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~世界でただ一つの魔法装身具おつくり致します。~ (22)



+*+*+*+*+*+*


「どうだ?」


にやにやと卵色の髪の男が年下の魔法使いにまとわりついている。右へ左へ、行きつ戻りつしながらエルジャの様子を楽しんでいる様子だ。


「うっとぉしいな、子供か! あんたはっ」


「どうだ? どうだ? いいだろ~? ダーリの魔法装身具は」


「うるさい! だまれ!!」


ハエでも払うようにエルジャはネイサンを片手で追い払う。その左手にはエルジャの肌の一部のようになじむ新品の腕輪が嵌められていた。


丁寧に魔力が込められ編み込まれた世界でたった1つの夜鉱石の腕輪だ。


わずかな魔力の残滓が、魔術師や魔力を持つ者の目には燐光のように煌いて美しい。そうでなくても装飾品としてその腕輪はひときわ人の目を引く。


魔法装身具職人、ダーリ・アシャによれば、糸は影の乙女という不死の一族が魔力を込めて創りだした自然界に元々存在しない資材だという。宵闇の階のような紺色の網紐がしっかりと中央の磨き上げられた夜鉱石の結晶を包んでいる。


「イイよなぁ。ダーリの魔法装身具。俺も欲しいわ~」


「お前こそいらんだろが!」


エルジャはネイサンの厚い胸板を拳で軽く叩いた。


「ま、俺にはこれがあるしな」


ニヒヒ、と気味の悪い笑みを受けべてネイサンは白銀に輝く腰に佩いている剣の柄を軽く撫でた。


「その剣――――」


「そういえば、当の魔法装身具職人様はどうした?」


エルジャの言葉の端をさえぎって、ネイサンは柔らかな光が差し込むしんとした工房に視線を巡らせる。だが、そこに目当ての人物はどこにもいない。


雑然としながらも調和を保持している工房はいつも通りだが、静か以上に道具たちが何かささやき合っているような気がするのだ。


「・・・・・。そこ」


エルジャは工房の端。二階へと続く階段を指さした。ひどくうねった樫の木の手すりに金色の袋が干してある。ちょっとひとっぽい。


「ひと!?」



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