前編
注意
*雑
*話の展開が速い
*誤字脱字あるかもしれない などです。
短時間で読めると思うので、ぜひ読んでみてください!
「わぁ、きれい・・・・」
私の口からこぼれ落ちたかすかな声。
私の黒色の瞳の中には、色とりどりの花が咲いていた。
そして・・・
この季節には合わない真っ白な雪が、私のまわりだけに舞っていた。
その日は、夏がもうすぐ終わる頃だった。
「お祭りっ、お祭りっ、たのしみっだな~」
なぜこんなにもわたしがルンルンなのかというと、もうすぐお祭りがあって、それが楽しみで仕方がないからなんだ。
わたしの村はいつもは暗いのに、そのお祭りのときだけ村に光が宿って、息を吹き返す。そう表現しても良いくらいの祭りなんだ。
だから、わたしは毎年その祭りを楽しみにしているの。今からでも楽しみなくらい。あと、一ヶ月くらいも期間があるのにね。
そのお祭りには、いろんな方が来るんだよ。村のおじさんやおばさん、それにおばあちゃんにおじいちゃん。お兄さんやお姉さん、小さい子に赤ちゃん。それに、妖怪まで来るらしい・・・。本当にいるかは、わたしにはわからないの。わたしには、見えないから。でも、今年こそ見るんだ! だって、見えたら楽しい祭りがもっと楽しくなると思うの。
それに、今年は去年よりももっと楽しみなの。去年ね、一人でお祭りから帰っている時「来年、一緒にお祭りまわろう」って約束した狐のお面を被ったお兄さんと約束したんだ。きっとお兄さんは、わたしが寂しいのを知っている。だからお兄さんはそんなことを言ってくれたんだと思う。そのお兄さんとは、そのお祭り以来会っていないんだけど、約束したからきっと今年のお祭りに来るって信じている。
~一ヵ月後~
お祭りの日がやってきた。
わたしは、もう朝からルンルンで楽しみで仕方がなかった。
夕方近くになり、わたしはお母さんに浴衣を着せてもらって、髪の毛をかわいく結ってもらってスミレの簪を挿し、下駄を履いて家を飛び出した。
カランコロンカランコロン
わたしの下駄の音が辺りに響き渡る。少し早く来すぎたみたい。あのお兄さんとの約束の場所は今でも忘れない、一年たっても。
お祭りへの長い道。長い長い階段を上って、さぁ、お祭りの入り口だ。
かなり待った。陽がもう落ちてしまった。あたりは暗闇にのまれた。でも、鳥居の奥からは、あたたかい光がここまで届いている。
わたしは鳥居にもたれかかって、お兄さんを待った。
わたしの目の前をいろいろな人たちが通り過ぎていく。お母さんとお父さんと来ている子やカップルで来ている人たちがどんどんと通り過ぎていく。
それは、わたしが一人ぼっちのような感じになって怖くなって寂しくなった。
涙がホロリと頬を伝った。それでも、わたしの様子には誰一人気付かない。
とその時、わたしの前に誰かが立ったのが分かった。そして、その人はわたしの頭をナデナデしてくれた。
「髪の毛、崩れちゃうよ。」
って、なんかくすぐったくてうれしくてわたしは笑った。
「やっと、笑った。」
そう、優しい声が、あったかくなる言葉が頭の上から降ってきて、顔を上げると、あのお兄さんが立っていた。
「ごめんね、待たせちゃって。」
そう困った顔で、ふんわりと笑っていた。その顔は、心があったかくなる顔だった。さっきまで伝っていた涙は、消えていた。その代わりに、花が咲いていた。
「じゃ、行こっか!」
「うん。」
そして、わたしはやっと鳥居をお兄さんと一緒にくぐることができた。手をつないで、あたたかい光を目指して、楽しく歩いていった。
「ねっ、ねっ、お兄さんの名前はなんなの?まだ、わたし聞いていないんだ。教えて?」
「シロ、白って言うんだ。」
「シロお兄さんだねっ!わたしはね、凛って言うの。」
「凛だね。それじゃあ今晩はよろしくね、凛ちゃん。」
そう言って、お互いに笑った。ささいな時間がわたしには楽しかった、とっても。
その後、屋台を梯子して、社で休んだ。慣れない浴衣のせいなのか、いつも以上に疲れた気がした。対する、シロお兄さんはニコニコと笑って疲れを見せていなかった。
「なんで、シロお兄さんは疲れてないの?わたしは疲れたー」
まだ、シロお兄さんとわたしは手をつないでいた。わたしがその質問をしたとき、わたしの手を握るお兄さんの手が強くなった。
「うん、・・・・俺は、大人で凛ちゃんより楽な格好をしているからかな?」
と言って、お兄さんはただ笑ったというより嘘を隠すような感じで笑っていた。
「ふーん。男の子のほうがなんか良いね。」
わたしは、お兄さんが言いたくないんだなと思って、知らないふりをした。
「体力面では、女の子に負けないよ!」
と言って、力こぶを作っていた。お兄さんといるとなにをしても面白く感じるから、わたしはお兄さんといる時間が幸せに感じた。
かなりの時間が経った。
「そろそろ、帰ろっか。」
「うん、そうだね・・・。」
わたしは、まだお兄さんと居たかった。帰りたくない。そんなわたしの思いを感じ取ったのか、
「そうだ、また来年も一緒にお祭りまわろう、約束!ねっ?」
「うん!」
「じゃあ、指きりげんまん、嘘ついたら針千本飲―ます、指切った!」
お兄さんと指きりげんまんして、帰り道をまた来た時のように手をつないで帰った。
わたしの家に着いた。
「それじゃ、またね。」
「ねぇ、お兄さんとはお祭り以外にも会えないの?」
「・・・・・ごめんね。」
そう言って、悲しそうに笑った。
「ううん、お祭り以外にも会えたらいいなっていうわたしの我儘だから、気にしないで。」
わたしは慌ててそう言った。
「うん、ほんとにゴメンネ凛ちゃん。俺も会いたいのは山々なんだけど。その分、お祭りの日がきっと楽しみになるよ。」
「うん、そうだよね。楽しさがきっと2倍以上になるよね。」
「そうだね、たしかに会えない分楽しさ2倍だね。」
「ふふっ、今から楽しみだよ。」
「うん、俺も楽しみだよ!早く来ないかな、来年。」
『来年』という言葉を聞いた瞬間、急にものすごく悲しくなった。
「そういえば、シロお兄さんはなんで狐のお面を被っているの?去年も被っていたよね。」
「えっと、それは・・・。俺のお気に入りのものだから。この狐のお面がお気に入りだから、毎年お祭りではつけているんだ。ほんとはいつ も付けていたいけど、それはさすがに、ね?」
「あはは。そんなに好きなんだ、そのお面。ねぇ、ちょっと見せて。」
そう言って、狐のお面に手を伸ばし、触れようとした瞬間、
「触るな!」
すごい剣幕だった。威圧感を感じた。その時、初めてお兄さんを「怖い」と感じた。
「あっ・・・・ごめん・・・なさい・・・・」
小さな声になって、泣いてしまった。
「あっ、凛ちゃんごめん。俺が悪いんだ。だから、泣かないで?」
わたしは首をぶんぶん縦に振った。
「これは、ほんとに俺の大事なものなんだ。だから、触らないようにしてね?」
「うん。その狐のお面、触ろうとしちゃってごめんなさい。」
「俺のほうこそごめんね。急に怒鳴って。」
「ううん、もういいよ。」
別れるのが惜しくてお兄さんに振った話。思わぬ方向に行ったけど、気まずいままにならなくて良かった。気まずいまま、別れるのはつらいから。
そして、その時は来た。
「もう、夜遅いからそろそろ帰るよ。」
「うん・・・。来年、楽しみにしているからね。約束、忘れないでよね」
「忘れるわけがないよ。バイバイ、また来年!」
「バイバイ、また来年!」
そう、言ってシロお兄さんは帰っていた。見えなくなるまで手を振った。
「今年も妖怪に会えなかったぁ・・・。でも、楽しかったからいいや。」
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