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~世界でただ一つの魔法装身具おつくり致します。~ (14)



dan。音にするのなら、その音だ。


「!」


剣を抜きかけたネイサンの耳に飛び込んできた、無言の圧。


「闇が」


あっけにとられたのはエルジャだけではない。


うごめく触手のように天に延ばされていた大きな闇がさっと工房の影に引っ込んだのだ。


刃、あるいは固い何かを突き立てる音が、ただそれだけなのに闇を退けた。


エルジャは力が抜けてその場に沈み込み、ネイサンはなおまだ警戒を怠らぬままでありながらその場から動けずにいた。


祓いの神官が聖なる錫を一振りした後のような、元のような静謐と無機質な空間が工房を支配していた。そこにはもう、勝手にうごめく闇はなく、ひそりと囁き合うような道具たちの独特の雰囲気が残っているだけだった。


「なんだったんだ・・・あれは」


気が抜けた、と力ない呟きをエルジャはこぼす。


招待の判然としない闇をネイサンも知るはずがなく、回答に窮していると背後から済んだ声音がした。


「お前。勝手に腰布にしたな。この間抜け。あれがちょうど、闇を押えてたっていうのに」


シャリ、しゃくしゃくとみずみずしい果実を食べながら。


「コワッ!」


扉半分からそっと体と顔半分をのぞかせた引っ込み思案で気難しい魔法装身具職人、ダーリが現れた。

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