12話 兄と姉
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展開上少し短めになります。
「ルナマリア…。祖父が無礼なことを言った。代わりに謝罪させてほしい」
ナイゼルお兄様はそういうとわたしに向かって頭を下げた。
「そ、そんな。ナイゼルお兄様はなにも悪くないもの。頭をあげてお兄様」
こんなはじめましては想像していなかった!
謝罪からはじまる関係なんて嫌だ。
「あの…あの…あらためてご挨拶をしたいです。はじめましてナイゼルお兄様、イザベルお姉様。ルナマリアです。お会いできてうれしいです」
「まぁ…わたくしも会いたかったわルナマリア。先程はお祖父様がごめんなさいね」
「お前との出会いがこんな形になってすまない」
見れば見るほどイザベルお姉様はアメリア様にそっくりだ。
目が少し…アメリア様と比べるとツリ目気味かもしれないが可憐で儚い印象を持つ。
ナイゼルお兄様はやはり感情があまり表情に出ない方なのかもしれない。
先程からあまり表情はかわらず、変化を感じられるのは瞳ぐらいだ。
「いいえ…いいえ気にしておりません。ルナマリアは…お二人と仲良くしたいのです…」
どうしてももじもじとドレスをいじってしまう。
図々しいって思われるかな。わたしのことお二人はどう思っているんだろう。
特になにも思っていないのかな。それともやっぱり嫌いなのかな。
「嬉しいわ。わたくしもルナマリアと仲良くしたいとずっと思っていたのよ」
優しく微笑んでくださるイザベルお姉様にほっとした。
ナイゼルお兄様は…表情ではよくわからないけれど…なんだか瞳が揺らいでいるように見えた。
「ね、お兄様。お兄様も嬉しいわよね」
「……ああ。しかし俺たちが交流できるのは公式のパーティーだけだろう」
「まぁそんなの少なすぎるわ。ねぇ、ルナマリア?」
ナイゼルお兄様はあまり仲良くしたいとは思ってくださらないのだろうか…。
イザベルお姉様は好意的に接してくださるのに…。
「ナイゼルの言うとおりだ。しばらくはお前たちの交流は公式パーティーのみとする」
「お父様…」
せっかく仲良くしたいと言ってもらえたのに…。
どうしてだめなんだろう。王宮で一緒に暮らすことができなくてもお茶をご一緒したりぐらいなら出来るんじゃないだろうか。
それすらだめな理由がなにかあるのだろうか…。
「父上もこうおっしゃっている。お前も控えろイザベル」
「でも…お兄様…」
「お父様…ルナマリアは…お二人とお茶をご一緒したりもしたいわ…」
「だめだよルナマリア。わがままを言ってはいけないよ」
わたしとイザベルお姉様をそれぞれお兄様たちがたしなめる。
どうしてだろう。クロイツお兄様までそうおっしゃるということはわたしにはわからないけれど何か理由があるという事なのだろうか。
「じゃあ…ここでお話をいっぱいしたいわ。そしたら…いつかはお食事だってお茶だってご一緒してもいいでしょう…?公式のパーティーだけなら数が少ないもの。それなら少ない中で出来る限りお話がしたいわ」
「お前たちはまだ幼い。このパーティーもすぐに退出して部屋に戻ることになる。それまでなら好きにするといい」
そうか…わたしたちはまだ子どもだから…遅い時間まで参加していることはできないのか。
ならその時間で少しでも仲を深めなきゃ。
「ルナマリアは、お二人の事をお伺いしたいわ。お二人が好きなものとか…!」
「わたくしは刺繍を最近習いだしたの。それがとても楽しくて…だから刺繍が好きよ」
「俺は…剣術の時間が好きだ。剣は自分にあっていると思う」
刺繍と剣術…どちらも講師がつく習い事だ。
わたしのように庭で花を見ることだったり精霊たちとお昼寝をすることなんて…恥ずかしくて言えない。
お二人はやっぱりわたしよりも立派だ。
「お二人ともすごいわ。ルナマリアなんて…まだマナーの先生しかいないの。お昼寝ばっかりしている気がするわ」
「ルナマリアはまだ小さいのだから仕方ないよ。今はお昼寝だって大切な時間なんだよ」
横からクロイツお兄様が頭を撫でてくださる。
でもクロイツお兄様は五歳の頃にはもういくつもの習い事をしていたと思うわ。
皇太子だから…男性だから…とかそういう違いはあるのでしょうけど…。
「イザベルお姉様は何歳からマナー講師以外の先生がつきましたか…?」
「わたくし…?わたくしも最近よ。つい最近刺繍と歴史のお勉強がはじまった程度よ」
わたしたち女性は七歳からなのかしら…。
まぁ確かに女性にとって一番大切なのはマナー、淑女教育だろうから間違ってはいないのかな…。
「ルナマリアも早く刺繍も習ってみたいわ。でもうまく出来るかしら…」
「最初はみんなうまくは出来ないものだわ。だから心配しなくていいのよ」
「……はいっ!えへへ…イザベルお姉様はとてもお優しいわ。年の近い女性がまわりにいなかったから…とてもうれしい」
「まぁ…わたくしもよ。まわりにいるのは年上の侍女たちだけですものね」
わたしはその時気づかなかった。
笑い合うわたしたちをお父様やお母様。そしてお兄さまたちがどんな目で見ていたのかを。
その視線に気づくことができていたとしたら…。
いいや。きっと気づいてもわたしではその意味に気づけなかっただろう。
無邪気で無知で愚かなわたし。
わたしだけが何の意味もわかっていなかったのだと知ったときには全てが遅かった。
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ご覧いただきありがとうございました。
ようやく二人にちゃんと喋らせてあげることができました。
まだまだこの二人がどんな人間なのかわかりません。
今後の交流でどうなっていくのか。ゆっくりと進んでいきます。




