表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
岩絵の鈴(いわえのすず)——息を縫う者  作者: 百花繚乱


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/17

第五章 4655年の石の海

石の隙間の通路は、外より冷たかった。金属の匂いが混ざる。

円形の広間。床に複雑な紋。

中心に鈴。銀色で、触れる前から鳴る気配がある。


真白は手を伸ばし、止めた。

未知の器具は怖い。

触れた瞬間、誰かが死ぬかもしれない。救急の癖だ。


「触れていい」

マリクが言う。

「あなたは呼ばれた側だから」


指先が鈴に触れた瞬間、耳の奥が痛んだ。

——ヒュッ。

誰かの息の吸い損ね。

その音が、真白の内側で鳴った。


真白は膝をついた。喉を押さえる。

視界が暗くなる。

救急外来の床の冷たさが戻る。


マリクが背に手を当てた。熱い。

「聞こえた?」

真白は頷き、涙が勝手に落ちた。


「ここは息の保管庫だ」

マリクの声は低い。

「世界が壊れないように、最後の息を石に封じる」


真白は反射的に首を振った。

封じるなんて。

息は、返すべきだ。

そう思った瞬間、胸の奥が痛んだ。


返せなかった息が、何度もあったから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ