表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼銀の竜契約者  作者: 深田風介
翠銀
185/187

対談②

「何のつもりかと俺に問うがな、少年こそ何のつもりだ。俺は今こんなにも無防備なんだぞ。首を落とせばいいだろう」

「……なるべく殺したくない。特にギルは二回目になっちまう。俺、ずっと残ってるんだぞ。お前を刺したときの感触」

「そんなものは忘れろ。でなければ生き残れんぞ。強大な力を持った貴様はこの世界で生きる限り、戦火から逃れられないのだから」

「やっぱりそうなるかなぁ。戦いたくないんだけどなぁ」

「甘ったれたことを抜かすな阿呆。現に今、貴様は自ら戦いの火ぶたを切って落とそうとしているではないか」

「いや、潜入だけのつもりだった。何か情報が得たかった」

「情報を得るのも戦争で勝つためだろう」

「ううん。俺一人で終わらせようと。そもそも戦争を起こしたくなかった」


 ギルはしばし黙った後、く、っくっくと喉の奥で笑い始めた。

 その笑い方、たまにユキトがするんだよな。血のつながりを感じざるを得ない。


「本物のバカだな。いくら伝説の竜と契約しているといっても貴様はたった一人。一人で国家を相手どろうなど無理がある。ましてや謎の魔法を使う相手だぞ」

「うん。今それ実感してるわ。一人で戦争を止める、もう誰も死なせたくない、ってイキがってたのがめっちゃ恥ずかしくなってきた」

「それが若さだ。気にするな」

「なあ、俺に戦争止めさせてくれない? そのために協力してくれない?」

「虫が良いぞ少年。何度も言わなければ分からんのか。俺は敵だ」

「じゃあギルの目的を教えてくれよ。何のために動いてるんだ?」

「新たな主に仕え、任務を全うする。それだけだ。なんだ、俺を追いやったグレンに復讐するため、と答えて欲しかったのか?」


 そういう言い方をするってことは、少なくともグレン王国の復讐のため動いているわけじゃなさそうだ。それが分かっただけでも個人的には収穫だ。


「うん。ギルがどうしたいのか聞きたかった。気持ちの問題だ」

「恵まれたやつだ。個々の気持ちなど関係ない。国のため動く。それだけだ」

「すまんな。俺、別の世界から来てるから価値観が違うんだよ」

「ほう。通りで。少年には言葉にしがたいズレを感じていたが、そういうことか」

「信じるのか?」

「まあそういうこともあるだろう」

「達観してるなぁ」

「一度死んでいるしな。お前に殺された。俺の全身全霊を持ってしても勝てなかった」


 恨み言をぶつけるようなトーンではなく、ただ事実を述べているだけの単調さ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ