申し訳程度のラブ要素
そして帰宅。
「おかえりー。」
竜が、感情のない声で言う。
うわぁ・・相当怒ってるなぁ・・・
「あ、冷蔵庫にケーキあるよ?食べる?」
「食べる!!」
この単純野郎が。
『利愛。今のうちにスケボーの落書き消しといて。』
零ちゃんが小声で言う。
そして利愛に渡したのは。
【はみがき粉】
「違うだろーがッ!!」
はみがき粉でどうやって消せと・・・
「分かった!!」
しかし、利愛に通じる訳もなく去っていってしまった。
「偶然の産物ってあるでしょ?」
ねぇよ。
「さて、ケーキも食べ終わったし久々にスケボーでもするかな。」
ヤバい。
「りゅっ・・竜!!話があるんだけどッ!!いいかなッ!?」
なんとかしてこの場をしのがなければ。
「え?いいけど・・」
「とりあえずッ!!私の部屋行こッ!!」
竜の手を引く。
「あっ・・・むつき・・・」
優が何かを言おうとする。
「えっ?何、優?」
「・・・何でもない・・」
優は時々、意味深な事を言う。この時もそうだった。
もし、この時優が私を止めていたら・・・
「で。話って何?」
竜が言う。もちろん話なんてない。でも切り抜けなければ・・・
「今日はいい天気だよね!!」
って何世間話してんのよ!
「明日晴れるかなぁ?」
何で天気オンリー?
しかもさっきから竜黙り込んでるし・・・。
そうだ!!スケボーの話題を・・・
「・・・ねぇ、何が言いたいの?」
竜は壁に手を置き、じっと私を見つめた。
「・・・え・・・竜?」
「俺、お前の事、好きなんだけど。」
「・・・は?」
竜は、私と優が付き合ってる事も知ってるはず。
それに、いつもはあんな陽気な竜が、こんな真っ直ぐな目をするなんて・・・。
すると、竜はゆっくり抱きしめてきた。
「・・・ずっと・・・好きだった・・・アイツよりもずっと前から・・・」
アイツとは優の事だろう。
竜は腕の力を少し強めた。