真白い炎
掲載日:2017/02/21
それは真白い鷺の羽。
はたまた朝の淡雪か。
絹の打掛の花嫁は
今からお城に参ります。
貧しい家を出て
寄越された籠に乗り込み参ります。
花嫁の、嘗てあった許嫁は殺されました。
許嫁を邪魔に思うお城の殿の差し金でございます。
けれど皆、素知らぬ顔で。
災難だったと花嫁を慰めるのです。
災難だったと花嫁を慰めるのです。
天から
小雪が降って参ります。
花嫁は、懐剣をぎゅうっと握り
籠に乗り込みます。
打掛や小雪と同じ白い顔。
もう戻ることはあるまいと
家を振り向き見ることもございません。
真白い花嫁の、心には炎。
この懐剣を、どうか上手く操れますように。
首尾よくことを運べたならば
あの人の待つ浄土へと
旅立ちゆくのだと
花嫁は思います。
それは真白い鷺の羽。
はたまた朝の淡雪か。
絹の打掛の花嫁は
今からお城に参ります。
真白いものを紅に
染めるためにと参ります。




