一
高校二年の冬休み、新年を迎えて一週間くらいの頃。
午前の部活が終わって、その後部活のメンバーで行った初詣も済ませた俺は、「家に帰る=勉強せずゴロゴロする」という、最悪の恒等式を立式してしまうに違いないと思い、日頃お世話になっている某ファーストフード店「M」に行くことにした。
ところが、俺はその時あることを見落として、今回のような話になってしまった。あんなミスをするなんてバカと言えばバカなのだが、そんな簡単なことを見逃すというのは、自慢じゃないけど、俺には結構珍しいことだった。そう、偶然の産物によるもの……。って、それはいくらなんでも強引か。
さて、話を俺の見落としたことに戻すと、今日はヴァイオリンを学校に持って行くため――俺は弦楽合奏部に所属している――、電車を使って学校と家を往復するのを余儀なくされていたのだが、それに起因する、「自転車での帰路にある俺御用達のMが使用不可」というのを、俺は迂闊にも見落としていた。そうそう、いつもの俺は自転車を利用して通学している。
俺がそのことに気づいたのは、高校の最寄駅から電車に乗り家に近いT駅に到着した時だった。
ところで、話が変わるが、T市民の特権としてMが駅付近に多くあるというのがある。確か少なくとも四店はあるが、これはなかなかにすごいことではないだろうか。
しかし、だからこそ悩むのだ。どこにするか。駅南口のMにしようか。家も駅から南の方だし。
いや待てよ。あそこは売上が全国で十番らしい。もし客が多くなると、勉強している人間は邪魔者として追い出されてしまうに違いない。それでは困るなあ。
ならば……。
設問1:俺が行った「M」はどこか?
①南口の全国で売り上げが十番らしいM
②北口のデパート前のM
③南口の①とは違うM
④北口の郵便局近くのM