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恨みます…

作者: 神名代洸

彼と付き合い始めたのはちょうど1年前のことだった。付き合い当初はマメに電話やメールを送ってきてくれていたが、ちょうど半年前からパッタリと途絶えてしまった。

完全に途絶えたわけではなく、ポツリポツリとくるぐらい。

仕事が忙しいからと言われたら返す言葉はない。私もちょうど忙しくなっていたからだ。


それでもやっぱり欲しいと思うのは欲張りなのだろうか?そんな中、街でたまたま彼と一緒に歩く女性の姿を見つけた。似ているなぁと思っていたけど、まさか同一人物だったとは…。どうして知ったかって?ついつい後を追ってしまったの。

そこで彼のマンションに入っていくのを見てしまったから。

とても親密そうに腕を組んで歩いていたのが引っかかっていた。私がいるのに他の女性と付き合うわけがない。そう信じている。

でも、彼に兄弟がいるなんて聞いたこともない。何かの間違いであってほしい。


それから私は彼にメールを送ってみる事にした。今なにしてるの?って。

そしたら彼、仕事で県外に出てると答えてきた。嘘だ……と思った。

私は彼の部屋のドアチャイムを鳴らした。すると、はーいという女の声がして女が出てきた。

私は瞬間固まった。

何故なら彼女の薬指には指輪がキラリと光っていたから。

私は必死に落ち着きながら彼の名を伝え、呼んでもらうことにした。すると、「あなた〜。」と言いながら彼を連れてきたではないか。

私の頭は混乱した。なぜ彼のような素敵な人が独身でいるなんて思ったのだろう。私はただ遊ばれていたのかもしれない。そう思うとだんだん腹が立ってきた。

彼女はきっと奥さんなんだろう。ニコニコしている。

「ちょっとご主人お借りししますね。」

そう言いながら玄関を出た。

彼はなんとも思っていないらしく、「何の用だよ。」と聞いてくる。

「これってどういうこと?私は愛人か何かだったの?」

「俺は付き合ってくれなんて今まで一度も言ったことなかったよな。お前がいつも言ってきたからあわせてただけだ。そろそろお前、うざくなってきたからやめようと思ってたところだ。頃合いだ。このままやめる。じゃあな。」

彼はそう一方的に喋ってドアを閉めた。

私の目の前がドアで塞がれてしまったようだ。帰りはどう帰ってきたのかわからない。

半分泣きながら帰ってきたので顔は化粧がとれぐしゃぐしゃだった。

私のこの1年はなんだったのだろう……。

彼氏ができてはしゃいでいたのがつい昨日のように思えて仕方がなかった。

けれどももうそれもない。

だんだん腹が立ってきた私は彼を憎んだ。

恨んでやろうと思いながら、自宅へ帰宅後パソコンサイトで何かないか探した。

怪しくても今の私は何も考えられない。ただ、この気持ち恨めしく憎くたまらなかった。

そんな中、恨みはらします。という言葉が画面上から飛び込んできた。

私はもうわらにもすがる思いでサイトを開いた。

恨みの晴らし方の方法は簡単。

手じかにあるもので念じるだけだった。嘘でもなんでもいいと言いながらも強い想いは消えてはくれない…。

早速彼に関するものを片っ端から集め、それを燃やしながら念じることにした。

彼が愛用していた歯ブラシや櫛など特に毎日使っていたものがいいだろうと思いながら念じる。

売れるものは全て金に変えた。残りはたいしてない。それでも彼にとって私は大した女ではなかったのだ。恨みは消えるどころか膨らんでくる。


しばらくして彼が乗っていた車が事故をしたのを新聞を読んで知った。「やったぁ〜。」そう思えた。が、なぜか心にポッカリと穴があいてしまったかのようだった。

恨んではいてもまだ好きだったんだなぁ〜と思う自分がいた。

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