~世界でただ一つの魔法装身具おつくり致します。~ (4)
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新米魔法使い、エルジャ・レイタムはその日、お目付け役の騎士ネイサンからようやく望んでいた情報を手にした。
待ちに待った、あの有名な最高の杖が手に入れられるかもしれないのだ。
「エルジャ様。おそらくこの先のあの赤いレンガの家がそのようです」
卵色の髪の毛ととび色の瞳をした中年男、ネイサン・バールは背後をてくてくついてきているはずの彼の主人であり、守るべき対象に声をかける。
「へぇ。あのちぃさな家がねぇ」
物見見物よろしく呑気な声を上げたエルジャ・レイタムは、新調したばかりの「王者の羽織り」と「賢者の石の杖」を高らかに石畳に打ち付けて呑気な声を上げた。
新米も新米。ほぼ数日前にデビューしたばかりのお金持の有名魔術師の一族出身の彼は、少々。いや、かなり、世間知らずだった。
そもそも粘着系モンスターさえ倒せない彼の魔法の火力でこの最後の町の最後の砦に訪れることができた理由は、ひとえに彼の「経済的な」支え合ってこそだ。
先ほどのギルドでの顛末を思い出しながら、ネイサンは傷の入っていない方の右目をため息とともに覆った。
「世間知らずにもほどがある・・・」
曰く。
「おい遅いぞ、ネイサン。どーせ噂にたがわぬ偏屈で不細工な男が作っている装身具だ。さっさと金を置いて、最高の杖を手に入れようぜ」
世間知らず、世の中しらず、言葉知らず。
そして、あの超偏屈急変人の魔法装身具専門店の主、美しき引っ込み思案ダーリの愁いを帯びた沈黙の横顔を思い出して、ネイサン・バールは本日189回目の重いため息をこぼしたのだった。