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渦2



A部署につくと、奥の部屋だけ光がついていた。


本当に冬木さんしかいないんだ・・。


足早に冬木さんが待つ部屋へ向かい、鼓動が早くなる心臓に手を当て

深呼吸をした。

コンコンとドアをノックすると、開いているよ。と聞き慣れた声がした。


ドアを開けると、机に腰掛け缶コーヒーを飲んでいる冬木さんがいた。

ジャケットを羽織り、しっかりとした身なりに



「あ!もしかしてとっくに仕事終わっていました?待たせてしまいましたか?」


と、不安になり焦った。


彼は、優しく気遣いができる。だから、もしかしたら私が仕事を終わるまで

こうやって待っていてくれたんじゃないだろうか・・。

いや、待たせてしまったんじゃないだろうか・・。


ふふっと笑い、近づいてきた冬木さんは

私の腕を引き、抱きしめた。


「ずーっと待ってた。お昼休みから。」


急に抱きしめられたことにも、その言葉にも頭がついていかない私は

混乱して、なんの言葉が出てこず、

冬木さんの香りがする・・とか、あったかいとか

そんなことしか考えられなかった。



「もうさ、すーぐ顔に出るんだもん。麗。

昼休みからずーっとこうやって二人で話したくて、たまらなかった。

何より、こうやって抱きしめたかった。」



そう言って抱きしめている腕に力を込め

強く強く抱きしめる冬木さんに、自然と鼓動が早くなった。



「あ、あの・・えっと・・。」



戸惑う私に気づいたのか、強く抱きしめていた腕をほどき

頬に手を触れると


「さて、麗。詳しいことはご飯でも食べながらにしましょうか。」



もう、完全に冬木さんペースに飲み込まれた私は

頷くことしかできず、そのまま手を引かれ部屋を出た。




こんなところ、誰かに見られてもおかしくない。

それなのに、彼はつないだ手を離すことなく駐車場まで向かった。

この人は、なにも考えていないのかなあ・・と心配になるほど

それは堂々としたものだった。




そのまま駐車場で、いつものように助手席のドアを開けてくれて

席に座った。

運転席に座った冬木さんは、私の手を取り


「ねえ、なに食べたい?」


そう尋ねた。

一体どうしたんだろう・・。

とても積極的な冬木さんに驚きながら、


「んー・・美味しいもの!」


そう答えた。

えー?なんて言いながら笑う冬木さんは、私の頭を撫で


「おっけー!任せて。」



そう言って車を出した。


走り出し見えてきた風景は、いつもとなにも変わらず

忙しなく活動していた。

そんな中の一人になんかなりたくない・・そんな風にも思っていた。



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