第25話
俺の魔法も、ユンの魔法も、使えるようになるために一番重要なのは……“血”だ…
魔力のある血が必要不可欠で、その血が濃いか薄いか、けど少しでも体内を流れていれば魔法は使えるようになる
この世界の血はまだ濃いほうで、魔法も強い。俺が元居た世界になると、血は薄くなっていって魔法が弱いものとなってしまった。……でも、戦ってみるとたいして強さ変わらないのな…
俺の血は他と比べればまだ濃いほうで…、それがアジスの体内に流れ込んで…拒絶反応がないだと…
ま…さ…か…な…
「……〜い、お〜い。聞こえてますか〜」
と、俺は考えることをやめた。というか、戻らされた…
「ん…あぁ」
俺はその男の方に耳をかたむける
「それで、この子たちをどこに運ぼうか」
「あ、あぁ」
それもそうだな…。ここにいるわけにもいかないし…
「この先の街だと、ユンは連れていけそうにないからね〜…」
男は腕を組みながら顔を東の方に向けて言う
「確かに…」
確かに、ユンはこの先の街を破壊してきたんだ…。連れて行ったらどうなるかは予想がつく…
「なら、他の場所はないのか」
城に戻るのが一番だと思うんだけど、ここから二人を背負って連れて行くにはちょっと無理がある…
「う〜ん。そうだね〜。二番目に近い場所はあっちの方なんだよね〜」
と言いながら男は指を南の方に向けた。
「どれくらいかかる」
考えながら男は地面をトントンと叩く
「そうだね〜、結構早めに着くよ〜」
「そっか…。そこに連れて行こう」
と、俺は立ち上がってアジスを持ち上げようとした
「あ、その子は俺が運ぶよ。キミはユンをお願い」
「ん…」
男はアジスを一旦見てから、
「……重いでしょ…」
男は禁句を言う前に『聞こえてないといいけど』と小さくつぶやいた…。ホントに、聞こえてなければいいけど…
俺は男を見て、小さくうなずいた。俺ってやつは…
そして、ユンをかつぐ。軽い…
「さてと…」
男は軽々とアジスを持ち上げた。そして、肩に担ぐ
「こっちだよ」
と言って男は歩きだす。俺も後に着いていく
・・・