6話
1. 商会の売上、伸び悩みすぎ問題
「最近、売上が落ちておりまして……」
王都最大の商会“グラン・トレード”の会頭が言った。
俺は、軍と魔術師ギルドでの実績を買われ、経営顧問として招かれた。
「商品は良い。流通もある。なのに売れない。
それ、マーケティングが機能してない証拠です」
「……まーけてぃんぐ?」
「はい。異世界にはない概念です。
でも、売るためには、まず“誰に・何を・どうやって”を整理する必要があります」
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2. STP分析で市場を分割してみた件
俺は、商会の商品群を以下のように分類した。
• 高級品(貴族向け)
• 実用品(庶民向け)
• 魔道具(冒険者向け)
「まず、Segmentation(市場分割)を行います。
次に、Targeting(狙う層)を決めて、
最後に、Positioning(どう見せるか)を設計する」
「……それ、魔法か?」
「違います。マーケティングです。
でも、魔法より売れます」
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3. 価格戦略と心理誘導
「高級品は、値下げしてはいけません。
むしろ、価格を上げて“希少価値”を演出します」
「庶民向け商品は、“セット割”でまとめ買いを誘導。
“今だけ”という限定感を出せば、購買率が2倍になります」
「魔道具は、性能より“物語”を売る。
“かつて英雄が使った”というコピーを添えるだけで、売上が跳ねます」
商人たちは、俺の“言葉だけの魔法”に震えていた。
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4. 俺TUEEE、経済界にも浸透
翌月、グラン・トレードの売上は前年比240%増。
王都の商人ギルドは、俺を“経済顧問”として正式に迎えた。
「魔法も剣も使わず、売上だけで世界を動かした男」
そう呼ばれ始めた俺は、異世界の経済構造に食い込んだ。
——マーケティングは、金より強かった。




