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蒼銀の竜契約者  作者: 深田風介
翠銀
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新婚旅行?

 グリフィル村では目ぼしい情報が得られなかった。期待して無かったから特に残念では無かったけれど。

 得られたのは身体に良くない黒霧が出現して大変だということだけ。

 王都に近づけばもっと有益な情報を得られると信じて。

 グリフィル村唯一の宿に泊まり、早朝に出発。


「こっちの世界に来るようになってから生活習慣が大幅に変わったわ。健康的になった。元の世界だとネトゲとかでつい夜更かししちゃうんだよな~」

「ああ、あのネトゲね。私が副ギルド長してた」

「……え?」

「一生着いていきます、『黒名ブラックネーム』ギルド長」

「うわああああ! おま、え、音速超速さん!? 音波が!?」

「そうだぜ!」

「間違いなく音速超速さんだぁ!」


 うっそだろ音波ぁ! お前があの男前で俺のために献身的に動いてくれていた音速超速さん!? こっそり俺のギルドに侵入してくんのやめろよぉ! ってかロールプレイ上手すぎ全く気付かなかった。異様に気が合うと思ったらそういうことか。


「楽しかった」

「あの頃は厨二全開だった……。ってこの話はやめやめ! こっちに来て早寝早起きするようになったなぁ音波!」

「強引に話戻しに来た」


 と、そんな雑談をしながら、身を隠すのにちょうど良い場所を探す。

 洞窟を見つけ、そこで今一度装備の確認をし、出発。強化魔法&ステルス魔法を使って高速移動。

 予定では今日合わせて二日で王都に着く。竜に乗ればひとっ飛びなんだけどなぁ。

 音波と手をつなぎながら移動し続けること数時間。

 夕方にはちょうど王都とグリフィル村の中間くらいの位置にあるスリザル町へ到着。

 

「このまま酒場で聞き取り調査」

「やっぱりファンタジー世界で情報集めるなら大衆酒場だよなっ!」

「それは知らない」

「お、おう。そっか」


 え、これって人類の共通認識じゃなかったの?

 ということで酒場でノンアルコールドリンクを頼んで飲みながら酒を飲んで酔っぱらってるおっさんたちに突撃していく。


「おお! 兄妹旅かい!? いいねぇ」


 早速おっさんに話しかけられる。


「兄妹じゃない。幼なじみ」

「ぶっはぁ!」


 俺以外とそのやりとりをしてるのはじめて見たからアホみたいに笑ってしまった。やっぱり他人から見ても兄妹に見えるんだな。


「笑いごとじゃない」


 ぎろりとにらまれつつ手刀を首に当てられる。対応がガチだった。


「幼なじみぃ? あれか、兄妹同然で育ったとかか!」

「違う。私たちは恋人同士。今は新婚旅行の最中」


 何言ってんだお前は、と反射的にツッコみたくなるのを抑える。そういえば恋人として振る舞うっていう話だった。


「おお! いいねぇ! おれもあんたたちくらいの年にゃあ駆け落ちしたもんよ! 当時嫁さんは別の男とねんごろでなぁ。嫁と俺は兄妹同然で育ったのに。悔しくてなぁ。それで色々して何とか結婚までこぎつけたんだよぉ」

「その話詳しく」

「おい」


 話が逸れてどっか行って大気圏突入しそうだったからブレーキをかける。


「にしても新婚旅行にこの町を選ぶたぁ見る目があるっ! ここはマテリアの中継地点、田舎と王都の橋渡しを担っている重要な町だ! だから美味しいものや珍しいものが集まるんだぜぇ! まあ、今はほぼ王都とのパイプは切れちまってはいるが」


 歯切れが悪くなる。そう、こういう話が聞きたかったんだよ。


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