表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/26

過ち



「ちょうど二貫ずつあってよかった!」


なんて、無邪気に言う冬木さんに

さっきの冬木さんは別人だったの・・?と戸惑い困惑した。


何事もなかったかのように、冬木さんは箸を進めていく。。


そう、きっとからかわれていただけ。

あそこであの返しは正解だったんだよね・・と自分に言い聞かせ

冬木さん同様に、ご飯を食べた。


「五十嵐はね・・


と冬木さんは五十嵐さんの話をたくさんしてくれた。


五十嵐さん、見た通り真面目でいい人なんだなぁー、

千沙に教えてあげなくちゃ・・そんなことを思いながら

私も冬木さんに千沙の話をたくさんした。


「また皆でご飯行けたらいいね。その時は麗も人見知りしてないといいなあ。」


なんて、冬木さんは茶化すように言った。


「んー、あと5回くらい行かないと慣れないかもです!」


笑いながら言うと、

多いなぁーと冬木さんも笑いながら言った。


仕事の話をたくさんして、明日も仕事だからと

ご飯を食べ終わると同時に帰ることにした。





個室を出てから、冬木さんは私の手をとり、先を歩いた。


お店を出て、足を急に止めた冬木さんは

私の方を向いて、ぎゅっと身体を抱き寄せた。


急なことに "わっ!!"と声が出た私の耳元で


「麗の嘘つき」


そう言って、顔を引き寄せキスをした。

あまりに突然のことだらけに、抵抗する間も無く

受け入れた形になり、キスの間もすぐには状況が把握できなかった。


頭も顔もハテナの状態の私から、顔を離した冬木さんは


「麗は人見知りなんかじゃないよ、知ってる。嘘をついたときの顔も知ってる。」


そういって、もう一度キスをした。

二度目のキスには、さすがに抵抗をした。

でも離れようと冬木さんの身体を押しても、結局何の意味もなかった。

むしろもっと強く抱きしめられてしまった。


放心状態の私の手を引き、

車に乗せると、家まで送ってくれた。


頭の中を整理しようとしたけど、もうなんだかどうでもよくなってしまった。

冬木さんがしたことは、きっと最低なこと。

それだけはわかっていて、、

でももう私の気持ちの中に、嫌悪感などちっとも無くて

もっと冬木さんといたいと言う気持ちで支配されつつあった。



車中で特にお互い何も話さなかったけれど

冬木さんは、時より私の頭を撫でた。


一度、信号待ちで冬木さんが私の顔を引き寄せて

キスをした時は、私はもう受け入れていた。



私の家に着き、助手席のドアを開けてくれた冬木さんは

私を降ろす前に、助手席に入ってきてまたキスをした。

長い長いキスだった。


「麗、またご飯行ってくれる?」


キスの間に言う冬木さんに

頷くことしかできない自分が惨めだった。



「冬木さん、でも、やっぱ、もう。。」


言うべき言葉が言えなかった。

もうやめましょうって。

キスしたことも事故だったと、、ここで言えたら

この先の未来が大きく変わっていたのに。。

私は弱かった。



「ん?麗、なに?」


そう言って抱きしめて何度もキスをする冬木さんを

愛しく感じてしまった。

結局、、首を振って答えることしかできなかった。


「おやすみ、また明日。」


そう言って冬木さんと別れた。


わかってた。

こうやって泣くことも、もう引き戻せないことも・・。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ