表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
岩絵の鈴(いわえのすず)——息を縫う者  作者: 百花繚乱


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/17

第四章 岩絵の洞(チリン、と鳴った)

第四章 岩絵の洞(チリン、と鳴った)


翌日、岩の回廊は影が冷たかった。砂は粉みたいに滑り、足音が吸い込まれていく。

洞へ入った瞬間、真白の足が止まる。


赤褐色の線で描かれた人影。

胸元に小さな円——鈴。

絵なのに、こちらを見ている気がした。


真白のペンダントが急に重くなる。鎖が首に食い込む。

耳の奥で、澄んだ音。

チリン。


視界が白く弾けた。

硬い蛍光灯の光。消毒液の匂い。

——違う。ここは洞だ。洞なのに、病院の匂いがする。


音が消えたとき、空が変わっていた。

翡翠色の薄雲。光の角が鋭い。

砂が湿っている。足跡が消えない。


背後で砂利を踏む音。

振り向くとマリクがいた。

服が違う。胸に金属の紋章。瞳は同じ蜂蜜色なのに、そこに“長い時間”の影。


「遅かった」

初対面のはずの声が、初対面の言い方じゃなかった。


「……マリク?」

彼は頷き、真白のペンダントを見る。

「鈴が鳴った。あなたが来た」


真白は息を吸った。

空気が冷たい。

胸の痛みが一拍だけ消えた。


「西暦四千六百五十五年。九月十四日」

マリクは淡々と言う。

「タッシリは、世界の救急室になった」


救急。

逃げてきたのに、追いかけてくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ