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不信感

行きと同じように私は、冬木さんの後ろを歩き

会社に戻った。

それぞれの部署へ戻るため、エレベーターに乗った。


冬木さんはエレベーターが到着すると、当たり前のように

私を先に乗せ、何も言っていないのに私の部署の階を

押してくれていた。


そんな小さな気遣いが、私の心を揺さぶった。

“なんなんだろう、この感じ。” 

なんとも言えない感情が胸を支配した。


そして冬木さんの部署の階についた。

彼は振り向き、


「急なお誘いごめんね。

 お昼一緒に食べてくれてありがとう。

 仕事頑張ってね、また誘う。」


そう耳元で囁き、彼は先にエレベーターを降りた。

頭を軽く撫でられた感触と、彼の吐息が耳元に残っていて、頭が真っ白になった。

呆然と立ち尽くしてしまった私は、

彼の後ろ姿に急いでお礼を告げ、扉が閉まった。


体が熱くなるのを肌で感じた。

さらっとあんなことが出来る冬木さんに、戸惑いながらも

嫌な気持ちではない私がいた。


“もう・・なんなの。

と言うか、また誘うってなに〜もう〜”




デスクに戻った私はお昼に起きた全ての出来事が、受け止めきれず

ふわふわとしながら仕事を始めた。


冬木さんは、どう言うつもりなんだろう。

優しくて気遣いができて、大人な言動で私を安心させてくれた。

だけど、ほぼ初対面の時が泥酔していた私だったのに・・

なぜこんなにも親切にしてくれるのか、訳がわからずそれは不信感になっていた。


考え事をしている私に気づいたのか、

ニヤニヤしながら斜め前に座る千沙は視線を送って来た。


情報をくれた千沙に何も報告しないわけにはいかないか・・。

そう思った私は、

なんてことなかったよ。ちゃんとお礼はできたよ。ありがとね!

とラインを打った。


なんだか、事細かに言いたくなかった。

いや、言ってはいけない気がした。

なんでかはわからなかったけれど。




案の定、この日も仕事が山積みで残業確定だった。

この時にはもう、お昼の事は頭の片隅にもなく

ただただ仕事を早く終わらせたいとだけ思い、黙々と仕事をした。


あと少し、と言うところでメールを受信した。

こんな時間にメールを受信することなどないので、

疑問に思いながらメールを開くと


『遅くまでお疲れ様。まだ仕事中みたいだね。

 お昼は僕の急な誘いに付き合ってくれて、ありがとう。

 それでね、少し急なんだけど、

 仕事ひと段落したら僕のデスクに来てもらえないかな?』


それは冬木さんからのメールだった。


“え!?デスクに来てって?”


一気にお昼の記憶が蘇った。

冬木さんの優しい顔に、耳元に残る吐息。


嫌が応にも、体が熱くなった。


“いやいや、何を考えてるの私。

仕事のしすぎでおかしくなっちゃったのかな。”



そうぐるぐると考えながらも、断るわけにもいかず

『後少しなので、終わり次第向かいます。』と返信し、

残っていた仕事を急ピッチで終わらせ、身支度を済ませて冬木さんのデスクに向かった。



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