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蒼銀の竜契約者  作者: 深田風介
緋銀
170/187

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「明日から一週間だと? 奇襲作戦の三日前に戻る計算か」


 ユキトが険しい顔で言葉を続けようとするのを軽く手を挙げて遮る。


「分かってる。ユキトの言いたいことは。当日の作戦に支障がでないか心配なんだろ。その点は安心してくれ。当日の配置とか動きは完全に頭に入れてあるし演習も十分してきた。難しいもんでも無かったし」

「ソーマがいない間に作戦内容が変わったらどうする?」

「三日間で頭に叩き込む。どうせ俺はほぼ他の兵と連携取らないから」

「確かにソーマ自身の力が強大に過ぎるため一人での動きになることがほとんどなのは事実。事実だが」

「一分の油断さえ許されない状況なのは理解してる。でおもそれを差し引いても、俺は休まなきゃいけない。てか休まなきゃ無理。死んじゃう。もうマヂ無理。精神も身体も病んじゃう。休みたい休みたい職場から離れて旅に出―たーいー」


 背中から倒れこみ、手足をジタバタさせて赤ちゃんのように暴れる。これには流石のユキトもドン引きだ。

 ユキトは椅子に深々と腰掛け、目を閉じ熟考。しばらくして口を開く。


「許可する。しっかり休んで英気を養うように」


 ユキトがやれやれと首を振りながらそう言う。俺は即座に背中をひっくり返し土下座モードへ。

 

「ははーっ! ありがたき幸せ! んじゃアルとかミーアともう一度作戦内容確認してくる」

「あの二人に休みのことをキチンと話しておくんだぞ。私から許可を得たことも伝えるように」

「あいあいさー!」


 立ち上がり一礼して、すたこらさっさと退散。

 心の中でユキトに謝っておく。

 はた目から見たらギャグにしか見えないやりとりで俺の休み申請が承認されたかのように映るだろうけど、全くギャグ部分は関係ない。

 ユキトは心得ている。俺という存在の大きさを。

 そして俺も自覚してしまっている。俺がどちらの国につくかで戦況が大きく変わることを。

 自覚しない方がたちが悪いと分かってはいるが、それでも圧力をかけることに心苦しさがある。

 ごめん。本当にごめん。両国を救うために俺は潜入しなきゃいけないんだ。


 休みのことをアルとミーアに話したら、アルにブチギレられた。作戦前に一週間も休むとは何事か、と。ミーアには、その間稽古つけてもらえなくなるじゃないですか! と別の方向から怒られた。

 その後は赤ちゃん返り攻撃からのヤレヤレ承認ムードというユキトのときと同じ流れに。アルとミーアもそこらへんは理解している。

 事務所で三人でみっちり奇襲作戦をおさらい。だいぶ長い時間拘束された。終わったころにはへろへろになっていた。

 が、そんな疲れた心身に自身で活を入れ、目の前のドアをノックする。


「ティオ、起きてるか? ちょっと話したいことがあるんだけど」


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