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~世界でただ一つの魔法装身具おつくり致します。~ (12)



+*+*+*+*+


「いやぁ~。すまん」


頭の後ろをぼりぼりと掻きながらネイサンは年下の主に苦笑した。


下半身が蜜まみれのいかがわしいなりをさすがにそのままにしておくことはできず、ネイサンは工房の窓の近くに乱雑に置かれていた一枚の紺色の布をエルジャ・レイタムに差し出した。


なお、この惨状を招いた問題の引っ込み思案は台所に引っ込んだまままだ戻ってこない。


「くそ! お前、家に帰ったらお父様に言いつけてやるからな!!」


エルジャは手早く腰紐をほどいてびたびたになったズボンをその場に脱ぎ捨てると、ネイサンに差し出された衣をひっつかんでぶつぶつ言いながら腰に巻き付けた。


「お前は僕の盾のくせに、あの女から僕を守りもしないで」


水分を大量に含んで重たくなった衣を、エルジャは忌々し気に足で踏みしだき、もう要はないとばかりに店の壁際に蹴り置いた。


「いやぁ。悪いって、エルジャ。ちょっと濡れただけじゃないか」


「ちょっとだって!? あんななりで外に出てみろ、僕がどんな辱めを受けるか! そんなことよりお前、僕はお前の主だぞ、誰に断って僕を呼び捨てに―――」


「あーあ。妖精の蜜は一度ついちまったらなかなか取れねぇからなぁ。これ、どうするよ」


エルジャの言葉を耳に入れることもせず、ネイサンはぼてっとした彼のズボンをつまみ上げた。


「お前、聞いてるのか!!」


「捨てるならいいけどさ、ここで捨てるなよ。ダーリがまた煩いぞ」


「う、煩い!!」


エルジャは顔を真っ赤にして、あきれ顔のネイサンに怒鳴り散らす。しかし、年の功なのかあるいはまったくネイサンが相手にしていないだけなのか。彼は怒ることもせず、憤ることも反論することもせず、ただ一つ。


「どうするかなー。洗い場借りる?」


顎をしゃくっただけだった。

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