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蒼銀の竜契約者  作者: 深田風介
緋銀
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宴のはじまり

 わざわざ強化魔法を使って武器を取りに行った。

 アルもそうだけど、ミーアも相当体力がある。竜魔法は使うだけで体力消耗するから、日常的にバンバン魔法使ってる竜契約者はそれだけ体力があるという証明になる。俺も最初竜魔法使うだけでめちゃくちゃ疲れたことを覚えている。訓練や実戦、自主練を通して体力ついてったから今は平気。


「お待たせいたしました!」


 ものの一分でミーアは戻ってきた。速い。アルという実力者の影に隠れてるけど十分過ぎるほど強い。兵士統括のアルの補佐に選ばれるくらいだから部隊長と同じかそれ以上の戦士なんだろう。

 刀の状態を見せてもらう。うん、よく手入れされている。すぐに実戦で使えるくらい。

 

「これならすぐ稽古に入れるな。じゃあ刀の正しい握り方から教えてくぞ。その後基本の型を七本徹底的にやるぞ」

「はい師匠!」

「もう師匠でいいわ……」


 歓迎会までの二時間、ミーアにマンツーマンで稽古をつけた。

 ミーアは素直で吸収するのがとても早く、指導のしがいがあった。


「ありがとうございました師匠! 新鮮でとっても楽しかったです!」

「俺も楽しかったよ」

「これから毎日稽古つけてくれませんか!?」


 そんなキラキラした瞳で頼まれたら断るものも断れない。


「お、おう。できないときもあるだろうけど、出来る限り引き受けるよ」

「いえぃ~い! 必ず東方の剣術、モノにしてみせますよ!」


 喜び余ってかミーアが抱きついてくる。稽古が終わって戦闘着を脱いだせいで薄い布越しに弾力の暴力が俺の背中に襲い掛かるぅ! 

 邪念退散。ミーアはアルの妹。つまりは俺の妹みたいなもんだ。よこしまなことは考えてはいけない。


「へぇ。カエデ。そうやって稽古を口実にしてそういうコトしちゃう人なんだ。ふ~ん。私、ちょっとアルバートさんに報告してくるね」


 氷のように冷たい声が響いたと思ったら、即座に遠ざかっていく。


「話を聞いてくれぇ!」

 わざわざ強化魔法まで使う必要ないじゃんかぁ! 俺も使って追いかけなきゃいけないんだからぁ!


 ※※※


 仮眠から覚め、俺を探しに来たらしいティオを捕まえ、必死の弁明により誤解を解いた後。

 俺とティオは歓迎会の会場に向かっていた。

 訓練所の端の方。日本のものとは桁違いにデカいキャンプファイヤーが見えてきた。既に大勢の人間が集まっているのが遠目にも分かる。人間だけでなく竜も着飾って待機していた。


「な、何か緊張するな」

「カエデはまだマシよ。私なんて記憶ないのに歓迎されちゃうんだよ」

「ま、まあティオはいるだけで価値があるから」


 二人してビクビクしながら歩を進める。


「何をちんたら歩いているのだお前たちはぁ! 皆待ちきれず今にも杯を掲げそうだ!」


 うわああああビックリしたぁ!

 ユキトの雄々しい声とともにグランが現れ、俺とティオをわしっと掴んで飛ぶ。

 竜に掴まれて飛ぶの、いつぶりだろう。もしかしたらはじめてこの世界に来て、カラス型魔獣に襲われたとき、メイルに掴まれて以来かもしれない。

 妙に懐かしくなってしまった。ティオの記憶のことも心配だけど、同じくらいメイルのことも心配だ。ティオが竜魔法を使えるから生存確認はできているとはいえ。

 メイルのかわいらしい鳴き声が恋しい。マッサージしてやりたい。再開したらティオに了承をとってメイルと語り合いたい。契約者じゃないから話せないけど。タッグ組んで戦ったときのこととか振り返りたい。

 ギルと戦ったとき、メイルも共に戦った。ティオを引き渡す際、またギルが出張ってくるだろう。そのとき一緒に戦えるよう探し出したいところ、。

 先ほどのティオの強化魔法を思い出す。

 かつてのティオより動きが鈍かった。契約竜と物理的に距離が離れてる証拠だ。

 仕事がはじまる六日間の間に、音波に、夜霧にメイル捜索に人員に割いてもらえるよう相談してみよう。 

 密かにメイルに思いをはせている間に、会場に着いた。


「ソーマ! ティオ! 強化魔法を使え! 派手にいくぞ!」

「なぜに!?」

 

 とりあえず従い、魔法を使う。

 そのタイミングで、俺とティオは宙に放り出された。

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