混沌
激しい銃撃音が聞こえる。黒煙に染められた空に戦闘機が飛び交う。
辺りは一面火の海。騒音の嵐によって兵士たちの叫び声や雄叫び、悲鳴がかき消されている。
「うおぉぉあわぁぁああ……っ‼」「くそっ!」「来るんじゃねぇ……来るな!」
彼らの奮闘も虚しく、今、対面している者にとどめを刺される。
「やれやれ、とんだ事態になったもんだ。あいつら やらかしてくれたもんだぜ……」
男が一人つぶやく。兵士と彼らが標的にする者が戦闘を続ける中、黙々と標的に拳を叩き込んでいく。
「全員生かして帰れ? ジョーダンじゃない、こんな獣のような奴ら手に負えるかっ……まあ、人のことは言えねえけどよ……」男に左右から2匹、上空から1匹が飛びかかる。
「勇猛さだけだな…俺が避けたらどうなるか分かるだろう」瞬間、男が上空へ15メートルほど飛び上がる。そして彼の右腕がウネウネと動き出す。形を変えた腕はものすごい勢いで上空の1匹へと伸びていき、がっしりと掴んだ。そのまま真下に居る2匹へと投げつける。ズドンッ―― 3匹の衝突音、ブチ当たった地面から地響きが鳴る。「あと何匹だ……?」
少し疲れた表情をした男は目を細め、辺りを見通す。100以上は居るだろう、そこら中に黒い影。まるでゾンビのようにうごめいている。「……地獄だな…………」