第14話
朝になって目が覚めた。寝ている間も夢を見た。そこにいた俺は荒れはじめていて、いつも何かにあたっていた。それがいつかは空しくなることに気づきもしないで…
おかげで寝起きは最悪だった…。多分、うなされた…
ノンノはまだ夢の中、寝息を立ててベットで寝ている。人形のようにスヤスヤと動かない。生きてるのか…?
「もう少し、寝かせてやるか」
窓越しに外を見ると、日はまだ半分だけ出てて、空は雲ひとつ無い快晴だった。でも、まだ人の賑わいはない、これからなのだろう。
「時間もある、金もある。場所もある、人はいない…」
独りで今日のことを考える。昨日は戦ってる時間より歩く時間のほうが長かったから足が痛い。だから今日はゆっくりすることにした。
ということで二度寝に入る。
「……ごめ……。ごめん…なさい…」
ノンノがいきなり謝りはじめた。でも、起きてはいないようだ…。うなされてるのか…?
「起きろ…。大丈夫か…」
心配になり、声をかけた。頬もかるくたたく。汗だらけで見るからにやばかった…
「……アル…ア…」
やっとのことでノンノは目を覚ました。よかった…
「どうしたんだ…。大分うなされてたけど…」
ノンノの顔をのぞき、額に手を当てる。
「…異常なし…」
「……大丈夫…です…。気にしなくていいです…」
そんなうなされて汗だらけの顔で言われても説得力ない…
「そうか…。ならいいんだ…」
深く追求しないことにする。
おかげで二度寝はできなくなった。まぁいいか…
窓から見える城下町にすこしは人影が見えてきた。でも食堂はまだ準備中だろう…
「どうしよう…」
何をしようか迷う。いろいろ考えていると、ここが過去だと言うことを思い出して、実感が湧かなかったり…。無理やり連れて来られたから仕方ないけど…
そして、それについて落ち着いている俺自身もどうかしてるだろう…
迷った結果、部屋を出ることにした。
「早めに戻ってくるからな」
ノンノに一言かける。
「……はい。いってらっしゃいませ…」
バスローブ姿と丁寧な口調で送り出してくれた。まだバスローブを着てたのか…
通路に出て扉を閉める。
「バスローブ…か。早く変わりの服に着替えさせないとな…」
すると丁度よくそこにアジスがいた。壁に寄りかかって腕を組み、顔をうつ伏せて動かない。まさか、立ちながら寝てるとか…?
「…アジス?」
声をかける。でも、反応はない…
「…アジスー」
もう一度呼んでみる。すると下を向いていた顔がこちらを向いた。
「…アルアか。早いな…」
マジに立ちながら寝てた…
「そんなとこで何してんだ」
「気にするな。別に、気にすることでもない」
念を押されて気にするなと言われた。少し悲しくなる…
「はいはい…。あ、そうだ。なんか服ない?」
「使用人にでも頼めばもらえるだろう」
そして貰ってきたのは、大きなお屋敷で働いてる人たちが良く着る制服。色は外側に白で内側に黒。
貰うときに『あなたならお似合いですよ』と言われた。俺がこんなヒラヒラとした服を着るか!
そして、ノンノに渡して着替えさせる。キョトンとした表情でノンノは受け取って着替え始めた。目の前でバスローブを脱ぐものだから、焦って部屋を出た。ふぅー…
「入っていいよ」の声が聞こえた。間に一呼吸、扉をあける。
渡された服を着こなすノンノ。それを見た瞬間、胸の奥にあつい感情が湧き、見とれてしまう。なんだこの胸の高鳴りは…
「……似合いますか…」
少しばかり下半身と頭に物足りない気もするけど、人形のみたいなノンノ。いや、もう人形としていじくり回したいくらいに…
「あ…あぁ」
心を落ち着かせるのに必死になる。落ち着け俺…
「これから遊びに行ってくるけど、ノンノはその…一緒に来る?」
女の子を遊びに誘うという初めての経験。しかも一目惚れとはちょっと違う意味の惚れた人だ。少し恥ずかしい…
「……いえ。ここで待ってます…」
断られた…。悲しい…
「…じゃ、言ってくるよ…」
「……はい。いってらっしゃいませ…」
その姿で言われると、へこんだ元気が元に戻った。いってきまーーっす。