないの?


そうして裏向けると


こう文章が綴られていた


はい、ということで俺の暗号分かった?


これ、一日で考えたにしてはすっごい出来いいと思う


自画自賛やけどね


これ正直わかんなくてもしょうがないよ


結構わかるものやと思ったのに晴人ですら


わかるかばーかって言われたしね笑


文の左から斜めに読むと意味わかるよ


これだけのネタを仕込むために


こんなに回りくどいことをした自覚はある


でもね、まだ卒業まで言えないからさ


こう、暗号風にしてじゃないと


今、俺が気持ちを伝える方法ないんだ


俺の気持ちはあの時から変わってない


でも、俺のせいで受験失敗とか目も当てられないから


その時まで忘れててもいい


絶対思い出させてやるから


それで、絶対こう思わしてやる


俺と一緒にいる人生は楽しいって


だから、待ってて


とりあえず、受験頑張ろな!


今年もよろしく


by藤真」



結構ドキッときた


絶対思い出させてやるって今日び少女漫画でも聞かないよ


私的に俺と一緒にいる人生は楽しいって部分が1番キュンと来た


てか、斜め読みって?


表面を向けて解読


すると…とーまの、伝えたかった言葉が浮かんだ


「これ、考えてる間に偏差値上がるよ…」


でも、すごく嬉しかった


シンプルだけどしっかり自分の名前もある


こんな文章よく思いついたな…


とりあえず晴人に自慢してから寝よ


「人生で1番わかりにくいラブレター貰った」


この恋文はきっと一生忘れない



2月29日



「卒業生入場!」


そんな言葉を聞き入場前の俺達は思い出話に花を咲かす


結局、俺も志帆も合格した。しかも、同じ学部


晴人は残念ながら第1希望には落ちたが


第2希望は俺らと同じ大学に合格


結局この腐れ縁は切っても切れないみたいだ


俺はチラッと横目で盗み見た


志帆も友達と思い出話に花を咲かせているようだ


俺は正直卒業も悲しくて高校生活が名残惜しいが


今はそれどころじゃない


このあと俺の今年2回目の一大イベント


告白


が待ち構えている


もちろん、1回目は受験だ


もう、待ち合わせ場所も決まっている


3年D組の教室


解散して2時間後の手筈となっている


違う意味で緊張して泣きそうだ


そんなこと、思っていると


すると、担任の相生が


「D組入場だ」


の言葉で歩み始めた



はぁ…つまんねぇな卒業式


俺、高宮晴人はそんなことを考えてた


ぶっちゃけ皆証書受け取るならともかく


名前呼ばれて返事だけとか眠たくなる


俺は受験に落ちた


まぁ、結構背伸びした志望大学で医学部だったからな


仕方がない


正直浪人しても続きそうにないし


ということで適当に書いてた


あいつらと同じ大学の薬学部に合格した


これで、少しでも医学に貢献出来たらいいと思う


まぁ、俺の将来はさておき


あいつらの結末が気になるな


と、横目でチラッと2人を探そうとした時


「高宮晴人!」


「っ…はい!」ガタッ


っ痛ってーな、となりのやつにクスクス笑われてるし


なんで、あいつらのこと考えててミスるんだよ!


くっそ、あいつ成功しなかったらしばいてやる!


というか、大学で笑い者にしてやる!



と、理不尽極まりないことを晴人が思っていたその頃


(やばい、心臓バクバクいってる、私死ぬかも)


この学校内で最も緊張してると言っても過言じゃない


ぐらいにはテンパっている#彼女__しほ__#がいた


え、告白ってどうするの?私ロマンチックなこと言えないし


考えもつかない!私の気持ち何を用いたら表現できるの?


この募り切った想いをどうやったら彼に届くの!


…余談だが相生先生の返事をミスったのは言うまでもない




PM03:00




はぁ、ちょっと泣いちゃったなぁ


てか、部活の連中泣きすぎなんだよ貰い泣きしちまうよ


こうして、俺は人生最後になる風景を肴にして志保を待つ


桜綺麗だなぁ、てか咲くの早過ぎない?


と思う自分に割と平常運転に戻ってる自分を感じていた


…結局告白の言葉は浮かばなかったけど自然にでるだろと


正直楽観視してる自分もいた


ぶっちゃけ振られる自信は一回目よりはない


…けど、振られたらその後めちゃんこ気まずいなぁ


てか、学部同じなのは最早運命!とか思ってたけど


多分晴人か誰かに聞いたんだろうなぁ


とか思いながら気長に待つ


振られてもその後一生出会えない訳では無いから


もっと長い時間をかけて彼女を理解しよう


そして、1回でダメなら何回でも、本当に拒否られるまで


挑み続けよう


ある意味では達観してた


この受験の間ずっと想い続けたが故に


ゴールさえ彼女といれたらと…そう思う自分がいた



あぁ、緊張してるどうしよどうしよ~どうしよ~


あれからもずっと緊張しっぱなしだ


同じ部活の子お世話になった先生方と別れの挨拶しても


ずっと自分はギクシャクしてたのだろう


証拠にずっと志帆大丈夫?とか桜音さん保健室行く?とか


もう、あからさまな態度を取ってたらしい


…だって、卒業式の返事ひゃい!だよ?


恥ずかしくて死にそうだったよ


今は3時5分…遅刻してる


でも、なかなか決心がつかない


このまま、とーまに言ってもらおうか


それでOKしようか


そんな甘い考えは捨てた


今、私はこんなにも緊張してるのに


あの時の彼はこれ以上のプレッシャーだったに違いない


じゃあ、私が言ってあげないと


でも、どう伝えたら…


ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎってなりとうとう着いてしまった


どうしよ…当たって砕けようか…


ってあれ?ドア開いてる?


そーっと中を伺うと


彼がいた


その時に桜を見てた彼の横顔を見て


何故だか緊張しなくなり


1つの考えが脳裏によぎった


そっか


別にロマンチックじゃなくていい


不細工でもいいから


彼に


私の想いを


ありったけ…


届け



「ごめん、待った?」


「いや、全然いいよ、景色楽しんでたし」


「もう、卒業だね」


「なんか、この1年が1番濃密だったよ?」


「勉強で?部活だったら1年前の方が…」


「いや、君と出会えて」


「…」


「初めは普通に意識も何も無かった」


「…」


「でも、何故か三年目で君に惹かれ「ストップ!」」


「え?なんで?」


「私も言いたいことあるの!そんなロマンチックなこと言わないで!妬いちゃうから!」


「えぇー、今からいい感じに持って「だから!」」


「今から告白するから黙ってて!」


「……お、おう」


「すーはーすーはー、よし!」


あいつ今絶対気づいてない自分の言ったこと


やべぇ、ニヤけが止まらない


夢みたいだ


「あのね、藤真」


「うん」


「最初はただの友人、結構気心知れるやつって思ってた」


「うん」


「だから、いきなり告白された時なんで?って思った」


「うん」


「私は…そこそこかわいいと思ってるけど前、藤真が付き合ってた子よりは多分可愛くない」


「お前の方が好みだぞ?世間は知らんけど」


「それは補正がかかってるかもしれないでしょ!」


「…悪い口挟まない」


「そうして!告白された!」


「うん」


「正直、あれが気になり始めたきっかけだった」


「うん」


「藤真には何故か、返事待ちのくせにおちょくられるし、晴人にも突っ込まれるし」


「…うん」


「すっごい恥ずかしくて!でも!何だか…嬉しくて…」


「うん」


「初めて、クリスマスプレゼントも送った!手紙も書いた!」


「うん」


「誕生日実はめっちゃドキドキしてた!でも何も無かった!」


「ごめん。」


「でも、めっちゃ考えててくれてた!しかも、すっごい考えてくれたプレゼントだと分かった!」


「うん、ありがと」


「だから、許しちゃった!その時に!…やっと気づいたの」


「うん」


「藤真に惹かれ始めているというかゾッコンなのに」


「うん」


「もう、実はあの時のツーショット待ち受けにしちゃった!」


「え、俺も」


「え、嬉しっじゃなくて!だから!えっと…」


最後にここまで来て言葉が出ないただ一言2文字それだけが…


どうしても出てこな…


「焦らないで」


「え?」


「俺はどこにも行かないから」


その言葉で最後の枷が解き放たれた


「……っ」


「なんて?もう1回」


「………もう…?」


「うん、もう1回」


「いぢわる」


「でも、ちゃんと聞きたい志帆の口から」


「……好き」


「うん」


「愛してる」


「うん」


「一生離さない」


「俺も」


「だから…一生傍にいてくれませんか?」


「喜んで」


その瞬間既に涙でぐちゃぐちゃになった顔で抱きついてしまった


もう、了見も外聞もない


ただ、緊張の糸が抜けやりきり


前には愛しき人が待ち構えているのだ


やることは1つだろう


その後10分ぐらい泣き喚いた



「そろそろ帰ろうか」


「うん、一緒に帰る」


「あー、あと一つ志帆にぶん殴られることがあって…」


「…なに?」


「今の告白晴人も聴いてた、俺のLINE電話で」


「別にいいよ相談乗ってもらったし晴人だけなら」


「(´・ω::.サァー…」


「え?まさか!嘘よね!」


「キットソノマサカデス」


すると、廊下からクラス全員が教室に飛び込んできた!


男子連中は


「「「「「「「「死ねやぁ藤真ぁ!!!」」」」」」」」


女子連中は


「「「「「きゃぁぁぁ!!!志帆可愛すぎ!!!」」」」」


と2人して囲まれた


1人はどす黒いオーラの中で


もう1人は黄色い声援の中で


黒幕は一頻りに大爆笑している


相生先生も「青春だなぁ」っと笑っていた


暫くして志帆が真っ赤な顔してこっちに来た


「なんで!こんなことに!なってんのよ!」


「志帆、まさか、卒業後に俺ら以外誰もいない状況が作れるとでも?」


「………」


「そっちが提案した時にどうせ頭から抜けてると思って晴人に協力を要請したのさ」


「………………………………」


「まぁ、条件は告白を生で聴かせろだったから俺からするしまぁいいかって思って」


「………………………………………………………………………」


「そしたら、まさか、志帆があんなに俺を想ってくれてるとは」


「もういい、別れる」グスッ


その言葉を発した瞬間男子一同が


「「「「桜音さんすみませんでした!」」」」


と土下座して、女子一同は一同で


「「「「せっかく掴み取った幸せ離しちゃダメ!」」」」


と強く押し宥めていた


それにあたふたしてる志帆を見ながら黒幕に聞いた


「これどうなってんの?いや、何人か聞いてると思ったけど」


「それがな、お前ら思ったより重症でさ」


「は?」


「もう、既にみんなにバレてたんだよ」


「え?」


「教室で堂々といちゃこらいちゃこらしてって皆俺のとこに来たよ」


「なんで、お前のところに?」


「お前らがいる中で俺が苦虫を噛み潰したような顔してたからだとよ」


ほんとにタチが悪いぜと(ボソッ)と言ったのが聞こえた


「最早、相生先生までが、俺を呼び出してまで


「あいつら受験桃色で失敗しないか?」って相談されたぐらいだぜ」


「うん、とりあえず事情は分かったけどそれ俺だけじゃないよな?」


「というか、大半志帆のせいだよ」


すると、人並みを掻き分けて志帆がこちらに進んでこう怒鳴った


「うち、なんも悪くないよ!」


その発言に一人の女の子が


「いや、あれは完全に気があるの最初志帆ちゃんだと思ってたよ」


「うそっ!」


続けて男子が


「皆、受験の真っ只中一人の女の子侍らしてキープしやがってって思ってました」


まぁ、その後晴人に事情を聞いて応援しようとなったのさ


「お前ら…最高かよ」


「そもそも、完全に恋に盲目なってたの志帆ちゃ「あぁ、聴こえない聴こえない~!!」」


その様子に俺と晴人2人していや、皆して爆笑した


「なぁ、晴人?」


「うん?」


「これって最高に青春だよな!」


「ちげえねぇ」


雲ひとつない澄み切った青空


高らかに上がる黄色い声


その風景はまるで彼らの未来を


指し示さんとばかり眩しかった


fin



ここまで読んで頂きありがとうございます

この話は実はbadendにするつもりでした

本来なら1回目の時点で付き合って自然消滅の流れでしたが

自分がそもそもbadend嫌いなのでhappyendにしました

空想ぐらいさ、幸せな結末でいいじゃないですか

毎回浮かぶのbadendなのに知らない間にhappyendになるのは

なぜだろう

ちなみにいきなりデレたのは敢えてです

そこは皆様のご想像にお任せします

実はバレンタインとかセンターとか入試本番とかも

書こうかなと考えたのですが

皆様の想像の方が楽しそうなのでそうしました

続きは書くとしてもただただ砂糖溢れる日常だと思います

では、長くなりましたが読んで頂きありがとうございます

またいつか会える日まで

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