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蒼銀の竜契約者  作者: 深田風介
翠銀
175/187

朝市

 現在は夜中。道には人っ子一人いない。

 

「どうだ音波? 罠とかセンサー系魔法とか」

「夜霧からの情報通り、辺境は以前と変わりない。私たちが上手く王都の人間を演じることができれば何の問題もない」

「おっけい。んじゃあ音波に従って進むか」

「ソーマが実力者で本当に助かった。じゃないとこんな無茶なマネできない」


 俺と音波は現在、手をつないでいる。

 なぜか。お互いがお互いの存在を認知することができないから。魔法で姿消してるからね。

 しかも強化魔法を使って高速で動いている。夜霧謹製、足音を殺す靴のおかげでほとんど物音を出さず走ったりジャンプしたりすることができる。

 音波はスピード型の竜契約者だ。並の竜契約者じゃ着いていけない。でも俺なら音波の僅かな挙動から進路を感じ取って動きを合わせることができる。それも音波以上にスピードが出せることと五感強化によるもの。つくづくシルバは規格外なんだなと思い知らされるな。

 音波は探知魔法、ステルス魔法、強化魔法の併用という超上級テクニックを使用しているため、身体的にも魔力量的にも消耗が激しい。だから休み休み進む。

 夜通し進み、夜が明け始めたところで、そこそこ発展した村に辿り着く。

 

「グリフィル村、到着。予定通り」

「お疲れ」


 ようやく全ての魔法を解く。音波の息は明確に上がっていた。普段はクールに疲れた姿なんて見せない音波が。それだけ疲れたってことなんだな。


「このまま睡眠は取らずに朝市で買い物をしながら情報収集」

「ん。村の中心部まで行くのにもうちょっとかかりそうだな。ほれ、おんぶしてやる。疲れただろ。案内助かった」

「……じゃあ、お言葉に甘えさせてもらう」


 音波は素直に背中に乗ってきた。

 軽いな。こんなちっこいのに夜霧の幹部とは恐れ入る。


「もしかして胸成長した?」

「さすが私の幼なじみ。AからBにランクアップした」


 こんな会話、俺と音波じゃないと成立しない。ティオやユキト相手だったら確実にボコられる。


「努力って実るんだな……」

「ちょっと待って。ソーマが私の努力の何を知ってるの? もしかして、見た?」

「おっぱい体操って、本当に効果あったんだな」

「今すぐ記憶の消去を行う」

「首絞めるな息ぐぁ」


 いつも音波に翻弄されてばっかりだからな。たまには反撃しないと。


 そんなこんなで村の中心部へ。俺たちが着く頃にはもうちらほらと店が開きはじめていた。


「お客さん朝早いねぇ」


 人の好さそうなおばちゃんがリンゴを磨きながら声をかけてくれる。恰幅が良く日に焼けていて、まさに田舎の元気おばちゃんって感じだ。


「おはようございます! 王都から遊びに来ていまして。朝市の雰囲気を感じたくてこんな朝っぱらから買い物に来ちゃいました」

「まあ王都から! 大変ねぇ。うちのモンも出稼ぎに行ってるけど、黒い霧だかが蔓延して身体に良くない、長居したくないって言っててねぇ。お客さんもそれが嫌になって旅行に来たんでしょ?」

「そうなんですよ~」


 早速情報ゲット。まあ知ってたことなんだけど。こんな感じで雑談しなが情報拾っていこう。

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