表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼銀の竜契約者  作者: 深田風介
緋銀
172/187

潜入前日

「ティオとの内緒話のために私に遮断魔法かけさせるなんて酷い。ヤンデレ化して後ろからソーマ刺す」

 

 すぐ近くから声が聞こえる。音波が『陰影ハイド・スキア』で姿を隠したままずっと俺に着いてきてくれている。ありがたいけど常に見られているから疲れ、ないなよく考えると。小さいころからしょっちゅう俺の後くっついてきてたし。


「刺すな。分かってるだろ音波も。ティオに了承を得ないといけないことは。黙って出て行って追い返られたりしたら目も当てられん」

「目の前でイチャイチャされて殺意が高まっただけ」

「別にイチャイチャしたつもりはなかったんだけどなぁ」

「くっ、もはや無意識レベルで……! まあいい。明日からソーマと一週間デートできると考えれば留飲も下がるというもの」

「お前はマテリア王国潜入をデート気分でするつもりか」


 このメンタルの強さ。頼もしいんだかそうじゃないんだか。

 さて、これで心置きなく潜入できる。

 自分の部屋に戻って、音波と潜入準備に入る。


「やっぱりそれ持ってきてたんだな」

「現代版忍者食の決定版」


 黄色いパッケージが目印の携帯食料。その名はカロリンメイト。俺の好物フルーツ味も用意してくれている。

 携帯する食糧は最低限。後は夜霧から支給された潜入アイテムの確認。例えば、マテリア王国の一般人を模し、尚且つ注目されにくい服であったりとか、竜魔法が使えないときに潜入や戦闘を行える小型ワイヤー射出機や毒が塗られている小型投げナイフなど。まさしく暗殺者。


「あれないのか。光学迷彩マント的なの」

「現在開発中。一年後くらいに幹部に優先的に配備される予定」


 完全に冗談で言ったんだけど何このガチ回答。夜霧の技術力どうなってんの怖い。


「前にそういう現代機器は持ち込み禁止って言ってなかったっけ」

「制度は常に移り変わる。現在は特例状況下のみこういうワイヤー系なら使用が許可されている」

「特例か。その内マシンガンとかも許されることになりそう」

「それは私にも分からない」


 夜霧、本当に謎なんだよな。得体が知れない。音波が所属してなかったら近づきたくないタイプの組織だ。


「つか夜霧でさえマテリア王国調査難航してるってヤバくないか」

「結局現代の技術も、未知の魔法には勝てない」

「それもそうだな」


 魔法には魔法で対抗したいところだけど、俺は死者を蘇らせたり竜魔法を無効化、人体を弱体化させたりする搦め手は使えない。戦うことしかできない。

 本当にマテリア王国の問題を俺一人で解決できるのだろうか。

 胸に湧いた一抹の不安を押し込め、笑顔を作る。


「よっし! 準備はこんなもんか! 後は早めに寝て体調を整えるくらいだな」

「夜中に出発するから今から寝るべき。私も一緒に」

「ほい。余ってた布団借りてきたから音波はこれで寝るんだぞ。ベッドじゃないと寝られないってんなら俺が布団で寝るから。あ、あとシルバに俺の周囲だけ結界魔法かけてもらうから、俺の寝床に潜入してきたらすぐ分かるからよろしく」

「……ソーマが、手強くなってる。面白くない」


 音波はぶーたれながらしぶしぶ布団を敷きはじめた。俺が音波以外の女子と寝る場所一緒だと頭おかしい寝相が発揮されるが、音波相手だと逆。しかも音波は能動的にしかけてくるからトラブル発生率百パーセント。対策とらないと防げない。

 音波と距離をとりベッドに潜り込む。

 ついに明日か。ティオの記憶を取り戻しつつグレン王国とマテリア王国の戦争を未然に防ぐ。

 眠れないかと思ったけど、挨拶回りで疲れていたのか、気付けば眠りに落ちていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ