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第十四章 自分の意思で戻る
第十四章 自分の意思で戻る
4655年の冷たい空気が肺に入った瞬間、真白は泣きそうになった。
戻れた。
呼ばれたからじゃない。
自分で戻った。
都市は騒然としていた。
サイードが保管層へ向かっている。
「全解放だ」
群衆が泣き、祈り、怒っている。
真白は走った。
砂を蹴る。肺が焼ける。
でも止まらない。
救急の足だ。間に合わせる足。
保管層の前で、リナが立っていた。
目が真っ赤だ。
「弟が……石板の中で、ずっと息を止めてる」
「止めてない」
真白は言った。
「抱えられる量になるまで、待ってるだけ」
リナの肩が震えた。
真白は彼女の手を掴んだ。
冷たい手。
それでも離さない。
「一緒にやる。返す。でも、世界が死なないやり方で」




