4話
1. 王国会議、空気が重すぎる
「この国の財政は、破綻寸前だ」
王国会議の冒頭、財務卿が言った。
貴族たちはざわつき、責任のなすりつけ合いが始まる。
「軍の予算を削れ」「いや、魔術学院の研究費が無駄だ」
「農業支援を切るなど言語道断!」
——議論は、感情と利権でぐちゃぐちゃだった。
「……なら、僕に10分ください」
俺は言った。
社畜時代、年間120本のプレゼンをこなしてきた。
そのスキルが、今ここで火を吹く。
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2. スライド構成:問題→原因→解決策→効果
俺は、紙と板を使って“PowerPoint風スライド”を作った。
構成はこうだ。
1. 現状の財政赤字(図解)
2. 原因の構造分析(軍事費・研究費・補助金のバランス)
3. 解決策:予算の再配分と“Excel式管理”の導入
4. 効果予測:3年で黒字化、士気向上、魔法技術の民間転用
「この構成は、“PREP法”と呼ばれるものです。
Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(再主張)」
「……ぷれっぷ?」
「はい。異世界にはない概念です。
でも、論理の力は、世界共通です」
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3. プレゼンで貴族を論破してみた件
「軍事費を削れば、国防が崩れる!」
「では、兵站をExcelで最適化すれば、
同じ予算で戦力を1.3倍にできます」
「魔術学院の研究費は聖域だ!」
「なら、QRコード魔法を民間に転用し、
特許収入で研究費を自走化しましょう」
「農業支援を切るなど——」
「切りません。
ただし、支援対象を“成果連動型”に変えます。
収穫量が増えた農家には、倍額支給します」
——貴族たちは、黙った。
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4. 俺TUEEE、言葉だけで世界を動かす
「この者の提案、採用する」
王が言った。
王国会議は、俺のプレゼンでひっくり返った。
「剣も魔法も使わず、言葉だけで国を動かした男」
そう呼ばれ始めた俺は、異世界の政策決定に食い込んだ。
——PowerPointは、剣より鋭かった。




