表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すべてはあなたの為に  作者: 飛鳥 実華
3/18

2話 ぬるま湯で気づくこと

ブックマーク登録ありがとうございます。

書きだめがない状態ですが出来るだけ毎日更新したいと思っております。

ぬるま湯に浸かったような環境で気がつけば2年がたちわたしは5歳になっていた。

国王であるというのにお父様は出来るだけわたしたちと食事も共にしてくれたし休憩をとるときにはわたしの部屋を訪れお膝の上に座らせて一緒にお茶の時間を過ごしてくださった。

お父様とお母様。クロイツお兄様と優しい侍女たち。

そして何より三女神の祝福を持つわたしのまわりには精霊が常に側にいてくれた。

精霊の姿は神官や魔術師等の高い魔力を持つ者にしか見えないらしく本来なら見えてもぼんやりとした光の玉なのだそうだ。

しかしわたしの目に見える姿はバラバラで、羽の付いた小さな人型であったり狐や猫、はたまた狼や鳥であったり本当に様々な姿である。

彼らが常に側にいてくれるので遊び相手や話し相手に困ることもなくわたしは毎日楽しく過ごしていた。


ふと、思った。

あれ?そういえば…わたしは第二王女…。

クロイツお兄様も第二王子…。

わたしにはクロイツお兄様以外にもお兄様が?

お姉様もいるのよね?

だけど誰もそんな話をしない。

五年生きていてもクロイツお兄様のお誕生日はお祝いしても他のお兄様やお姉様の誕生日なんてお祝いしたことがない。

お父様とお母様はそれぞれのお部屋で毎年プレゼントをお渡ししているけれど…。

よくよく考えるとそれもおかしいわよね?

だって国王陛下と王妃様よ?

大きなパーティーが本来なら開かれるはずよね?

まだわたしが幼いからそんなパーティーには行けないってことなのかな…。


それに…。

お父様はどうしても仕事が忙しくてって時以外はわたしたちと過ごしてくださる…。

もしかしてまだ見ぬお兄様やお姉様とはあまり交流を持っていないのでは…?

もしかして幼いこどもから父親を奪ってしまっている?

だめでしょ!絶対だめだ!


「ねぇマリーナ?ルナマリアにはクロイツお兄様の他にもお兄様とお姉様がいらっしゃるのよね?」


「はい、ルナマリア様。側室アメリア様を母に持つ第一王子ナイゼル様・第一王女イザベル様がいらっしゃいます」


お茶の用意をしながらそう答えてくれたのはわたしの侍女であるマリーナだ。

わたしが生まれた時から側で仕えてくれていてわたしの側には常にマリーナがいると言ってもいい。


「ナイゼルお兄様とイザベルお姉様…お二人はおいくつでいらっしゃるの?」


「ナイゼル様が八歳、イザベル様がクロイツ様と同じ7歳です。さぁ本日のお菓子は、ルナマリア様のお好きなルナベリーのタルトですよ」


柔らかい湯気のたつ紅茶とピカピカとルビーのように輝くタルト。

どちらもわたしの大好物ではあるが少し話をそらそうとされている気がする…。

でもタルトに罪はない。罪はないのだ。おかわりもしたい。


「わぁい!料理長の作るルナベリーのタルトは世界でいちばんよ!…ナイゼルお兄様とイザベルお姉様にルナマリアはお会いしたことはないわよね?」


タルトはかわらず美味しい。

やはり料理長が作るお菓子は世界一だ。料理ももちろん美味しいがお菓子がとくに美味しいのだ。

そして話をそらそうとしてもそうはいかない。


「はい。ルナマリア様はまだお小さいので…お披露目もまだですから…」


「でもルナマリアももう五歳よ?クロイツお兄様は?クロイツお兄様はお二人とお会いしたことがあるのかしら?」


「クロイツ様は五歳になられた際にお披露目として陛下の生誕パーティーにご出席なされています。その際にナイゼル様とはお会いになられているかと…」


クロイツお兄様はお父様の生誕パーティーに出席されていたとは…!

一度もそのようなお話はわたしにはしてくださらなかった。

ナイゼルお兄様にお会いしたことも。お父様のパーティーに参加したことも。

なんだか少し悲しい。わたしはなんでもクロイツお兄様にお話しているのにクロイツお兄様はわたしに隠し事をしていたのだ。


「来月には陛下の生誕パーティーがございます。もしかしたらルナマリア様もその時にお披露目やもしれませんよ?」


フォークを咥えてふくれっ面になっていたのだろう。

苦笑したマリーナが元気づけようとしてくれているのはわかる。

でも来月だなんて。来月にお披露目なんて事があるのならわたしはすでにドレスの採寸をしているはずだ。

でもドレスを作るなんて話は聞いていないし…わたしはいつものように商人を呼んでお母様とクロイツお兄様と一緒にもうお父様へのプレゼントは用意済だ。


「いいわ…お父様にお会いしたときに聞いてみる…。ルナマリアもお会いしたいもの」


「ええ、そうですね。陛下にお伺いするのが1番よろしいかと思います」


「ねぇマリーナ?ルナマリアはお庭に行きたいわ!ヒナシアのお花が綺麗に咲いているって聞いたのよ!タルトを食べ終わったらお散歩に行きましょう?」


考えこんでいても仕方ない。

お仕事が忙しくないかぎりは夕食はお父様とご一緒できるはずだ。

その時にでもお伺いすればいい。


「ええ、ではそう致しましょう。ですが焦らずゆっくりと召し上がってくださいね」


そうね。ゆっくりもう一切れ食べてからのお散歩にしましょう。

大好きなタルトですもの。もう一切れ食べても許されるわよね?

食べたぶんはお散歩して消化するのです!


ご覧いただきありがとうございました。

前世のことは現状知識としてぐらいしか頭にありません。

情緒関係としては少し大人びてはいても子どもの範囲内です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ