第19話
いろいろなことがあった昨日。
今日は起きたらすぐにアジスに呼ばれて王室に来ていた。何のようだ? 任務か?
「アルア殿を呼び出したのは他でもない。折り入って頼みがあるのだ」
おぉ、やっぱり期待したとおりだ。今度は何だ? 楽しみだ。
「はい、何でしょうか」
期待を込めて返事をする。
「うむ。何やら危険な噂を聞いたのだ」
噂…?
「ここから東の地、シロックにて魔法使いが暴れたとのことだ」
「魔法使いですか…」
やっぱり、魔法使いとかの裏の仕事か…。ちょっと残念。
「このままでは、いつかこの地が襲われるかもしれぬ」
…それって、俺がそいつを倒さなきゃここが襲われますって言ってる? 責任重大?
「えっと、その魔法使いってどんなやつなんですか?」
とりあえず情報がほしく思える。
「うむ、詳しくはアジスから聞くと良い。そこに行くまでの道案内も兼ねて行ってもらう」
アジスと一緒か…。仕方ないといえば仕方ないけど…、なんとかならない?
「あ、はい。わかりました」
んで、王室を後にした。一緒についてきたアジスと話をすることにする。
「先に準備をしておけ。いつ死ぬかわからない。だから念入りにな」
「死ぬって…死にたくないな…」
いきなり辛気臭い話となった。気がめいる…
「それと、その首飾りははずしておけ」
確か、この首飾りは象徴でもあるんだよな? 象徴か…
「何があろうとはずす気はない」
誓いの証だ…
「…狙われても知らぬがな」
…怖いこと言わないでよ…。それでもはずせないんだから…
俺は胸元にあるその首飾りを拝む。
「そうか。ならば準備が終わり次第、城下の入り口に来い」
そう言われて、アジスと一旦別れた。
んで、部屋に向かう。部屋にはノンノがベットに腰掛けていた。あー、うー、んー…。一人にしてて大丈夫かな…
「俺、しばらく出かけるから。これ。これで下に行けば飯とか食えるから」
そう言って首から首飾りをはずす。ついでにお金も残ってたから置いていく。
「……はい。いってらっしゃいませ…」
ノンノは立ち上がって返事してくれた。俺はその声を聞いて安心し、部屋を後にした。
すぐに城を出て街を走る。人はあまりいなかったけど、甘かった…
いきなり脇道から出てきた人にぶつかってしまった。止まれなかった。仕方がなかったんだ…
「痛った」
二人して同じことを言う。俺じゃないもう一人はしりもちをついて、両手をついている。見た目は幼いように見えるけど、黒い髪、パッとしない服装、黒い瞳で俺をにらむ。
「わ、悪い。急いでた。じゃあな」
急いでたから早々と謝って、再び走った。
「ちょっとー。覚えておきなさいよー」
後ろで叫ばれた。心の中で謝っておく。ごめんなさいと…
「遅い」
アジスはすでに待っていた。早いな…
初めて会ったときと同じ装備、右腰に刀がたずさえられていた。あれ? 一本だけだったっけ?
「悪い」
「まぁいい。急ぐぞ」
そして東へ、草原を歩くことになった。
遅れました…。詰まりません・・・