必殺の絵本
絵本回です
翌日兄さんに母が絵本を読み聞かせていた。
本か…そういえば異世界に来たらまずは知識を得ないとな。
どうやら勇者と魔王が戦うよくある物語のようだ。暇だったのでとりあえず聞くことにした。
『ーむかしむかし、ある一国の王によって召喚された勇者が居ました。その勇者はとても勇敢で初めは弱かったのですが、どんどんと成長していき、無数の魔法を覚えて、仲間を増やし、ダンジョンを次々と攻略していきました。そしてついに魔王への道が開かれました。その道のりは険しく仲間とも散りじりになり魔王の間へ来れたのは勇者1人でした。それでも勇者は今まで一緒に戦ってきた仲間、いえ、みんなの為にたった1人で戦うことに決めました魔王はあの手この手で勇者の体力をどんどん奪っていきました。このままでは負けるのは勇者です。ですが勇者は今までの戦いで道具も無く疲弊していました。魔王の最終形態までなんとか持ち堪えましたがついに勇者は倒れてしまいました。勇者はこのまま為す術無くやられてしまうのでしょうか。魔王は闇の極大魔法を繰り出そうと魔力蓄積をしています。あと数秒…といったところでいきなり勇者は眩い光に包まれました。光が消えると其処にはさっきまで息も絶え絶えだった勇者が復活しています。それどころかさっきよりも明らかに強くなっているようにも見えますそれに驚いた魔王は咄嗟にチャージしていた極大魔法を放ちました。全てを飲み込む闇に包まれた勇者は跡形も無く消えました。魔王は確信しました、「勝った」と、でも魔王は気づいていません辺りが段々明るくなっていることに…
そう、勇者は生きていました極大魔法を察知し素早く転移していたのですそしてそれと同時にあり得ない速度で魔力蓄積をバレないように巧みに隠蔽し闇と相反する光の極大魔法をお見舞いしました。魔王は完全に油断していたので避けきれずごっそりと体力を削られ、もう死を間逃れられないレベルまで体力がなくなりました。魔王は最期に言いました、
「1000年後、我は復活する。その時はさらに強くなって復活してみせよう。」
と、勇者は仲間と落ち合い王にこのことをつたえました。王は少し動揺しましたが1000年後のことなのでまずは魔王討伐の宴をすることにしました。とりあえずはこれでめでたしめでたし。国は魔王の脅威が去ったことを知ると連日祭りを開きました これがのちの退魔祭です。これがあと998回行われ1000回目にはもう魔王は復活しているのでしょう。ー4600年には…』
絵本の割に長いな!もう兄さん寝ちゃってるよ!ん?4600年って俺が丁度15の時だよな…うん、今考えたって何もならないし今は考えるのをやめとこう。それよりも魔法だ、絵本によると長ったらしい詠唱はなくてその代わりに魔力蓄積があるようだ。属性魔法があるのも分かった。本は異世界の知識を取り入れるのにいいかもしれないな、もっと読んでとおねだりしてみるか。
「あーうあーあー」
さて意図は伝わっただろうか
「まだ寝てない!必殺の絵本って聞いたのに!うちの子しぶといわね〜。」
どうやら無駄に長いと思った絵本は必殺の絵本だったらしい、がそんなことはどうでもいい、もっと読んでもらわないと。