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俺が産まれました
あのあとまだ異世界の事を聞いていないので女神を起こそうと試みたが体がない事を忘れていた。結局、完全に意識を失って泡を吹いたままの女神をどうする事もできずに時が経ち、少しずつ暗くなってきたので時間が来たのだと直感した。そして心の中で別れを告げると俺は意識を手放した。
「ーーー。ーーーーー」
声が聞こえてきた、がよくは聞こえない、聞こえたとして理解もまだできないだろう。だが状況はなんとなく理解できる。俺が産まれたのだ。なんとも不思議な感覚だ。そして俺は目一杯鳴いた、大の大人がと悲しくなるがそんなこと言ってられない。赤ちゃんは鳴く事が仕事だと自分に言い聞かせ割り切るしかない。
「ーーーーー。ーーーーーーーー。」
誰の声かなんとなくわかる。多分母親だろう、聞いているだけで安心する。
「ーーーーーーーーー!ーーーーーーーーーー!!」
うるさいけど逞しい声だ。これは父親だろうか。
そう思うとなんだか安心した、そして強烈な抗えない睡魔が襲って来た。