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現代ダンジョン貧乏メシ配信!これって食べれるかな?  作者: ゆうき


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【1日目】スライムは経験値?いやご飯



「うぅ...お腹すいた...。」


春先の寒さやお腹の空いたひもじさに目が覚めた僕は、ペラペラの布団をこの狭い畳の部屋の端っこに雑に三つ折りで片付ける。


「冷たいよぉ...。まぁシャキッとはするかなあ。」


返事のない部屋で1人呟きつつ顔を拭く。


生きていくには金が必要だ、何をするにも金金金。


そう、僕には金がない。

頼るべき親戚もいない。


なんにもない。


「いや一応ペラペラな布団があるか。...もはや布。」


1人冗談を冗談と言えないトーンで語るが笑えない。


「いくしかない...せめて、せめて何か食べれるものを買えるようになるかもしれない。」


裾のボロボロなジャージのズボンによれよれのシャツ、寝て起きて着替えもない僕はそのまま玄関を出る。


幸い“そこ”は近い。


一抹の望みを抱えつつ足を運ぶ。


(ここか...思ったより人はいない。)


所在なさげに腕を前に組みつつ受付へ向かう。


「こんにちは、どのようなご用件でしょうか?」


「登録をしたいんですけど...。」


「承知いたしました。では、こちらの用紙に必要事項をご記入ください。それから注意項目をよく読んでサインをお願いいたします。」


受け取った書類に簡単な自分の情報を書いていく。


特に難しいこともない、名前や年齢などの基本情報にあれば特筆事項、最後に注意事項へのサインだけ。


(色々書いてあるけど、死んでもなんでも自己責任ってこと。)


当然サインする。

もしここで死ななくても、明日には飢えて死んでいるかもしれないのだから。



ここは市営ダンジョン、近年突如として現れた“不可思議”な場所。


国で管理された管理しきれない“不可思議”な場所。


ここはそういうところ。



「受理いたします。こちらはまだ新しいダンジョンとなっておりまして、情報確保のため配信することを条件に配信端末の貸し出しを行っています。もし有用な情報が見つかった場合特別報奨がもらえるほか、視聴数などに応じて広告収入が得られる可能性はあります。いかがいたしますか?」


「はい。お願いします。」


「ではこちらの貸し出し申請書をご記入ください。

無償ではありますが、もし故意に故障させるようなことがあった場合弁償していただく場合はございます。あらかじめご了承ください。」


故意にというところを強調するところを見ると、よっぽど悪質じゃなければ弁償はなさそう。

もちろん大事に使うことが前提ではあるし、基本配信が条件のため、破損した場合の理由などは丸わかりだ。


(第一層ではよっぽどでなければ死ぬことはないと聞くけど...。)


貸出された配信端末は邪魔にならなそうな肩にセットして起動する。

スマホなどの外部端末があれば詳細設定や視聴者のコメントなどをリアルタイムで変更・閲覧が可能ではあるが僕にはない。


完全な垂れ流し、それでもお金がもらえる可能性があるならよし。


プロの配信者はエンターテイメントとして昇華した活動でより稼ぐというが僕にはノウハウも何もなし、そもそもそれを見る端末がない。


「ジメジメとした空気と土の臭い、The洞窟って感じだ。」


感慨もなくダンジョンに侵入し大きく息をすう。


洞窟の割に暗さはなく割と明るい。

発光してる訳ではなさそうだけど、太陽光が差し込む穴がない違和感、異常を感じる。


「第一村人、発見ってかんじか?」


少し先の曲がり角から青く丸い物体が動くのが見える。


“スライム”


RPGにおける王道すぎる王道の生物。

危険度は極めて低く、顔に張り付かれ窒息することがないかぎり死ぬことはない。


「こんなんどうやったら顔に張り付かれて死ぬんだ?ちょっとぴょんってするとこが見えるけど、十センチもとんでないぞ。」


腰を落として近づきつつ観察。


第一層ではスライムしかいないらしいし、ダンジョン初発見の敵対生物で緊張したが、ほっとした息を少しはく。


人の皮膚すら溶かすこともできないこの生物はどのようにして生きているのだろう。


とはいえ倒せば魔石を落とし、それが主な収入源となる。


「攻撃性がほぼ皆無とはいえ素手はちょっとやだな。これでいいか。」


虫を潰すような感覚でちょっと大きめの石を手に振り下ろす。


ぷちゅっ


飛び散るスライム。


ちょっと粘土のある水風線を割ったかのような飛び散りだ。


真ん中あたりにきらりとひかる小指の先ほどの紫色の石を拾う。


ちっちゃくても魔石は魔石、数を集めれば今日のご飯代くらいはもらえると信じたい。


「まだ新設だからか人が少なくて助かったかな、都心は人がごった返しらしいし...。1時間で10匹!順調順調!」


競合が少ないことをいいことに見つけてはぷちゅ、見つけてはぷちゅっと魔石を集める。

10匹倒す頃には石も使わず直接持ち上げて叩きつけるようになった。


石よりは軽くバレーボールほどの大きさなので抱えやすく、口も目もないので持ち上げても多少ぶるぶるする程度。


ふと11匹目を持ち上げ思った。


「これ...食べれないかな?」


朝から何も食べれていない僕はとにかくお腹が空いている。

なんだかまるくあおいぷにっとしたこのフォルムがお饅頭のようで美味しそうに見えてきたのだ。


「よ、世の中には踊り食いなんて物もあるし...毒性があるなら抱えた段階で肌が荒れるよね?でも荒れてない...。寄生虫のようなものも半透明な体には見えないよね?ちょ、ちょっと菌が怖いけど、万が一あってもお腹痛くなるくらいだよね?ねっ?」


誰に言い訳をしてるのか抱えたスライムを見つめつつ1人ぶつぶつと口荒む。

心なしかスライムのぶるぶるが大きい気がする。


「ふー....いただきます。」


大きく息を吐き命に感謝を捧げてそのまるいボディに歯を突き立てる。


「んぐっ...んー...うん。なんだろう、なんて言ったらいいんだ。水の...饅頭?いや饅頭ほど硬さはないんだよなあ。ゼリーよりももっとやわい、でも水みたいに飲む感じでもない?新食感ではある。味はない、ないってか水、マジ水。朝からなんも食べてないからお腹に染みる感じはある。」


決して美味しい訳ではないし食べた感はないけれど、思ったより忌避感はなかった。

半分くらいぶるぶるするスライムを食べるとびちゃっと体が崩れて落ちる。


体を構成する部分が半分なくなると死ぬってことなのだろうか?


「流石に死んでびちゃびちゃな状態を啜る気はないなあ。そこそこ食感がある踊り食いが正解かもしれない。もう2、3匹食べて帰ろうかな...一応今日初ダンジョンだし。」


スライム踊り食いが果たして栄養があるのかどうかは別として、多少お腹が膨れた感じがあるわけだし、食べれる時に食べる。


あとはお腹を下したりしないといいけど。



「あの、これお願いします。」


「配信機材の返却と魔石の買取ですね。少々お持ちください。」


ダンジョンからでた僕は受付へ配信端末の返却と魔石の買取を行ってもらう。


魔石の数は全部で15個。


パンぐらいは買えるだろうか?


「買取価格は一つ当たり30円、15個ございますので450円です。またのご利用をお待ちしております。」


これが高いのか安いのかダンジョンの基準はいまいちわからないけれど、これでご飯がかえる。


今日の夜と明日の朝飯を買って帰ろう。


明日もまだ生きてられる。




時給で300円...

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