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蒼銀の竜契約者  作者: 深田風介
翠銀
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壁登り

「行くか」

「うん。報告では王城に近づくほど黒霧が濃くなっていって、魔力循環が乱され、しまいには魔法が使えなくなるらしい。ソーマにかけてもらう加護の魔法が切れるまで私は同行できる」

「分かってる。それまでの間、サポートよろしく」

「了解」


 王都へは巨大な門を通って中に入る必要がある。が、現在は固く閉ざされており、そこからの侵入はできない。俺たちがとる行動は至ってシンプル。砦の如そびえる壁を登る。


「――再生の銀光レナトゥス・リュミエール


 まず黒霧対策にこの魔法をかける。俺自身と音波それぞれに。

 続いてステルス魔法。


「――光曲の銀鱗粉リフレクティア・スケイル

「――陰影ハイド・スキア


 最後に強化魔法。使用魔力量次第で竜魔法の同時使用数が増えることが最近分かった。誰か教えてくれよ。グレイヴとの戦いでは三つが限界かなーと思ってたけど、魔力を流している限り自動で発動して制御が必要ない魔法、尚且つ攻撃魔法より魔力量が少ないからこの三つなら全然平気だ、ただこの状態で攻撃魔法は一種類しか使えなさそう。

 

「ソーマ、ワイヤー出して」

「え? お、おう」


 言われるがままワイヤー射出機を出す。これ使って壁登りするのか。


「――静かなる警報サイレン・サイレンス


 音波が自身のと俺のワイヤーに手をかざし、魔法を唱える。


「何したんだ?」

「消音魔法をかけた。射出音のみならず着弾音も鳴らない」

「すご。潜入にうってつけの魔法だな」

「ただ効果時間が短い。一分ほど。手をつないで登れないから、まず壁の一番上まで登ったらお互いの身体を触って位置確認。そこから真下に降りて、そこで手をつないで移動する」

「おっけ」

「まずあの特徴的な竜のオブジェのところまで個々で登る。ミッションスタート」


 音波の声が遠ざかった。移動をはじめたようだ。

 俺も行くか。

 石材で作ったと思われる壁にワイヤーを射出。本当に音が出ない。不思議な感覚だ。鉤の部分も意図も透明な素材で作られているため至近距離で見ないとそれを確認できないはず。

 ワイヤーの巻き戻る機能と強化された肉体を使って、素早く壁のてっぺんに。壁はかなーり高かったが、ものの二〇秒ほどで登り切った。

 で、身体を触って確認だったかな。

 どのあたりだろ。

 手を伸ばしかけてすぐ何もない空間に衝突する。異様な柔らかさ。

 すぐ手を引っ込めようとしたが、音波の手と思しきものに掴まれる。

 そのまま下方向にグイッと引っ張られ、頭が下がる。


「ソーマのエッチ」


 超至近距離で囁くように話さないといけないのは分かるけどさぁ!


「偶然だから。つか放せ」

「この幸運に感謝してもっと楽しむべき」

「アホか。それで罠、探知魔法の類はかかってそうか?」


 真面目モードなのを察したのかすぐ手を離してくれた。

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