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~世界でただ一つの魔法装身具おつくり致します。~ (13)


「お前は最初から――、最初からそうだったが、僕の言うことを少しは――」


「いやぁ、ちょっと待てって。あとで聞くから。それよりもな、このドロッとした琥珀色の液体。どうにかしないと、ここじゃちょっと大変なことに」


様々な道具が、道具であるだけに静けさを保っているのにもかかわらず、なぜか異様なざわめきがネイサンの胸中に忍び寄っていた。


昼間から夕暮れと時刻が移り変わる時の移りのころ合いに、「魔力を精製、あるいは含んだ」道具の傍に、むき出しの栄養がばらまかれたらどうなるか。


ワーワー何かぎゃんぎゃん泣き喚いている子供の相手をするより、一刻も早くこの「魔力の集積物」を何とかしなければ、という思いがネイサンの体を突き動かす。


なによりもここは「ダーリ」の工房だ。


金や名声などとは全く無縁のくせに、最高と称される魔法装身具を創りだす、「あの」ダーリの店なのだ。


「お、おい。ネイサン」


「気づいたか」


ただのボンボンというわけではないらしい。


腐っても大陸一の魔術師の一族の血を引いているだけはある。


動くな、とネイサンは鋭く背後で腰布を押えているエルジャに静止を呼び掛けた。この状況で動くほど彼はバカではない。


「さすがはダーリの魔法精製物、と言ったところか」


魔力をほとんど感知できない自分でさえ、びりびりと拍動するぞろりとした闇を感じることができる。


「っ」


エルジャは口元を覆った。でなければ悲鳴を上げるところだ。


音のない音。8つの指先を持つ、研がれた指先と皮膚だけの魔物が、工房の影からせり上がる―――。

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