第9話
準備は完了した。後はその風使いに会うだけになった。楽しみだな〜
俺が入ってきた城門の反対側。あっちが南門城下町なら、こっちは北門。
兵士が二人、木製の扉の前にいる。裏門も兼ねているのか、見るからに人通りがない。北と南、えらい違いだ…
門を開けてもらいいざ出発。外は山で囲まれ、一本道が続いていた。南側は草原だというのに、北と南で地形も違うとか、どんだけ大きい城なのだろうか…
気を取り直して歩き始めた。アジスに着いていく。今度は茶色い服に鎧を着ている。ん〜…
「なぁ」
暇なので話してみる。
「どうした」
「魔法使いって、どんなの?」
「知らないのか?」
「知ってるには知ってるんだけど、一様訊いておく」
「最近現れ始めた故に、詳しくは私も知らないが噂によると、何もない場所から爆発や地震、津波や突風などを起こしたと言われている。まぁ、真意はわからぬがな」
「ふーん」
何もない場所から爆発や地震…ん? どっかで聞いたことある言葉だな…。そう、これもあの本だ…。どういうことだ…
やっぱり、あの本を読んだ時おかしくなっている。考えるか考えないか迷ってしまう…
そんなこんなでしばらく考えながら歩いていると、山というのが崖にかわり、完全な一本道になった。高い…
すると、前に人影が見えた。まさか…
「どうする」
俺はアジスに訊いてみる。もうすぐ始まる…
「まずは、様子見だ」
始まらないのかよ…
そして、少しずつ近づく距離。見た目は俺と同じ背丈で、顔まで覆うマントで身を隠している。いかにもって、感じだ。
そして今すれ違った。その時に風を感じた…。そのまさかか…
「おい」
俺は振り向いて呼び止める。顔がこっちを向く、アジスは離れる。胸が高鳴る。
「お前が噂の風使いか」
「…だとしたら…どうなるのかな」
丁度その時、崖で挟まれた道に風が吹いてきた。砂埃がたち、風はおさまった。
その風に乗ってマントが飛んでいき、その身をさらけ出した。
見た目は俺と同じくらい。真っ黒に染まった髪は短く、鋭い眼光。その背中には包帯でぐるぐる巻きの、少し低い物体を縄で抱えて、体にはマント…って暑くなかったのか…
「俺とやり合おうぜ」
「…興味がない」
男は、背中に抱えた包帯ぐるぐる巻きを投げ捨てた。
「アルア=アレフ。参る」
「…キア=リーヴァス…」
キア=リーヴァス? どっかで見た名前…。そうだ、これもあの本だ…
あの、行方不明の中の一人だったはずだ…。どういうことだ…。またあの本が関わっている…
「…先手はもらう…」
考えすぎてた。リーヴァスはすでに攻撃態勢だ。
「あぁ、考えるのはあとだ…」
いまは戦いに集中しよう…
疲れますた…