ここに
年が明けてから、
聞こえるのは
烏の鳴き声。
朝の明けやらぬ
表の空から、
賑やかなこと。
胸が苦しくて、
寝込んだ年末が
そのまま残る耳。
烏の鳴き声で、
人の世から
なおさら遠くなる
何かが笑いかける。
ニヤニヤと。
落ち着かない。
烏、なぜ鳴くの、
烏は山に。
聞こえた旋律。
風情は心の中に。
童謡の歌詞を
ときおり思い出す。
風情は消えゆくから。
日頃がそのまま、
風になるから。
年が明けたなら、
正月になったなら、
何を感じればいいの。
一つ言えるのは、
七つの子ではなくて。
童謡がただ懐かしい。
童謡なんて、
どこの誰が聴くの。
ここにいる、ここにいる。
ここにいますよ。
正月が来たんだから
烏が鳴くんだから。
一年の始まり。
縁起がいいらしい。
烏、神様の御使い。