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散弾銃をもて!

 知っての通り、おれはキチガイだ。頭がおかしい、狂っている。完全に、狂っている。おれの今興味のある事をあげよう。おれと同じような人間をいくらか肯定してやること、おれと違う人間をいなくするか、こいつには敵わない、と屈服させ、おれの目にはいらないようにすること、そして、自分をどこか違う、何も煩わしいことのない、良い世界に連れていってやること。この三つにしか、興味がない。今から、一つ目をメインに、しかし、これを見て、人がそうだと思えば、二つ目、三つ目も実現される事を書く。


 世の中にはくだらない人間が溢れている。これは言葉通りの意味で。おれは今、仕事に就いている。もう二ヶ月になる。二ヶ月になるが、同じことしかやらされない。お局に嫌われて、同じ事しかさせてもらえない。入った初日のやつがやるようなこと。そして、そのお局からは、あいつはそれしか出来ない能なしだと言われている。今までの仕事でもそうだった。自分が王様か何かだと思っている顧客、純粋なる悪意に満ち、おれを馬鹿にしてくる無関係の人間。おれが会った中で覚えている、忘れられない、消してしまいたい人間はこいつらだ。


 社会的カーストの底辺に居る人間のほとんどは、こういう感じだと思う。お前らは、生きづらくて、他人が憎くて、しょうがないだろう。


 はっきり言っておく。おれは一度死にかけた。死にかけた時に気づいた事だが、人生の生きている瞬間、現世と、非現実の死んでいる時、あの世というのは、池の上に張った薄氷程度しかない。だからこそ、絶対に、それまでに一度は、幸せになれ。おれたちはいつか死ぬ。明日かもしれない。八十年後かもしれない。しかし、一つ、確かな事がある。絶対にこのままでは、幸せにはなれない。


 幸せな気分にはなる事があるだろう。不細工な女とセックスをした時、うまいものを食った時、休みの日眠っている時、そういう時。しかし幸せではない。幸せとは、他者の不幸からしか生まれない。お前は、不幸にされる側からは逃れる事ができない。


 なぜなら、お前は、お前の精神は、真にお前を肯定していないからだ。誰かに勝たない限り、誰かに負け続けている限り、肯定はできない。今までお前に会った人間共を思い出してみろ。みんな、多かれ少なかれ、お前に勝って、喜んでいただろう。みんな、そうなんだ。お前は気づくのが遅かったんだ。


 そして、お前は今からその、勝つか負けるかのゲームに気づいて、参加しようとするかもしれない。やめておけ。お前は気づくのが遅すぎた。ルール通りにやってちゃ、とても勝ちゃしない。


 じゃあ、どうするか? ルールなんて守るな。道徳を忘れろ。規範なんて犬に食わせちまえ。俺たちに一つだけ許されたものがある。暴力だ。冗談じゃないぜ。


 お前の、憎くて悪くて堪らない人間を一人思い浮かべろ。もし、その人間が次お前を不快にさせたら、そいつの目玉を抉り取れ。片目でもいい。人間、そうは簡単には死なない。だからおれは命を亡くせとは言わない。ただ、絶対に、カタワにしろ。


 そもそも、おれ達がこうなったのは何故か? 大きな力を持つやつがいる。そいつらが、おれ達から自由と反逆を奪い取った。そこまでならいい。許せないやつがいる。そういう決められたルールを利用して、ずるく、勝ち続けているやつだ。絶対に、自分はそういう目にあわないのだから、何をしてもいいと思っているやつら。


 そういう奴らに思い知らせてやれ。お前に勝った事がどれだけ、後悔する事なのかと言うことを、思い知らせてやれ。


 何故目玉を不具にする方法を薦めたかというと、成功しやすいから、という理由がひとつ。また、道具がなくとも出来るからということ。そして、そいつは、生きようが死のうが、死ぬその瞬間まで、お前に勝とうとした事を忘れないからだ。


 ただ、お前の命は一つしかない。例えよう。ペニスは銃に似ている。さしずめお前は、発射された弾。


 お前はそれをした後、逃げおおせる事はできないだろう。警察に捕まり、十年かそこら、シャバの空気は吸えないだろう。だから、言っておく。真に悪だと思う者にやれ。こいつは絶対に許せないというやつに対してやれ。お前は、お前の中では、何よりも尊い。この文も、お前が見ている画面も、お前の居る部屋も、お前が吸っている空気も、お前が感じている温度も、お前が居なければ、全て妄想にしかすぎない。お前は、くだらない事で捕まっていい人間じゃない。並大抵のことで、十年もあんな所に閉じ込められていい人間じゃないんだ。


 おれは実際にやるかもしれない。いや、してしまうかもしれない。おれは本当に、平和主義者なんだ。本当の所、こんな血なまぐさい事に関わらず、どこか美しい森にある湖。湖畔に立てられたログハウス。あたたかい陽の差し込むテラスで、ロッキングチェアにでも揺られ、クラシックを聴きながら、ぼんやり、煙草でも吸い、フレンチトーストでも齧っていたい。本当にそう思っている。しかし、世間が許さない。おれの狂気を爆発させようと、やっきになっている。


 だから、もし、これを読んだ、そういう目にあいそうな奴。そういう奴は、行動を改めてくれ。人を思いやってくれ。少しでも自分勝手に生きることをよしてくれ。そうすりゃお前は光を失わずに済むし、おれはいつか、ロッキングチェアで揺られる日が来るかもしれない。


 あまりに平和が続き、良い人間が増えすぎたので、ずるい人間は、ますますずるく、小汚くなっている。だから、良い人間か、そうでなくとも、ずるい人間に嫌な目に合わされている人間に言いたい。心にショットガンを持て。いつでもいい、いつぶっ放してもいいんだ。むかついたらすぐにやっちまえ。何よりも大事な、お前が殺されるよりはマシだろう。


 いま、前半に書いた通りの目にあっている。おれは高校を卒業してからずうっとそういう目にあってきていた。その時、体を鍛えていた。家にワークベンチを置き、おれは計100KGのバーベルでベンチプレスをし、70か60ぐらいでデッドリフトをやり、同じぐらいの重さでスクワットをやり、更にケトルベルを振り回していた。無調整豆乳みたいな、あれよりひどい味の、入浴剤みたいな缶に入ったホエイプロテインを飲んでいた。


 何故そういう事をし、何故そういう事を書いたかというと、おれは当時、いくらムカついても、おれがやろうと思えば、このムカついている対象物の命を五秒もらえれば奪える存在になりたかったからだ。ナルシズムなどではなく、精神安定のため、まっとうな理由である。


 それからいろいろ、これから書く、本当に絶望したことを、その時は言葉にできぬまでも、その匂いみたいなものには勘付き、精神的に総崩れになり、体重はどんどん落ち、何故自分が生きているのかわからなくなり、しまいには自殺未遂を起こした。


 生き残り、その後も、結局、そういうものからは逃れられないと今感じ、死んでも良かったかもしれない、と思い始めている。


 そうして、一つ思った。なぜ俺が死ななければならないのか? と。死ぬべきなのは、奴らじゃないか。


 今、おれは人を殺せないだろう。少なくとも、刃物か、ショットガンでもない限りは。しかし、人に後悔させてやることはできる。しかも、それは、おれと同じような人間誰しもができる。


 本当に絶望したこと。それは、あまりにも、みんな、自分の命が特別だと、思っていること。


 そうではないと気づいた人間は、他人の命も特別である事に気づく。だから、道をゆずる。道を譲られた気づいていない人間は、気づいていないので、自分だけが特別な存在だからだという誤解を更に深める。おれにはそれがもう、人類全体のそれが、我慢ならなくなってきている。


 世界皆の道徳はそのはずだ。みんながみんな特別。これは、正しい。理性というものを持ってしまった人間は、みんな特別なのだ。それは逆に、みんな特別ではない。決して、他人の理性を侵害する権利など、誰も持ってやしない。


 しかし、それに気づかない人間が多すぎる。だから俺は言う。そういう人間の理性を、思い切り、侵害してやれ。それも、具体的な、わかりやすい、気持ちのよい、肉体的な、物理的な方法で。そうする事でしか、ずるい人間を気づかせる事はできない。


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