六
友人の珍解答。
俺「では、コーヒーを一杯」
実は、俺は根っからのコーヒー党なのだ。それもアメリカン限定で。
幸い、Mのオリジナルコーヒーはアメリカンであるから、俺の好みに見事に一致していたのだ。
男「そっか。じゃあ、買ってくるね」
そう言って、見送る彼の背中に不審な影を幻視した俺は、
「伏せろおおおおお!」
ドガァァァァン!
その瞬間、灰色の物体が窓ガラスを割って飛び込んできた。
そして……
男「少年、僕―――」
破片と煙とが渦巻く中で俺はしっかりと彼の言葉を聞いた。
出来ればその言葉をコーヒーを持ってきてくれたあとで聞きたかった。
俺はつぶやいた。
「ああ、無情だな……」
俺はおじさんのせっかくの申し出を、もちろん丁重に断った。
「いえ、大丈夫です。僕は喉が渇いていませんから」
「ほんとにいいのかい? 遠慮しなくてもいいんだよ」
「ほんとに喉渇いてないんで……」
「じゃあ、おじさんは買ってくるね」
とおじさんは買いにいってしまった。
その間、俺は長文を読みながら、やっぱりこういうのって苦手だなぁ、と思った。こういうのというのは、親切な人の善意に基づいた有難い申し出のことなのだが、俺はどうも人に貸しを作るのが苦手らしく、素直にそれを受け取ることができない。昔からそうなので、今でも覚えているのがいくつかある。(今回はあえて割愛させていただくが)。
さて、俺は結構な間、自分の性分を考えていたが、もちろん英語の問題も解いていた。
「よし」
俺は長文問題を解き終わると、答え合わせをした。意外と合っているのは嬉しいが、おじさんの答えは……。
あんまり合ってねぇ!
と思っていると、
「うッス」
おじさんが片手をあげてにこやかな登場をしてきた。実はもう一つの方の手には、オレンジジュースがあったり。意外とお子ちゃまなのか……。
「……」
特に返す言葉が浮かばないので黙っていると、
「そうそう、一つ忠告があるんだけど……」
おじさんが俺に忠告をしてくれた。
設問6:おじさんの忠告の内容を当てよ。