12話
1. 帰還の儀式、発動可能
「召喚魔法の逆算に成功しました。
あなたを元の世界に戻すことができます」
リリスが言った。
QRコード魔法と視覚認識理論を応用した“帰還陣”が完成したのだ。
「……帰れるのか、俺」
王国軍、魔術師ギルド、商会、王族、そして学院の生徒たち。
俺はこの世界で、知識だけで居場所を築いてきた。
でも、元の世界には、
深夜残業とExcelと、誰にも知られない日々がある。
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2. 残すもの、残るもの
「あなたがいなくなったら、学院はどうなるの?」
リリスが言った。
「大丈夫。
俺の知識は、全部“カリキュラム”にしてある。
もう、“俺だけ違う”じゃない。
これからは、“みんなで変えていく”世界だ」
「……それでも、寂しいわよ」
「それ、心理学的には“別れの予期的悲しみ”って言います」
「……最後までうざい」
でも、リリスは笑っていた。
その笑顔は、“好意の確定”だった。
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3. 社畜、異世界を卒業する
帰還陣の中心に立ったとき、俺は思った。
——この世界で、俺は“知識で戦った”。
——でも、本当に戦っていたのは、“自分の価値”だった。
「俺は、社畜だった。
でも、ここで“知識が誰かを救う”ってことを知った。
だから、帰っても、もう逃げない。
Excelも、PowerPointも、俺の武器だ」
光が満ちる。
異世界での記憶が、静かに胸に刻まれる。
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4. エピローグ:俺の知識は、まだ終わらない
現代のオフィス。
俺は、会議室でプレゼンをしていた。
「この提案は、魔法より速く、剣より鋭いです」
同僚が笑った。
上司が頷いた。
俺は、もう“ただの社畜”じゃなかった。
——俺の知識は、まだ終わらない。
——異世界で得たものは、今もここにある。




