4話 側室
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話の切れ目的な問題で少し文字数が少なめとなっております。
「アメリア…さま…?」
マリーナの手をぎゅっと握りしめるともう片方の手でわたしの肩を抱いてくれた。
どうしてだろう。どうしてこんなにも落ち着かない気持ちになるのだろう。
「お目にかかれて嬉しゅうございます。是非お会いしたいとずっと思っておりましたの」
穏やかな人だ。
2人の子どもを持つと思えない程に若く見える。
お母様も2人も子どもがいるようには見えないと思っていたがお母様以上だ。
この人はまるで少女のよう。
「お帰りくださいアメリア様。此度の事は陛下にご報告させて頂きます」
「アメリア様は陛下の愛するお方ですよ!なんて無礼な!」
「そうです!アメリア様が陛下のお庭へ参るのになぜ許可が必要なのです!」
ガウェインにアメリア様の侍女たちが噛み付く姿もわたしには恐ろしい。
わたしの世界は狭かった。
だって誰も怒鳴ったりする姿なんて見せなかった。
誰もが優しくて、いつも笑顔で。
「お帰りください。衛兵をお呼びしたほうがよろしいか」
「よいのです。庭ならば…と思ったわたくしが間違っておりました」
ガウェインの言葉に顔を真っ赤にさせた侍女が声を出す前にアメリアがその腕で遮る。
「離宮へ戻りましょう。ルナマリア様、お会い出来て嬉しゅうございました。是非次はお茶会にお誘いさせてくださいませ」
「ルナマリア様が貴方様と交流なさることはありません。さぁルナマリア様。わたしたちもお部屋に戻りましょう」
聖堂へは…今日はもう行けないだろう。
花束を…という空気ではなくなってしまった。
「申し訳ございません!こちらにアメリア様が…」
息をきらして走ってくる騎士の姿にガウェインの額にシワが寄る。
「衛兵はなにをしていた!なぜ王宮にアメリア様をお通ししたのだ!」
「申し訳ございません…!アメリア様、私が離宮までお送りします。ガウェイン様、ご報告はその後にあらためて参ります…」
騎士に促されてこちらに目礼をしてアメリア様たちは去って行った。
わたしが思っているよりも大変な事になっているのかもしれない。
騎士の顔色は真っ青だった。ガウェインの眉間のシワも直らない。
「ガウェイン…」
「申し訳ございません。ルナマリア様。御身を危険に晒しました」
跪き、わたしと目線をあわしてようやくガウェインの眉間のシワが直る。
「どうして危険なの…?たしかに王宮は王族以外は立ち入ってはだめだけれど…アメリア様はナイゼルお兄様とイザベルお姉さまのお母様なのよね?だったら王族にとても近いわ」
「いいえ、いいえ。全く違います。幼きルナマリア様にはまだ難しいお話やもしれませんが…ナイゼル様とイザベル様は陛下の血を継いでいらっしゃいますので王籍に入られていますがアメリア様は違います。我が国では妻は1人以外認められません。王妃たるベアンナ様がいらっしゃいますので側室と呼ばれておりますが婚姻を結んだ訳ではないのです」
ううん…つまりアメリア様は愛人のような立場ということだろうか?
生まれた子どもは父親が引き取った的な?前世での知識で考えると愛妾や寵妃ともまたちがう感じになってしまう。
婚姻はしていないから男の籍に自分が入ることは出来ず、子だけ父親側の籍に入る。
子には継承権がある?でも第二王子であるクロイツお兄様が王太子のはずだ。
「ナイゼルお兄様が第一王子なのに王太子ではないのは継承権がないからなの?」
「いいえ、ナイゼル様は王位継承権第二位をお持ちです。ルナマリア様が第三位、第四位にイザベル様と続きます」
「王妃の子が優先されるということなの…?」
継承権も持ち、王籍にも入っていらっしゃる…。
それでも王宮では姿を見ていない…。
「ナイゼルお兄様とイザベルお姉さまはアメリア様とご一緒?離宮で暮らしていらっしゃるの?」
「はい。まだお二人共幼いこともありますが…母であるアメリア様と過ごされています。今後も…王宮で暮らすことはないかと思います」
「どうして?王宮は王族の住まい。ならばナイゼルお兄様とイザベルお姉さまも…」
ナイゼルは困ったように眉を下げて首をふった。
「ルナマリア様…もう少し大きくなられましたらご説明いたします。今は、王宮には陛下・ベアンナ様・クロイツ様、そしてルナマリア様以外は住まう事が許されぬとご理解くださいませ」
マリーナにうながされ部屋へと戻りながらも心に棘が刺さったような胸苦しさがありぎゅっとマリーナの手を握りしめた。
閉じた世界が広がっていく。扉が開く音がした。
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ご覧いただきありがとうございました。
側妃というものは本来であらば存在しないファンタジーなものなので設定に悩みました。
ルナマリアの閉じた世界は今後広がっていき、他の人間と関わることで自分の立場を理解していくことになります。
他の兄弟たちも早く登場させたいなと思いますがまだ数話先になりそうです。