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蒼銀の竜契約者  作者: 深田風介
翠銀
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勝機はある

「すぐ帰国するぞ。ギルに見つかっちまった」

「了解。帰路の確保はできている。私に着いてきて」


 冷静沈着。普段通りの落ち着いた声音でそう言う。ステルス魔法で見えないけどきっと表情も無を貫いているはず。さすが音波。無駄なことは聞かず、迅速に対応してくれる。

 魔力回復以外の休憩時間を全て削り、足を動かし続ける。

 マテリア王国を出て、シルバやシンと合流する頃には俺も音波も満身創痍。それぞれの契約竜の上で仮眠を取りながら移動する。

 マテリア王国とグレン王国の国境を越えた後に、ようやくまとまった休憩時間を取ることができた。

 火を囲みながら音波と携帯食料をつまむ。塩気たっぷりの干し肉が疲れた身体に染み渡る。

 

「それで、王城の方で何があったの?」


 湯を注いだインスタントコーヒーを手渡してくれる。一気に半分くらい煽り、熱さでむせる。


「げほっ、ごほっ」

「そんなに焦らなくてもいいのに」

「いや、自分が情けなくてつい。結局、王城の中まで潜入できなかったんだ。その前にギルに見つかっちまった。竜神化してゴリ押すことも考えたけど、ギルの忠告で思いとどまった」

「ギルバートと遭遇したのに戦闘の気配は感じられなかった。どうやって逃げてきたの?」

「逃がしてくれた」

「え」


 ギルとのやりとりや会話を思い出せる部分全部伝える。


「ってな感じ。ただおしゃべりしただけだった」

「これは朗報。マテリア王国の主力であると思われるギルバートがこちら側につくかもしれないなんて」

「いやあいつの性格上、それは無いと思うぞ。本人が敵って言ってるなら敵だ。多分今回が例外だった。次会ったら多分殺し合いすると思う」

「ソーマとギルバートって一体どんな関係」

「それが分からないから俺も困ってんだよ」

「どちらにせよ無事に戻ることができて良かった。得られた情報は?」

「ん。まず、本丸の王城だけど、周りを隙間なく竜が囲っていて堅牢だ。攻めるのが難しそう。黒霧は王城から大量に噴き出てた。一層攻め込むのが難しい。それと、ミニサイズの邪竜っぽい竜が王城にへばりついてた。ミニサイズっつっても邪竜が規格外のサイズだったから竜の中でも最大サイズのシルバよりさらに大きいんだけど」

「それが分かっただけでも収穫。やはり復活魔法、竜魔法無効化の黒霧は邪竜らしき何かに起因するものだった」

「でもさ、邪竜って謎が多いんだろ? 分かったところで何になる」


 音波はそこでえっへんと胸を張った。態度でドヤっている。


「ソーマが邪竜グレイヴ討伐後、夜霧が何もしてなかったとでも? 邪竜についての文献をいくつか発見した。そこから得た情報を適用することができれば勝機はある」

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